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“ISOを活かす―2.品質目標は事業目標に含めることによって、経営に活用できる”



事例2は “品質目標は事業目標に含めることによって、経営に活用できる”という標題で ある精密機械メーカーの事例紹介です。
【組織の問題点】
5年前にISO9001の認証を取得した精密機械メーカーのA社営業部の目標は

①販売予算 ○○億円,②予算達成施策 △△の推進,③品質クレーム低減 年間10件以下

ですが、営業部長は ①②は事業目標として重要だが、品質目標である③は あまり重要でないと考えています。
そして、社長は事業目標と品質目標を分けて考えるのが 良いか、また品質目標は 必ず数値目標であるべきか迷っている、ということです。

【磯野及泉のコメント】
著者・岩波氏は ISO9001の5.3 a)項と5.4.1項を引用しています。





そして、“品質目標を事業目標とは別に設定する企業が多いようですが、これでは「ISOのための目標」と「企業にとって重要な目標」が別々のものになってしまい、ISOを経営に活用しているとはいえません。”と指摘しています。
そして、“品質目標の数値化にこだわりすぎるのも問題です。「ISOの要求事項であるから、品質目標はかならず数値化しなければならない」と考えると、重要な内容ではなく、数値化しやすいものを目標に設定してしまう可能性があるからです。”と述べています。

企業の事業目標として 経理的或いは財務的指標をいきなり取り上げても 一般従業員には ピンと来ないことが多いと思います。事業目標は 一般従業員にも しっかり理解できる目標が 望ましいのですが、その場合、逆に品質目標を掲げることで、目標が より具体的になり 意味のあるものになると思うのです。
一般的には 品質の良い製品作りを 目指せば 生産技術は向上し、不良品が少なくなり、その結果 コストダウンになると考えられます。また 不良品が 少なくなるということは、生産工程のムダが少なくなり、生産のために投入されるエネルギーが 減少し、環境にも良い影響を 及ぼすことになります。
ロスの減少や、歩留り・合格率の向上も、環境に良い影響を 及ぼします。

ですから 環境マネジメントにおける環境目標については 当初は “紙、ゴミ、電気” の削減が目標になることが多いようですが、いずれは ネタがつきて事業系の目標を 取り上げるようになります。また、本来そうでなければならない、とされています。
そうなれば 品質目標も 環境目標も 区別がなくなってしまうのが ごく自然な 成り行きと言えます。

また、良い品質の製品は その会社の 企業イメージを高め、ブランドの確立へ進展して行きます。
つまり、良い品質の製品は 会社の全てを改善してくれます。従って 品質目標は 企業の事業目標と 別個のものという発想は 全く受け入れることができません。品質目標こそ、事業目標の中心であるべきですし、むしろ渾然一体であってしかるべきであると考えています。
それにISO9001では 事業目標と品質目標を区別して設定せよとは言っていません。

また、企業にとって重要な目標は “その達成度が判定可能”であるべきであって、かならずしも数値化しなければ ならないとも言っていません。
例えば、スケジュール管理の製品開発プロセスに関する達成度は 数値化することは困難ですが、開発の段階を把握していれば、達成度は判定可能なはずです。

要は デミング・サークルのPDCAの第一歩となる目標をどう掲げ、どうチェックするかが 問題だと思うのです。
その組織にとって重要な事業目標は 結果として 品質目標に近いものであったり、環境目標的であったり 直接的に 経理的であったりするだけだと思うのです。事業目標と品質目標を区別することに 大きな意味はありませんし、返って 仕事を煩雑にするだけです。
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