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“ISOを活かす―3.品質目標は毎月評価してこそ、成果が期待できる”



事例3は “品質目標の達成度を年度末に評価する” ある自動車部品メーカーの事例紹介です。

【組織の問題点】
ある自動車部品メーカー会社の品質目標は 次の通り。

①歩留:年度末に前年比10%向上 ②クレーム:年間30件以下 ③改善提案:年間3件/人以上

この目標は “年1回、年度末に その達成度を評価”すると、製造部長が審査に際して 答えていました。
ところが、前年度の この会社の品質目標は、ほとんどの部門で目標未達に終わっており、社長は困っています。
ISOの品質目標を 活用するために、この会社の製造部のように“年1回、年度末に その達成度を評価”するので よいのでしょうか。

【磯野及泉のコメント】
著者は 前回同様、ISO9001の5.4.1項を引用しています。



これも マネジメントの基本であるデミングサークルのPDCAを回す意志が 経営幹部 つまり部長以上の人や経営者にあるのか、が 問われる問題だと思うのです。
PDCAを回す意志が 経営幹部にあれば、“年1回、年度末に その達成度を評価”することに満足できるはずがないでしょう。ところが、著者の指摘のように80%の企業が 年1~2回の 目標評価頻度と いうのが事実であるとすれば、驚きです。

京都の環境マネジメントシステムKES(神戸はKEMS)では 環境目標は 必ず月1回 チェックするように 記録の様式も定められており、チェックした結果を記録するようになっていて 事実上の要求事項となっています。多くの企業に PDCAを回すように習慣付けるには、このKES(KEMS)の要求事項は 具体的であり、適切であると言えます。

さて、事例は 自動車部品メーカーということなので 今時 ISO/TS16949の認証が必要なはずですが こんな状態で自動車会社に供給者として参加できるのでしょうか。
“ISO/TS16949:2002に対するIATFガイダンス” という事実上の要求事項では “5.4.1.1 品質目標―補足” において“目標は 次によることが望ましい。”と7つの項目が挙げています。その6項目目に“(目標は)経営者が効果的、かつ、効率的レビューを促進することに用いられていること。” とあります。この“要求事項”には この自動車部品メーカーのパフォーマンスは 明らかに 不適合を示しています。つまり、目標の達成度評価の頻度が、年度末または年2回程度では“経営者が効果的、かつ、効率的レビュー”を実施しているとは 言い難いことになります。現に“前年度の この会社の品質目標は、ほとんどの部門で目標未達に終わっており、社長は困って”いるからです。

但し、ISO/TS16949の “IATFガイダンス 5.4.1.1”では、その前に“(目標は)測定可能であること。”、“(目標は)測定されること。”となっていて、 “目標の達成度の測定”が 要求されています。測定可能な 目標を設定していても 測定していなければ 評価もできず、結果も出せません。当然、不適合となってしまいます。
ですからISO/TS16949では ISO9001とは 違い、“目標が測定可能で測定し、レビューできる”ためには、数値目標が 幾つか含まれていることが 必要になります。

そうそうISO/TS16949での決定的要素の言及し忘れがあります。
もし、顧客固有要求事項CSR* に 事業計画Business Planのチェックや マネジメント・レビューを月1回実施することがあれば 四の五の言ってられません。毎月チェックは必須になります。ISO/TS16949ではCSRは 最優先実施事項ですから。

*CSR:ここでは企業の社会的責任ではなく Customer Specific Requirement の略です。
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