2023年5月に新型コロナが感染法上、“2類相当”から“5類相当”に格下げされてから、
巷の感染対策も随分、緩んできました。
街中ではマスクをしている人の割合が減少し、
コンビニではアルコール消毒を撤去している店舗も見かけるようになりました。
さて、医療の現場では?
私は診療中、医療用の「N95」マスクの使用をずっと続けています。
これは密閉性が高く、キチンと装着すると苦しくなるタイプ。
なぜかというと、以前は医療用簡易マスクである「サージカルマスク」を使用していたのですが、
子どもにも流行が始まった2022年8月、
マスクをできない乳幼児達が目の前で咳き込んでウイルス飛沫・エアロゾルをまき散らす状況下、
私も感染してしまいました。
一方、当時N95マスクを片時も外さなかった看護師スタッフの感染者はゼロ。
以降、私はN95マスクに切り替えて、ずっとそれを続けています。
看護師スタッフは逆に、サージカルマスクに切り替えていますね。
さて、なぜここまでやるかというと…私はハイリスクなんです。
年齢が還暦で、持病持ち → 重症化しやすいタイプです。
最後のワクチン接種から期間が空いている今、
2度目の感染をすると無事では済まないような気がしてます。
実際に隣町の開業医がこの春に新型コロナに感染して亡くなりました。
基礎疾患ありの60歳代…私と同じです。
同様にハイリスク者が多い老人施設では、
現在でも感染対策を弛めていないと思います。
さて、新型コロナパンデミックの際は、喧々顎学だった“マスクの効果”。
最近検証された報告が目に留まりました。
ポイントは以下の通り;
・マスクが強制でない場合、3時間未満の短いフライトと比較して、3〜5時間の中距離フライトでは感染リスクが約5倍、6時間以上の長いフライトでは26倍に及ぶ。
・マスクが強制でない場合、フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍増加。
・マスク必須の場合では、長時間のフライトでも感染が報告されなかった!
■ 飛行機でのコロナ感染リスク、マスクの効果が明らかに~メタ解析
(ケアネット:2024/06/20)より抜粋(下線は私が引きました);
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの拡大は、航空機の利用も主な要因の1つとなったため、各国で渡航制限が行われた。航空業界は2023年末までに回復したものの、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の多い時期は毎年発生しており注意が必要だ。米国・スタンフォード大学のDiana Zhao氏らは、ワクチン導入前のCOVID-19パンデミック時の民間航空機の飛行時間とSARS-CoV-2感染に関するシステマティックレビューとメタ解析を実施した。その結果、マスクが強制でない3時間未満の短いフライトと比較して、マスクが強制でない6時間以上の長いフライトでは感染リスクが26倍に及ぶことや、マスク必須の場合では長時間のフライトでも感染が報告されなかったことなどが判明した。
・・・
本研究では・・・2020年1月24日~2021年4月20日に発表されたCOVID-19と航空機感染に関連する研究のうち、SARS-CoV-2感染のインデックスケース(最初の感染者)がいることが確認されていて、フライト時間が明示されているものを対象とした。抽出されたデータには、フライトの特徴、乗客数、感染ケース数、フライト時間、マスクの使用状況が含まれた。フライト時間は、短距離(3時間未満)、中距離(3~6時間)、長距離(6時間超)に区分し、フライト時間と機内でのウイルス感染率の関係を負の二項回帰モデルを用いて分析した。主な結果は以下のとおり。
・15件の研究が解析対象となった。これらの研究には、合計50便のデータが含まれた。
・50便のうち、26便が短距離(2~2.83時間)、12便が中距離(3.5~5時間)、12便が長距離(7.5~15時間)だった。うち、長距離の6便はマスク必須であった。
・50便のうち、35便では機内での感染がなかった(短距離20便、中距離7便、長距離8便)。うち、マスク必須の長距離の6便ではすべて機内での感染がなかった。
・15便で1件以上の機内感染が報告された。
・感染率は中央値0.67(四分位範囲[IQR]:0.17~2.17)、短距離では0.50(IQR:0.21~0.92)、中距離では0.29(IQR:0.11~1.83)、長距離では7.00(IQR:0.79~13.75)だった。
・いずれもマスクが強制でない短距離、中距離、長距離のフライトの機内感染リスクを比較したところ、短距離フライトに比べて、中距離は4.66倍(95%信頼区間[CI]:1.01~21.52、p<0.0001)、長距離は25.93倍(95%CI:4.1~164、p<0.0001)の感染リスク増加と関連していた。
・フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍(95%CI:1.19~1.66、p<0.001)増加した。
本研究により、フライト時間が長くなるほど、機内でのSARS-CoV-2感染リスクが増加することが示された。とくに、マスクを着用しない場合、このリスクは顕著に高まる。一方で、マスクの徹底した使用は、長時間のフライトにおいても感染リスクを効果的に抑制することが示された。
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本研究では・・・2020年1月24日~2021年4月20日に発表されたCOVID-19と航空機感染に関連する研究のうち、SARS-CoV-2感染のインデックスケース(最初の感染者)がいることが確認されていて、フライト時間が明示されているものを対象とした。抽出されたデータには、フライトの特徴、乗客数、感染ケース数、フライト時間、マスクの使用状況が含まれた。フライト時間は、短距離(3時間未満)、中距離(3~6時間)、長距離(6時間超)に区分し、フライト時間と機内でのウイルス感染率の関係を負の二項回帰モデルを用いて分析した。主な結果は以下のとおり。
・15件の研究が解析対象となった。これらの研究には、合計50便のデータが含まれた。
・50便のうち、26便が短距離(2~2.83時間)、12便が中距離(3.5~5時間)、12便が長距離(7.5~15時間)だった。うち、長距離の6便はマスク必須であった。
・50便のうち、35便では機内での感染がなかった(短距離20便、中距離7便、長距離8便)。うち、マスク必須の長距離の6便ではすべて機内での感染がなかった。
・15便で1件以上の機内感染が報告された。
・感染率は中央値0.67(四分位範囲[IQR]:0.17~2.17)、短距離では0.50(IQR:0.21~0.92)、中距離では0.29(IQR:0.11~1.83)、長距離では7.00(IQR:0.79~13.75)だった。
・いずれもマスクが強制でない短距離、中距離、長距離のフライトの機内感染リスクを比較したところ、短距離フライトに比べて、中距離は4.66倍(95%信頼区間[CI]:1.01~21.52、p<0.0001)、長距離は25.93倍(95%CI:4.1~164、p<0.0001)の感染リスク増加と関連していた。
・フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍(95%CI:1.19~1.66、p<0.001)増加した。
本研究により、フライト時間が長くなるほど、機内でのSARS-CoV-2感染リスクが増加することが示された。とくに、マスクを着用しない場合、このリスクは顕著に高まる。一方で、マスクの徹底した使用は、長時間のフライトにおいても感染リスクを効果的に抑制することが示された。