The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
ビッグ・データ・セミナーで訪れた場所―“京都駅緑水歩廊”と“けいはんな公園都市”
前回、ビッグ・データ・セミナーについて報告した。今は、それが開催された場所の周辺について報告してみたい。セミナーは2回開催され下記の場所で行われた。
第1回:2月6日 メルパルク京都
第2回:2月19日 けいはんなプラザ
第1回はメルパルク京都でJR京都駅の隣だったので便利な場所だったが、第2回は“けいはんな”で開催された。これまで“けいはんな”には、何かのセミナーで出かけたり国会図書館に行ったことはあったが、いずれもJRまたは近鉄の祝園駅からバスで行っていた。この度は、午前に正午まで神戸で仕事をすることを前提として、ネットで路線検索したら、近鉄けいはんな線の学研奈良登美ヶ丘駅からバスのコースが浮かび上がったので、それで行ってみることにした。
まず、1回目のセミナー会場の近くで見るべきものとして、何があるかを考えてみたが いつぞやKES環境機構のセミナーでJR京都駅にビトトープが作られているので、見ておいて欲しいということを言われていたのを思い出し、行ってみることにした。
セミナー開催前1時間前にJR京都駅に着いて、北側の改札を出て駅構内から外に出る手前で左右からエスカレータが降りている場所がある。そこで、右側の上りのエスカレータに乗ってどんどん昇って行く。ひとけが少ないフロアに出て、不安になるが、構わずさらにエスカレータを乗り継ぎ上方を目指す。
この昇りのエスカレータで振り返ってみて、この駅が巨大なアトリウムで構成されていることに初めて気付く。この駅ビルは1997年竣工となっているが、これまで私は京都駅を利用したことはあったが、改めて観光的に見学したことはなく、このような経験は初めてであったので、驚きも新鮮であった。そこで、慌ててカメラのシャッターを切った。
この駅ビルは東大教授であった原広司氏の設計であるのは建設当時から知ってはいた。しかし、出来上がった後、新幹線や在来線で通過したり、駅に着いても脇目も振らず目的地に向かうばかりであったので、巨大な無機質な印象しかなく、どうしてこれがコンペに生き残ったのかとの疑念を持っていた。写真を撮っていて、巨大空間の遥か向こうに、開所当時話題となった階段広場が見えるのが分かった。このように、内部を 歩き回り始めてようやく、内部デザインの秀逸さを理解できるようになった。
そこは、烏丸小路広場と呼ばれる場所のようだ。そこには“風車の木”や オブジェがある。北には京都タワーを見ることのできるバルコニーに出られ、南は南遊歩廊とつながっている。ここで見上げると、雨除けのガラスの庇のデザインが斬新で面白い。ここにある縦型の風車は、 “自然力だけで何かできないか?そんな思いから生まれた風を使った演出の新しいこころみです。自然の力を感じ、自然の力のゆらぎ、時には儚さを感じる、そんな夜の演出を実験展示として『風の木』と名付けました。上部の縦型風車発電機のみで電力を供給しています。また証明部分は極力消費電力を抑えるため、LEDの数を最小限にできる編みこみ光ファイバーを使用しています。自然の力について、なにかを感じていただければ幸いです。”と説明にあった。
そこから、さらに一段上のフロアがあるので行ってみると、そこはホテル・グランヴィア京都の屋上中庭のようであった。
あまり目立たない様子で階段の壁に沿ってプランターが並べられていて、背の低い植栽が植えられている。それはホテル中庭のフロアからスタートして、階段伝いに烏丸小路広場のフロアに降り、さらに南遊歩廊にやはり階段に沿って降りている。よく見ると水生植物ばかり。ビオトープと聞いていたので、当然だが “駅ビルで調達できる雨水と地下湧水を使って緑が育てられないか?そんな思いから生まれた緑化施設です。貯めた水を重力により循環させ、地下湧水の汲みあげにも太陽光発電を使用する等、自然力を最大限に活用しています。京都の原風景や京都らしい自然を表現するために、植物材料選びにも工夫を凝らしています。普段の生活で見過ごされがちな自然の恵みについて、なにかを感じていただければ幸いです。”とのパネル説明があった。
しかし、真冬の植物は残念ながら見栄えがしない。見に来る時期を間違えたと反省。何となく 細々とやっている感もあるので、将来的に持続可能なのか見る者には不安もよぎる。建物との一体感のあるデザインへと もうひと工夫が必要のように思われる。聞くところによると、夏は鳥も来たりして、それなりの自然が出来つつあると言うが、水質管理が大変そうである。水質が過度に人工的にならないようにどうするのか、藻や苔の発生は自然のものとして放置するのか、ボウフラの発生を防ぐために蛙や魚を放つのか、その他の虫の発生はどうするのか、非常に悩ましい課題山積のように感じる。こうした課題解決には 意外に膨大なコストがかかることになり、それがこういう施設の持続可能性への最大の障害となるような気がした。
2回目のセミナーは、“けいはんな公園都市”での開催だったので、ヒマがあれば国会図書館の見学や公園都市を見て回りたいと思ったが、ままならずあたふたとセミナーを聴講して、夕方は寒いし、バスも来なくなると困るので、そそくさと帰ってしまった。
だが、セミナー会場に至るまでの近鉄けいはんな線からの初めての景色やバスからの光景を見て、広大なベッド・タウンが形成されていることに驚きがあった。知り合いの学園前の不動産業者から聞いたことだが、高齢化等で学園前の住宅が中古物件としては売れずに、奥地の学研都市の新規物件が売れているという。その現象が このような姿を生み出した要因なのだろうと納得して眺めていた。しかし、大阪府下の衛星都市ですら高齢化による空洞化が進展する中で、関西中核都市からの遠隔地が今後どのような発展を見るのか、懸念を禁じ得ない。
ただ、私の知る“けいはんなプラザ”周辺の光景には大きな変化はないような印象で、施設用地として造成されたであろう隣地が草原のまま広がっていた。マンションがなく戸建がほとんどなので、人口の増加率も低いためか、プラザから遥か向こうに見える居住者のショッピング・センターも寒々しく見えた。
実は、若者を対象に職業体験の機会、職業情報、職業相談等を提供する施設であった“私のしごと館”も この近所にある。今は行政の無駄の象徴として閉館しているはずだが、この建物は今後京都府が有効活用する予定のようである。その外、国会図書館や国際高等研究所などがあり、民間の研究施設も進出して来てはいるようだが、街が繁栄している風には見えない。
私は、東京一極集中を緩和するのにこの地を有効活用するのが良いのではないかと思っている。行政の中央施設をこちらに配置するのに抵抗があるというのなら、司法の中央組織、つまり最高裁判所をこちらへ移転させるのが良いのではないか。国際司法裁判所も他の国連機関のないオランダのハーグにある。司法の行政中央との癒着を防ぐためにも空間的に距離を置くことに間違いはあるまい。逆に、そうすれば、検察庁の相当部分もこちらへ移転せざるを得なくなるだろうし、弁護士組織もやってくるに違いない。裁判は静かな地で、冷静に行われるべきだ。それに、その程度の収容力は、この地にもあるのではないかと見ているが、どうだろうか。
第1回:2月6日 メルパルク京都
第2回:2月19日 けいはんなプラザ
第1回はメルパルク京都でJR京都駅の隣だったので便利な場所だったが、第2回は“けいはんな”で開催された。これまで“けいはんな”には、何かのセミナーで出かけたり国会図書館に行ったことはあったが、いずれもJRまたは近鉄の祝園駅からバスで行っていた。この度は、午前に正午まで神戸で仕事をすることを前提として、ネットで路線検索したら、近鉄けいはんな線の学研奈良登美ヶ丘駅からバスのコースが浮かび上がったので、それで行ってみることにした。
まず、1回目のセミナー会場の近くで見るべきものとして、何があるかを考えてみたが いつぞやKES環境機構のセミナーでJR京都駅にビトトープが作られているので、見ておいて欲しいということを言われていたのを思い出し、行ってみることにした。
セミナー開催前1時間前にJR京都駅に着いて、北側の改札を出て駅構内から外に出る手前で左右からエスカレータが降りている場所がある。そこで、右側の上りのエスカレータに乗ってどんどん昇って行く。ひとけが少ないフロアに出て、不安になるが、構わずさらにエスカレータを乗り継ぎ上方を目指す。
この昇りのエスカレータで振り返ってみて、この駅が巨大なアトリウムで構成されていることに初めて気付く。この駅ビルは1997年竣工となっているが、これまで私は京都駅を利用したことはあったが、改めて観光的に見学したことはなく、このような経験は初めてであったので、驚きも新鮮であった。そこで、慌ててカメラのシャッターを切った。
この駅ビルは東大教授であった原広司氏の設計であるのは建設当時から知ってはいた。しかし、出来上がった後、新幹線や在来線で通過したり、駅に着いても脇目も振らず目的地に向かうばかりであったので、巨大な無機質な印象しかなく、どうしてこれがコンペに生き残ったのかとの疑念を持っていた。写真を撮っていて、巨大空間の遥か向こうに、開所当時話題となった階段広場が見えるのが分かった。このように、内部を 歩き回り始めてようやく、内部デザインの秀逸さを理解できるようになった。
そこは、烏丸小路広場と呼ばれる場所のようだ。そこには“風車の木”や オブジェがある。北には京都タワーを見ることのできるバルコニーに出られ、南は南遊歩廊とつながっている。ここで見上げると、雨除けのガラスの庇のデザインが斬新で面白い。ここにある縦型の風車は、 “自然力だけで何かできないか?そんな思いから生まれた風を使った演出の新しいこころみです。自然の力を感じ、自然の力のゆらぎ、時には儚さを感じる、そんな夜の演出を実験展示として『風の木』と名付けました。上部の縦型風車発電機のみで電力を供給しています。また証明部分は極力消費電力を抑えるため、LEDの数を最小限にできる編みこみ光ファイバーを使用しています。自然の力について、なにかを感じていただければ幸いです。”と説明にあった。
そこから、さらに一段上のフロアがあるので行ってみると、そこはホテル・グランヴィア京都の屋上中庭のようであった。
あまり目立たない様子で階段の壁に沿ってプランターが並べられていて、背の低い植栽が植えられている。それはホテル中庭のフロアからスタートして、階段伝いに烏丸小路広場のフロアに降り、さらに南遊歩廊にやはり階段に沿って降りている。よく見ると水生植物ばかり。ビオトープと聞いていたので、当然だが “駅ビルで調達できる雨水と地下湧水を使って緑が育てられないか?そんな思いから生まれた緑化施設です。貯めた水を重力により循環させ、地下湧水の汲みあげにも太陽光発電を使用する等、自然力を最大限に活用しています。京都の原風景や京都らしい自然を表現するために、植物材料選びにも工夫を凝らしています。普段の生活で見過ごされがちな自然の恵みについて、なにかを感じていただければ幸いです。”とのパネル説明があった。
しかし、真冬の植物は残念ながら見栄えがしない。見に来る時期を間違えたと反省。何となく 細々とやっている感もあるので、将来的に持続可能なのか見る者には不安もよぎる。建物との一体感のあるデザインへと もうひと工夫が必要のように思われる。聞くところによると、夏は鳥も来たりして、それなりの自然が出来つつあると言うが、水質管理が大変そうである。水質が過度に人工的にならないようにどうするのか、藻や苔の発生は自然のものとして放置するのか、ボウフラの発生を防ぐために蛙や魚を放つのか、その他の虫の発生はどうするのか、非常に悩ましい課題山積のように感じる。こうした課題解決には 意外に膨大なコストがかかることになり、それがこういう施設の持続可能性への最大の障害となるような気がした。
2回目のセミナーは、“けいはんな公園都市”での開催だったので、ヒマがあれば国会図書館の見学や公園都市を見て回りたいと思ったが、ままならずあたふたとセミナーを聴講して、夕方は寒いし、バスも来なくなると困るので、そそくさと帰ってしまった。
だが、セミナー会場に至るまでの近鉄けいはんな線からの初めての景色やバスからの光景を見て、広大なベッド・タウンが形成されていることに驚きがあった。知り合いの学園前の不動産業者から聞いたことだが、高齢化等で学園前の住宅が中古物件としては売れずに、奥地の学研都市の新規物件が売れているという。その現象が このような姿を生み出した要因なのだろうと納得して眺めていた。しかし、大阪府下の衛星都市ですら高齢化による空洞化が進展する中で、関西中核都市からの遠隔地が今後どのような発展を見るのか、懸念を禁じ得ない。
ただ、私の知る“けいはんなプラザ”周辺の光景には大きな変化はないような印象で、施設用地として造成されたであろう隣地が草原のまま広がっていた。マンションがなく戸建がほとんどなので、人口の増加率も低いためか、プラザから遥か向こうに見える居住者のショッピング・センターも寒々しく見えた。
実は、若者を対象に職業体験の機会、職業情報、職業相談等を提供する施設であった“私のしごと館”も この近所にある。今は行政の無駄の象徴として閉館しているはずだが、この建物は今後京都府が有効活用する予定のようである。その外、国会図書館や国際高等研究所などがあり、民間の研究施設も進出して来てはいるようだが、街が繁栄している風には見えない。
私は、東京一極集中を緩和するのにこの地を有効活用するのが良いのではないかと思っている。行政の中央施設をこちらに配置するのに抵抗があるというのなら、司法の中央組織、つまり最高裁判所をこちらへ移転させるのが良いのではないか。国際司法裁判所も他の国連機関のないオランダのハーグにある。司法の行政中央との癒着を防ぐためにも空間的に距離を置くことに間違いはあるまい。逆に、そうすれば、検察庁の相当部分もこちらへ移転せざるを得なくなるだろうし、弁護士組織もやってくるに違いない。裁判は静かな地で、冷静に行われるべきだ。それに、その程度の収容力は、この地にもあるのではないかと見ているが、どうだろうか。
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