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雑誌・“軍事研究’18年2月号記事・アメリカによる北ミサイル殲滅作戦”を読んで

3月初め ある週刊誌が、朝日新聞の財務省森友文書改竄スクープ後、“朝日新聞VS安倍首相「最終戦争」社長の首が飛ぶか、政権崩壊か!”と面白おかしく記事を書いていたように思うが、いよいよ加計学園問題が“首相案件”だとする備忘録の公文書が出て来たと朝日が追い打ち報道して、その外の防衛相日報問題、財務次官セクハラ問題と政府の内部統制の脇アマも明るみになって、安倍政権崩壊の決定打になりつつある。小泉元首相は、“既に国民からの信頼を失った。何を言っても言い訳にしかならない。総裁三選は無理。”と断じたようだ。
それでも、安倍氏御当人は“全容を明らかにし、膿を出し切り、その上で二度とこうしたことが起こらないように組織を立て直していきたいと思っています。”と言ったと報じられている。“膿を出し切る”と言う言葉、少し前どこかで聞いたような気がする。そうだ!それは土俵のそばだった。その膿はいずれも発言者御当人ではないのか、と思われるような気がするが、どうだろうか。それより、安倍氏御当人の「“一点の曇りもない”と御断言したはずなのに、どんな“膿”があるのでしょうか」というきつい突っ込みもあるようだ。
さらに安倍氏は総裁選をにらんで、週末大阪での基盤固めに現地に乗込んで、維新の会の“大阪都構想に反対”の意向を明言したようだが、これが“窮すれば鈍す”となるような気がするがどうだろうか。つまり、“都構想”は維新の会の根幹をなす政策であり、それに反対することは、維新の会を否定することに繋がる。憲法改正に踵を合わせる、というか安倍氏不遇の折にあえて接近した維新の会との関係性が悪くなることは、自らせっせと墓穴を掘ることにつながるのではないかと思うが、どうなのだろう。
首相に疑惑を質問しても証拠がなければ質問してはならない、という首相の立場は民主主義、議会主義では基本的に成立しない。何故ならば疑惑があるから、説明がウソだらけではないかと思うから議会で質問しているだけで、それを解消するために与えられた場が議会なのだ。権力者には疑惑を晴らす義務があるのだ。安倍氏は国民の知る権利を冒涜している。安倍氏の非民主的で強権・独裁的体質を示すものだ。

このようにアホな政権にお仕えして、優秀な官僚たちが政権のためにした仕事があだとなって堕ちてゆく、決して忠良な部下・官僚たちを守ってくれない、そんな図が目の前で展開されている。官僚たちにとって、そんな政権を支える意味があるのか、という意識が拡がって行っているのではないのだろうか。それも、墓穴を掘ることにつながるのではないかと思うが、どうなのだろう。
それで人々の信頼をさらに次々と失って行っているのではないか。どう考えても、政権の溶解が始まっておりもう末期的。

御当人はそれでも来週から外交日程を予定通り消化するつもりのようだ。“得意の”外交で面目を果たすつもりのようだが、国民の信頼を失った首相が行う外交にどのような効果があるのだろうか。欧米ではマヌケな首相としてモノ笑いの種になっているためか、安倍氏のスキャンダルは逐一報道されているらしい。一旦、自分をバカにしたトランプ氏とどのように対面するつもりなのか。あくまでも卑屈に“日本の希望”を述べるのか。それとも高度な皮肉を述べてバカにするなと人間性をかけて面罵できるのか。
今までの安倍氏の知的レベルを見ていれば、全く期待できまい。それでトランプ氏から日本に有利なカードを引き出せるとは思えない。むしろ逆で、足元を見られて不利な条件ばかり持ち出されるような気がしてならない。それで国益を守れるのか。経済問題では中国と同列に扱われてしまって面目を潰されたはずだが、そこでさらに譲歩するというのか。役に立つかどうか不明の兵器システムを買わされるハメに陥るがオチか。
ましていわんや、拉致被害者家族の期待するような政策も引き出せるとは思えない。安倍氏にとっては、それがライフ・ワークだったはずだが、そんなことも上の空で終わってしまうのではないか。この件では、はるか昔、既に米側当局者を失望させたのが安倍氏だった。米側は政府当局として記憶しているはずで、彼には何も期待しては居ないはずだ。
安倍氏が現在為すべき最善のことは、来週早々政権を投げ出すこと。首相の二度目の辞任ではないか。所詮、首相を任せられる人物ではなかったにもかかっわらず、日本人は彼を首相に押し上げたことになる。懲りない人々、愚の骨頂。マルクスではないが、“歴史は二度繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。”一度目はどんな悲劇だったかは知らないが、二度目はどんな喜劇となるのか、微妙な気分になる・・・ヒョットして日本の悲劇になるのでは・・・?


さて、一時は朝鮮半島有事が世界の衆目を集めたが、中朝首脳会談の開催により、半島での北非核化のための戦火勃発は殆ど可能性がなくなった、と見ている。何故ならば米中共同による緊密な軍事力行使のみが、北の非核化はあり得ないと思うからだ。米中の軍事力は夫々の得意分野での発揮により北の完全平定と北が作り上げ保有する核爆弾の完全接収が可能になると考えている。それは、米軍による北のあらゆる軍事施設へのピンポイント攻撃と破壊、その後の数をたのんだ中国人民軍による地上軍の投入によって実現するものとなると見ている。核爆弾の完全接収や北の要人逮捕は米特殊部隊や海兵隊の活躍の舞台となるのか、中国人民軍特殊部隊の担当となるのかは、詳細な米中交渉の結果となろうが、大枠としてはそうなるだろうと思っている。そうでなければ、米国が考えるような理想的な北の非核化は困難と見るべきだろう。
だが、その理想的な北の非核化は北朝鮮が中国にある種支援を求め、中国がそれに応じた時点で米中の緊密な共同軍事行動は成立しなくなったと見るべきだろう、と思っている。
今後は国際社会のそれぞれの国益に応じた外交活動でめまぐるしく情勢は変化するものと考えるべきだろう。米側がどのような選択肢を選ぶのかが重要だが、条件付きでの北の核武装容認が米中の一致点として十分考えられる。その際は、日韓は常時北の核の脅威にさらされることになる。それが似非ナショナリスト安倍氏のお得意の外交の為せる結果となる皮肉な懸念は高い。

このような現状で、数カ月前のシチュエーション下での米軍の北への軍事力行使をシミュレーションしても大した参考にはならないだろうが、具体的にどのような事態になるのか一旦想定しておくことは多少の意義はあるだろう。そういう意味で雑誌・“軍事研究’18年2月号記事・アメリカによる北ミサイル殲滅作戦”を読んでみた。実は、軍事研究’18年2月号は“アメリカによる北朝鮮先制攻撃”を特集していて、どのような内容が記されているのか興味があった。しかし、気付いた時は2月末、既に遅しで、書店店頭からは一斉に姿を消しつつあり、ついに購入できなかった。そこでめぼしい図書館にあたってみてなんとか見つけた次第だ。そして、それをコピーして今回ようやく読むことが出来た次第だ。
その間、金正恩が動いて国際情勢が大きく変化してしまったというマヌケな事態になったのだった。

この雑誌、“アメリカによる北朝鮮先制攻撃”を特集していることになっているが、実際にはそれを様々な角度、レベルで投稿されている記事は殆どないことが分かった。唯一その“特集”にそっていることが明確だったのは、“軍事社会学者”という肩書の北村淳氏による“アメリカによる北ミサイル殲滅作戦”と言う記事だけだったので、今回はこの記事に絞ってコメントしたい。
ここまで前説までやって申し訳ないが、この記事の内容は残念そのもの。読んでみて、一体どういう趣旨で書かれた記事なのかさっぱり分からない。どうやら、アメリカが掃討し損ねたミサイルがいくつか韓国や日本に飛んでくる可能性が高い、というこことそれが核弾頭搭載のミサイルばかりとは限らず、生物化学兵器搭載の飛来が考えられる、という指摘であるというものだった。そんなことはわざわざ“専門家”に言われなくても、普通の人なら既知のことだ。
しかも生物化学兵器搭載のミサイルが飛来すると予測するならば、どうすれば被害を最小限にとどめることができるのか、防御の可能性はどの程度なのか、の“解説”がなされるべきではなかったかと思うが、それへの言及はなかった。
生物化学兵器は投下しても拡散してしまう可能性が高く、使用条件によっては戦果は限られるとされるようだが、受ける側からの防護体制に関連してより安全とするには、現状どうするべきかの“解説”が必要ではなかったか。
それよりも気懸りなのは、以前に紹介した元海自艦隊司令の香田洋二氏の解説で北の潜水艦による水中発射のミサイル攻撃があり得る点だ。今の海自では、そこに居る潜水艦が日本に向けてミサイルを発射するはずと分かっていても手出しできない点だ。そのミサイルが明らかに日本に落下すると分かった時点で、ようやく攻撃可能となるという問題がある。現状では米軍に攻撃を依頼するしか、防ぐ方法はない。この点の議論もなかった。

アメリカが北朝鮮先制攻撃する目的は北の非核化であり、すでに保有している核の接収であるが、それを具体的にどのようにするかについての言及もなかった。
要は肝心な点についての言及は殆ど無かったということだ。つまりこの記事の論点が不明確で、記事としての価値はほとんどない。軍事知識のひけらかしだったが、そのレベルは残念ながら低いものだった。

例えば、北の地下軍事施設を破壊するにはバンカー・バスター(地中貫通爆弾)やMOAB(大規模爆風爆弾兵器)を使った航空機からの攻撃を主体とするのが有効とする偏った見解だった。何故かトマホーク巡航ミサイルの先制攻撃の効果を軽視しているかのように受け取れる。
この点、私は逆にトマホークが機先を制する先制攻撃としては非常に有効であり、どのように使用するかが鍵だと考えているのとは異なる。あの香田洋二氏の解説でも1200発のトマホーク使用との指摘があり、私は1000発のトマホーク使用と見積もっていて意を強くしたものだった。確かにトマホークは先年、シリアに59発投下されたが、その効果は疑問の点が多く、アサド政権に及ぼした物理的影響は少なかったようだ。
しかし、その地を這うような低空飛行のためレーダーで捉え難い点やピンポイントでの攻撃が可能であるという点では抜群の効果があると見るべきだろう。例えば、飛行場の滑走路に1発落として穴をあけられれば、それだけでそこに待機する航空機は使用不能になるはずで、地下軍事施設に対しても、その出入り口を塞ぐことが出来ればそれを容易に無力化できるはずだ。地下施設の出入り口に大きな岩が転がるだけで、ミサイルを搭載した車両の出動は大幅に困難となる。何も完全破壊でなければならないという発想は拙劣ではないか。
その上今や上空からの偵察技術はドローンの発達で著しく向上しているはずだ。衛星からの遠距離では天候次第で雲に覆われた場合観察不能だが、相手に気付かれない小さなドローンであれば十分に使用に耐えるはずだ。現に韓国は北が模型飛行機で“偵察”していることに気付かなかった事実がある。従い、不自然に整地・整備された道路があるならば、その先の山蔭に有力な地下施設があると、容易に推察できるので、その先の出入り口をピンポイントで攻撃すれば地下施設を無力化可能だと考えるべきだろう。ということは、常時偵察監視しているはずの米軍は北の軍事施設の存在を詳細に把握しているはずだと、容易に想像できる。それだからこそ、38ノースという米軍の外郭団体を使って、時折偵察衛星の情報を流し、これくらいは熟知していると北に圧力を掛けているのだ。。

このようにトマホークの使用が先制攻撃の中心となるはずだが、それが千発以上必要と考えるならば、現状では大規模な海上兵力の集結、つまり最低3個空母打撃群を半島近海に集中させる必要があるので、米軍が先制の決意を固めたかどうかはその動向で分かってしまう。だから、演習にことよせて兵力を集める必要があるのだが、和平ムードでその気配は消えているのが現状なのだ。

トマホークで先制後、有人機による掃討作戦へ移行し、さらに要所つまり核の保管場所への地上軍投入となると考えるのが普通であろう。北村氏の記事には肝心のこうした米軍の攻撃態様の全体観が全く記述されていない。何のための投稿なのか意味不明なのだ。
その他の記事も若干読んでみたが、“軍事研究”とは称するものの軍事オタクの同人誌の印象で、社会的に意味あるとは思えず、非常に落胆したものだった。

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