2024年6月末に、山梨県の小学校で100人以上に同時にアレルギー症状が発生しました。
原因は学校給食に出されたビワと報道されました。
果物アレルギーと一口に言っても、
実は3種類あります。
1.いわゆる“果物アレルギー”
2.口腔アレルギー症候群、あるいは花粉-果物アレルギー症候群
3.仮性アレルゲン(あるいは生理活性物質)による症状
1は特定の果物を食べてから30分〜2時間後に皮膚症状(じんましん)が出るタイプ、中には消化器症状(嘔吐・腹痛・下痢)や呼吸器症状(声がれ、咳込み、喘鳴、息苦しい)などを伴う重症型もあります。
2が今回のエピソードに当てはまります。先行して花粉症を発症し、その花粉のアレルゲン構造と似た構造を持つ果物アレルゲンを食べた際、「あ、花粉が入ってきた」とカラダが誤って認識して誤爆するメカニズム。
ただ、この場合の果物アレルゲンは消化酵素で分解されてしまうので、吸収してから思い全身症状が出ることは稀です(例外あり)。
そしてビワはヒノキ花粉と関係があることが判明しています。
つまり、今回症状が出た生徒は、ヒノキ花粉症がもともとあって、ビワを食べたときにカラダが「ヒノキ花粉が入ってきた!」と反応してアレルギー症状が出た、というカラクリです。
ヒノキ花粉症?ってメジャーではありませんが、実はスギ花粉症の7〜8割にヒノキ花粉症が合併していますので、スギ花粉症患者さんはヒノキ花粉症も持っていると考えた方がよいでしょう。
3は省略します(詳しく知りたい方はこちらをご覧ください)。
<参考記事>
■ 学校給食「ビワ」で集団アレルギー!意外と 知らない「花粉症と果物アレルギー」の深〜い関係
(アサ芸プラス)より抜粋(下線は私が引きました);
2024年6月25日、山梨県富士吉田市の学校給食に「ビワ」が出された。これを食べた市内の小中 学校の児童生徒3500人のうち126人が、のどの違和感など口腔アレルギー反応を訴えた。 のどのかゆみや違和感、唇の腫れのほか、充血や腹痛、じんましんなどの全身症状が出た 子供もいたという。
同じ給食メニューを食べた市内の保育園ではビワが提供されておらず、アレルギー症状を 起こす園児がいなかったため、早々にビワアレルギーと判明した。・・・
ビワでアレルギーを起こしやすいのは、3月から4月にヒノキ(カバノキ科)の花粉で花 粉症を起こす人。カバノキ科の花粉とビワに含まれるタンパク質が似ており、ビワを口に すると、口の中や喉の粘膜がアレルギー反応を起こす。ヒノキ花粉症は最もメジャーなス ギ花粉症の時期と重なっているため、ヒノキ花粉症を自覚していない人は少なくない。ヒ ノキ花粉の人は豆乳に含まれるタンパク質でもアレルギー反応を起こすため、要注意だ。
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スギ花粉より早く、1月からアレルギー症状が出る人は、ハンノキやシラカンバの花粉症 かもしれない。桃やリンゴのアレルギーを起こしやすいのだ。
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ひと昔前は果物でアレルギーが出るなんて、思いもよらなかった。今回のビワ集団アレル ギーは、子供たちに美味しい国産フルーツを味わってほしいという食育の一環で、不幸な アクシデントというしかない。
口腔アレルギーが判明し、生食のフルーツは食べられなくなっても、ジャムやゼリーなど 加熱調理したものなら食べられることがある。