The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
ISO審査員研修会・広島開催に参加して
先日、週末を利用してISO審査員研修会が、広島で開催された。私にとっては、先日の東北ツァーの広島版だが、その東北ツァーよりは研修会らしく実施された。ISO認証取得のビル・メンテナンス会社の作業状況を視察し、ISO審査員の目からその様子を評価し、協議した。また、会員に課せられた年1回の話題提供発表の順番が、たまたま私に巡っていたのでパワーポイントで説明した。
その後、1泊して2日目の土曜日、広島観光日程として午前は平和記念公園、資料館を訪れ、午後宮島の厳島神社に参詣し、研修会は散会し、皆と別れた。さらに3日目、ついでに私はかねてより行きたいと思っていた呉をこの際に訪れ、午前旧海軍の名残のある江田島の術科学校に行き、日曜午後に行われる現役自衛艦の一般公開に参加し基地に停泊中の艦船多数の威容を見、公開対象の練習艦艦内を見て、さらに“てつのくじら館”、“大和ミュージアム”を見学して帰神した。
今回は、この内の1日目の模様を報告したい。次回以降、グルメ紹介や散策日誌として紹介したい。
神戸から広島には、西明石から新幹線を利用。何故か姫路から新幹線と同じ料金なので、ならば西明石からの方が時間短縮になる。神戸市内から西明石へは新快速を利用。西明石からは“こだま”に乗り、岡山で“のぞみ”に乗り換え、正午前に広島着。神戸からのJR路線内で2度の乗換。到着後直ちに、名物のお好み焼きで昼食。
13時半、駅前のロータリー前で集合待合せ。参加者集合を確認後、バスでマンションのメンテナンス作業現場に赴く。現場視察に先立って、マンションの自治会が利用する会館で、メンテナンス工事会社の案内者から見学前に若干の事前説明があった。そこでメンテナンス工事会社の概要や、その会社と会員のかかわりの経緯状況の説明を受けた。マンションは10階建て30所帯が入居するこじんまりした規模であった。
ここには研修会会員の一人が入居しており、元々はこのマンションを建設した建設会社の管理会社に、メンテナンス工事も丸投げしていたが、それではどうも業者に上手くやられっぱなしのようだと気付き、なんとかマンション自治会を説得、これをまとめあげて良心的メンテ会社を入札で選択して、仕事をしてもらっている、とのこと。メンテナンス工事を請け負った会社は、ISO9001を認証取得しているが、マネジメント・システムの維持に若干の悩みがあるとのことで、相談にあずかるということで我らの会の視察となった由。
工事は住民居住のまま施工されており、その内容は鉄部塗装のメンテ・再塗装、タイルのはがれ状態(接着不良)の確認と不具合部分の再貼り付け、屋上のアスファルト・シートのメンテ(雨漏り防止)、その他表層コンクリートのチェック不具合部分の是正、雨水溝防水塗装のメンテ等であった。工事は既に終盤に入っており、作業用リフトは撤去されており、一部足場も取り払う作業に入っていた。
予定通り、マンション作業現場視察後、会員の感想・意見の交換となった。
現場の案内者はマネジメント・システム管理責任者でもあり、はじめに会社状況の説明が再度詳しくなされた。本来は塗装工事専門業者であったのだが、手を広げて一般建物メンテナンス事業へ進出。そのためもあってか創業者2代目の経営者がISOマネジメントを気に入って、広島でも早目のISO認証取得した。その後 社員の世代交代があったが、その過程で古い世代の文書・記録を嫌う職人気質は薄れて、新しい世代によりISOマネジメントに馴染んで来ている。しかし、その若手社員の業務改善への取組意欲については未だしの観があり、それが大きな悩みという現状の説明であった。
この説明に対し、研修会会員の反応は視察した現場管理の問題の指摘に終始した。それは、むしろそうした実際上の目に見える問題を解消させる過程で、自ずと若手社員への教育もOJTで為されて行くだろうとの思いからであった。また、そうした問題を抱えたままでは、会社自体が現状を改善させられないまま、進歩が望めないとも考えたためである。
そして、何よりも問題とされたのは、現場での塗装にともなうシンナーの臭いが酷いことであった。事前の案内者説明でも、 “シンナーの臭いに弱い方は参加しない方が良いかも知れない”という発言があった程であった。住民が居たままでの工事がこれでは、まずいのではないか、安全上も大いに危険で引火事故から火災発生ともなれば、会社への業務停止処分のリスクもあり得るとの指摘が相次いだ。また、これに関連して屋上ではあったが、塗料や溶剤の一斗缶が整列されてはいたが、その量は消防法に抵触する量にも見えるとの指摘もあった。
工事当日情報の掲示は1階ロビーにあり、そこには3日前の配付の進捗情報文書の掲示や当日の“洗濯物干し情報”も各戸別に可否が表示されていたが、住民への情報の徹底度合いが不明だとの指摘もあった。また、作業者の住民等に対する挨拶も不十分なので外注業者への指導が十分であろうか、との指摘もあった。
私も、最後の発言として朝の現場作業の開始時にツール・ボックス・ミーティングとして、当日の作業内容の確認と、その作業に伴う危険なことへの可能性と予防のための処置、いわゆるKYミーテーィングが行われているのか、これは大手では常識として実施されているもののはずだがどうなのか、との疑問を呈しておいた。
いずれにしても、現場管理が甘いとの指摘が相次いでいて、品質マネジメントと言うより、環境に近いものとなってしまった。また協議と言うよりは指摘の会となったが予定時間は過ぎ、メンテナンス工事会社の案内者も言われっぱなしで帰って行った。何か参考となるものがあっただろうか。
私の発表は、これまでのリーダーシップへの思いの概要と、リーダーシップについて直近読んだ本の紹介と、その内容で気に留めた部分の説明を中心に、“リーダーシップ随想”と称して話題提供を行った。ISO審査員として、リーダーシップをどのように考え、どう取り扱うべきかを説明できれば、自分に大いに欠ける部分であるので今後役立つだろうと考え、取上げたものだった。しかし結論がでないまま発表に及ぶハメになったので、その旨を謝罪したつもりだったが、それを殊更に非難する向きがあり、残念な結果となった。非難した御仁も、これまで発表にあたって得々と解説をなされるばかりであって、必ずしも結論を語られることはなかったので、“どういうことか”との思いはあったが、コトを荒立てるつもりはなかった。
発表のために読んで紹介した本は、下記の通り。
①金井壽宏/著“リーダーシップ入門”(現代リーダーシップ論の全体観を知るための入門書)
②R.A.ハイフェッツ/著“リーダーシップとは何か”(未だ主流と見られていないが世界水準の先端的議論)
③米海軍協会/編著“リーダーシップ―米海軍士官候補生読本”(軍隊におけるリーダーシップ論)
④池田守男、金井壽宏/著“サーバント・リーダーシップ入門”(新しいタイプのリーダーシップ論の解説)
⑤冨山和彦/著“結果を出すリーダーはみな非情である”(現代日本の実業現場から必要とされる実務リーダーシップ論)
つい最近まで、経済学の巨人J.K.ガルブレイスは2002年の著書“日本経済への最後の警告”に、リーダーシップの研究に否定的見解を示していた。また、上記の本の中で日本の泰斗神戸大学の金井寿宏教授も、この分野は、“経営学の重要な部分(時にメイン・テーマとなる程)を包含しているが、言語化、理論化は遅れている。”と指摘していることもあっが、EテレでR.A.ハイフェッツのハーバード白熱教室を見て、何らかの結論があるものと思い込んで突進。ところがどうやら今も定説がなく学問的には未開発段階にあって容易に結論は出ないものと気付いたが、その時は途中で引き返す余裕もなく、むしろそのまま突き進んだ方が私なりの結論がでるかも知れないと思い上がってしまった。発表に当たっては最終的には、現状の経営学とその周辺でのリーダーシップへの考え方の紹介という姿勢でも許容されるものと思い、発表に及んだのだった。それが、批判の下に曝されるとは思いの外だったのだ。
米海軍士官候補生読本にあった、“ネルソンの「艦長の戦い」”は、軍の司令官と兵卒との間に介在する中間管理職としての“艦長”の独断専行の重要性を強調し、ために士官教育は重要としていた。しかし、今やITの発達とともに現場での生の情報を各部隊が共有可能となり、そのまま司令部を経由せず作戦の修正が可能となったので、米陸軍も司令部と前線の役割を見直す機運にあり、それが“逆ピラミッド組織”の概念となっている。そういう紹介が、“サーバント・リーダーシップ入門”にあり、フォードや資生堂が“逆ピラミッド組織”の導入を図っているとの説明はしたが、こういう“逆ピラミッド組織”の概念がISOマネジメントに及ぼす影響は今は未だ考え及ばないとの考察不十分が聞き手に不満を抱かせたのかも知れない。
また、“ISO審査員にリーダーシップは必要か”との指摘もあった。しかし、審査環境の適正な維持という点において重要な資質と考えられるし、むしろ被審査者がそのリーダーシップに気付かないサーバント・リーダーシップこそがISO審査員には理想的と言えるのではないかと、答えておいた。
もう一人の発表者は、ISO/TS16949の運営状況現状を説明していた。これも、事実を解説する内容であるので、発表者なりの結論を必要とするものではない。自動車業界での浸透ぶりは、かなり進んでいる印象で、私が言うのも問題があるが、自動車業界に関わるとかなり大変なことになると思われた。
当日の日中の研修予定はこれで終わり、夜は宴会となった。
その後、1泊して2日目の土曜日、広島観光日程として午前は平和記念公園、資料館を訪れ、午後宮島の厳島神社に参詣し、研修会は散会し、皆と別れた。さらに3日目、ついでに私はかねてより行きたいと思っていた呉をこの際に訪れ、午前旧海軍の名残のある江田島の術科学校に行き、日曜午後に行われる現役自衛艦の一般公開に参加し基地に停泊中の艦船多数の威容を見、公開対象の練習艦艦内を見て、さらに“てつのくじら館”、“大和ミュージアム”を見学して帰神した。
今回は、この内の1日目の模様を報告したい。次回以降、グルメ紹介や散策日誌として紹介したい。
神戸から広島には、西明石から新幹線を利用。何故か姫路から新幹線と同じ料金なので、ならば西明石からの方が時間短縮になる。神戸市内から西明石へは新快速を利用。西明石からは“こだま”に乗り、岡山で“のぞみ”に乗り換え、正午前に広島着。神戸からのJR路線内で2度の乗換。到着後直ちに、名物のお好み焼きで昼食。
13時半、駅前のロータリー前で集合待合せ。参加者集合を確認後、バスでマンションのメンテナンス作業現場に赴く。現場視察に先立って、マンションの自治会が利用する会館で、メンテナンス工事会社の案内者から見学前に若干の事前説明があった。そこでメンテナンス工事会社の概要や、その会社と会員のかかわりの経緯状況の説明を受けた。マンションは10階建て30所帯が入居するこじんまりした規模であった。
ここには研修会会員の一人が入居しており、元々はこのマンションを建設した建設会社の管理会社に、メンテナンス工事も丸投げしていたが、それではどうも業者に上手くやられっぱなしのようだと気付き、なんとかマンション自治会を説得、これをまとめあげて良心的メンテ会社を入札で選択して、仕事をしてもらっている、とのこと。メンテナンス工事を請け負った会社は、ISO9001を認証取得しているが、マネジメント・システムの維持に若干の悩みがあるとのことで、相談にあずかるということで我らの会の視察となった由。
工事は住民居住のまま施工されており、その内容は鉄部塗装のメンテ・再塗装、タイルのはがれ状態(接着不良)の確認と不具合部分の再貼り付け、屋上のアスファルト・シートのメンテ(雨漏り防止)、その他表層コンクリートのチェック不具合部分の是正、雨水溝防水塗装のメンテ等であった。工事は既に終盤に入っており、作業用リフトは撤去されており、一部足場も取り払う作業に入っていた。
予定通り、マンション作業現場視察後、会員の感想・意見の交換となった。
現場の案内者はマネジメント・システム管理責任者でもあり、はじめに会社状況の説明が再度詳しくなされた。本来は塗装工事専門業者であったのだが、手を広げて一般建物メンテナンス事業へ進出。そのためもあってか創業者2代目の経営者がISOマネジメントを気に入って、広島でも早目のISO認証取得した。その後 社員の世代交代があったが、その過程で古い世代の文書・記録を嫌う職人気質は薄れて、新しい世代によりISOマネジメントに馴染んで来ている。しかし、その若手社員の業務改善への取組意欲については未だしの観があり、それが大きな悩みという現状の説明であった。
この説明に対し、研修会会員の反応は視察した現場管理の問題の指摘に終始した。それは、むしろそうした実際上の目に見える問題を解消させる過程で、自ずと若手社員への教育もOJTで為されて行くだろうとの思いからであった。また、そうした問題を抱えたままでは、会社自体が現状を改善させられないまま、進歩が望めないとも考えたためである。
そして、何よりも問題とされたのは、現場での塗装にともなうシンナーの臭いが酷いことであった。事前の案内者説明でも、 “シンナーの臭いに弱い方は参加しない方が良いかも知れない”という発言があった程であった。住民が居たままでの工事がこれでは、まずいのではないか、安全上も大いに危険で引火事故から火災発生ともなれば、会社への業務停止処分のリスクもあり得るとの指摘が相次いだ。また、これに関連して屋上ではあったが、塗料や溶剤の一斗缶が整列されてはいたが、その量は消防法に抵触する量にも見えるとの指摘もあった。
工事当日情報の掲示は1階ロビーにあり、そこには3日前の配付の進捗情報文書の掲示や当日の“洗濯物干し情報”も各戸別に可否が表示されていたが、住民への情報の徹底度合いが不明だとの指摘もあった。また、作業者の住民等に対する挨拶も不十分なので外注業者への指導が十分であろうか、との指摘もあった。
私も、最後の発言として朝の現場作業の開始時にツール・ボックス・ミーティングとして、当日の作業内容の確認と、その作業に伴う危険なことへの可能性と予防のための処置、いわゆるKYミーテーィングが行われているのか、これは大手では常識として実施されているもののはずだがどうなのか、との疑問を呈しておいた。
いずれにしても、現場管理が甘いとの指摘が相次いでいて、品質マネジメントと言うより、環境に近いものとなってしまった。また協議と言うよりは指摘の会となったが予定時間は過ぎ、メンテナンス工事会社の案内者も言われっぱなしで帰って行った。何か参考となるものがあっただろうか。
私の発表は、これまでのリーダーシップへの思いの概要と、リーダーシップについて直近読んだ本の紹介と、その内容で気に留めた部分の説明を中心に、“リーダーシップ随想”と称して話題提供を行った。ISO審査員として、リーダーシップをどのように考え、どう取り扱うべきかを説明できれば、自分に大いに欠ける部分であるので今後役立つだろうと考え、取上げたものだった。しかし結論がでないまま発表に及ぶハメになったので、その旨を謝罪したつもりだったが、それを殊更に非難する向きがあり、残念な結果となった。非難した御仁も、これまで発表にあたって得々と解説をなされるばかりであって、必ずしも結論を語られることはなかったので、“どういうことか”との思いはあったが、コトを荒立てるつもりはなかった。
発表のために読んで紹介した本は、下記の通り。
①金井壽宏/著“リーダーシップ入門”(現代リーダーシップ論の全体観を知るための入門書)
②R.A.ハイフェッツ/著“リーダーシップとは何か”(未だ主流と見られていないが世界水準の先端的議論)
③米海軍協会/編著“リーダーシップ―米海軍士官候補生読本”(軍隊におけるリーダーシップ論)
④池田守男、金井壽宏/著“サーバント・リーダーシップ入門”(新しいタイプのリーダーシップ論の解説)
⑤冨山和彦/著“結果を出すリーダーはみな非情である”(現代日本の実業現場から必要とされる実務リーダーシップ論)
つい最近まで、経済学の巨人J.K.ガルブレイスは2002年の著書“日本経済への最後の警告”に、リーダーシップの研究に否定的見解を示していた。また、上記の本の中で日本の泰斗神戸大学の金井寿宏教授も、この分野は、“経営学の重要な部分(時にメイン・テーマとなる程)を包含しているが、言語化、理論化は遅れている。”と指摘していることもあっが、EテレでR.A.ハイフェッツのハーバード白熱教室を見て、何らかの結論があるものと思い込んで突進。ところがどうやら今も定説がなく学問的には未開発段階にあって容易に結論は出ないものと気付いたが、その時は途中で引き返す余裕もなく、むしろそのまま突き進んだ方が私なりの結論がでるかも知れないと思い上がってしまった。発表に当たっては最終的には、現状の経営学とその周辺でのリーダーシップへの考え方の紹介という姿勢でも許容されるものと思い、発表に及んだのだった。それが、批判の下に曝されるとは思いの外だったのだ。
米海軍士官候補生読本にあった、“ネルソンの「艦長の戦い」”は、軍の司令官と兵卒との間に介在する中間管理職としての“艦長”の独断専行の重要性を強調し、ために士官教育は重要としていた。しかし、今やITの発達とともに現場での生の情報を各部隊が共有可能となり、そのまま司令部を経由せず作戦の修正が可能となったので、米陸軍も司令部と前線の役割を見直す機運にあり、それが“逆ピラミッド組織”の概念となっている。そういう紹介が、“サーバント・リーダーシップ入門”にあり、フォードや資生堂が“逆ピラミッド組織”の導入を図っているとの説明はしたが、こういう“逆ピラミッド組織”の概念がISOマネジメントに及ぼす影響は今は未だ考え及ばないとの考察不十分が聞き手に不満を抱かせたのかも知れない。
また、“ISO審査員にリーダーシップは必要か”との指摘もあった。しかし、審査環境の適正な維持という点において重要な資質と考えられるし、むしろ被審査者がそのリーダーシップに気付かないサーバント・リーダーシップこそがISO審査員には理想的と言えるのではないかと、答えておいた。
もう一人の発表者は、ISO/TS16949の運営状況現状を説明していた。これも、事実を解説する内容であるので、発表者なりの結論を必要とするものではない。自動車業界での浸透ぶりは、かなり進んでいる印象で、私が言うのも問題があるが、自動車業界に関わるとかなり大変なことになると思われた。
当日の日中の研修予定はこれで終わり、夜は宴会となった。
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