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“ISOを活かす―59. 文書化しなくても問題が起こる可能性のない業務の手順書はいらない”


今回は 文書の要不要をめぐる課題です。

【組織の問題点】
住宅建築会社のA社では、ISO9001で要求されている文書管理、是正処置、内部監査などの6項目の手順については、ISO9001登録審査前に手順書を作成しました。しかし、設計業務については、まだ手順書ができていません。
ISO9001では この設計業務の手順書は 作成しておかなければならないものでしょうか、という課題です。

【磯野及泉のコメント】
“設計業務の手順書は 作成しておかなければならないものでしょうか”。そこであらためてISO9001で要求されている文書化の必要な項目を確認してみるべきでしょう。それは 次の4.2.1項です。



ここでc)項の“この規格が要求する「文書化された手順」”とは、次の6つと言われています。それがここの問題点に出てきた“6項目の手順”だと思われます。

4.2.3 文書管理に関する手順
4.2.4 記録の管理に関する手順
8.2.2 内部監査に関する手順
8.3  不適合製品の管理に関する手順
8.5.2 是正処置に関する手順
8.5.3 予防処置に関する手順

著者・岩波氏は7.3項を引用して“設計業務そのものの手順については、文書化することは要求していません。”と指摘しています。そして 設計業務は ①複雑な要素があり手順文書化困難②資格要件があるため手順文書化不要 だからだと述べています。まさに“文書化の程度は、要員の力量によって異なる”(4.2.1参考2.c)上記)のです。

しかし、著者・岩波氏の言うように設計作業そのものの手順書は不要かも知れませんが、設計・開発のプロセスに関しては手順を文書化しておく方が良い、むしろ文書化するべきだと考えます。でなければ7.3項の規定を 満足に適合させられなくなるからです。その設計・開発のプロセスは 一般的には下図のイメージでしょう。この図のように7.3項の要求事項は まさに“複雑”で、しかも“進行に応じて,策定した計画を適宜更新すること”になっています。いずれのプロセスも 抜けると不適合になりますので、設計・開発の各段階及びその責任・権限を管理するため(7.3.1項)には手順の文書化は必要でしょう。そして、その文書は“組織が必要とした文書”となります。
  


また 組織によっては 品質機能展開、品質工学、FMEA、FTA 等々の手法を使って開発することにしている場合もあり、どの段階でそういった手法を使用するのが適切か あらかじめ手順化しておくことが 開発効率を上げるのに必要だと思われます。

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