メディカル・トリビューンで特集された座談会から気になった箇所を抜粋します。
座談会のメンバーは、耳鼻科専門医の以下の方々;
ふたばクリニック院長 橋口一弘氏
日本医科大学大学院頭頸部・感覚器学分野教授 大久保公裕氏
ゆたクリニック院長 湯田厚司氏
一通り読んで、耳鼻科と他科(主に内科)を受診する患者層は異なるんだろうな、と感じました。
耳鼻科受診患者は、鼻汁/鼻閉がつらくてたまらないから何とかして→ 治療も即効性、有効性を優先。
他科受診患者では、鼻汁/鼻閉もつらいけど頭痛/だるさなど全身症状もつらい、もともと喘息を持っている→ 多様な治療法選択。
という傾向が読み取れました。
■ 花粉症対策座談会 〜アンケート結果から2016年の症状、薬物療法、防御策を探る
(2017花粉症対策 | 2016.12.26)
花粉の飛散状況は毎年異なるため、経年的な調査でそのトレンドを探ることができる。そこでスギ花粉症舌下免疫療法(SLIT)を実施した経験があるMedical Tribuneウェブ医師会員106人を対象に調査〔耳鼻咽喉科、アレルギー科・小児科など、調査期間は今年(2016年)9月中旬〕を行った。調査では、2016年春季の花粉飛散シーズンに問題となった症状や、喘息や通年性アレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患を合併する患者の症状に関する特徴、従来の治療法である経口薬、点鼻(鼻噴霧用)薬、点眼薬を用いた薬物療法の実際、治療薬を処方する際の留意点について聞いた他、花粉防御策の実際に関しては医師と患者で意向の違いを探った。さらに、日本医科大学大学院頭頸部・感覚器学分野教授の大久保公裕氏、ゆたクリニック(三重県)院長の湯田厚司氏、ふたばクリニック(東京都)院長の橋口一弘氏に、花粉飛散期特有の症状について討議してもらった。
患者さんがどんな症状で悩むのか・・・喘息合併患者さんでは、咳が出る比率が高いことがわかります。
また、目鼻の局所症状にとどまらず、だるさ/全身倦怠感を訴える方も10〜20%と少なくありません。
耳鼻科と他科受診者との症状の比較では、頭痛/頭重感やだるさ/倦怠感で明らかな差が出ており、全身症状が辛い患者さんは耳鼻科以外(おそらく内科)を受診されている様子がうかがえます。
次に治療について。
耳鼻科専門医と他科の医師との治療の違いを示した表です。
もともと喘息の薬で、近年鼻閉にも保険適応になった抗ロイコトリエン薬は他科医師の方が処方率が高いですね。
患者層の違い(内科では喘息合併者が多い)を反映しているものと思われます。
ただ、当地域では耳鼻科医でも抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬の2剤併用が多い印象があります。
座談会出席者が気にしていた点鼻ステロイド薬の処方率は、思ったほど差がありませんでした。
中等症以上の患者さんに対しては、抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬+点鼻ステロイド薬の3剤併用が約50%を占めており、一つのスタンダードになっていることがわかります。
医師が薬を処方する際、耳鼻科では症状抑制を、他科では副作用の有無を重視していることがわかります。
ここで気になるのはステロイド点眼薬です。
ステロイド点鼻薬は30%以上の医師が処方している一方で、同じく強い効果が期待されるステロイド点眼薬は耳鼻科/他科医師ともに5%にとどまっています。
この理由は副作用にあります。
ステロイド点眼薬は連用すると緑内障発作を誘発するリスクがあるため、長期に使用する場合は眼科医の管理が必要になるのです。
私は抗アレルギー点眼薬と内服薬で眼症状(かゆみ、充血)がコントロールできない場合は眼科受診を勧めています。
次は患者さん自身が行っている花粉症対策について。
マスク、眼鏡/ゴーグル、空気清浄機は予想できましたが、「鼻洗浄」の34%は意外でした。
つらい鼻閉感を何とかしたいといいう気持ちの表れと思われますが、効果が報告される一方で、鼻洗浄のやり過ぎは鼻粘膜の繊毛にダメージを与えることも指摘されています。
私自身も花粉症なので、シーズン中は洗濯物/ふとんは外に干さないようにお願いしています。
この調査によると、行っている人は30%程度・・・思ったより少ないですね。
保湿ティッシュ/ローションティッシュ以外は10%以下にとどまり、あまり一般的ではないようですね。
座談会のメンバーは、耳鼻科専門医の以下の方々;
ふたばクリニック院長 橋口一弘氏
日本医科大学大学院頭頸部・感覚器学分野教授 大久保公裕氏
ゆたクリニック院長 湯田厚司氏
一通り読んで、耳鼻科と他科(主に内科)を受診する患者層は異なるんだろうな、と感じました。
耳鼻科受診患者は、鼻汁/鼻閉がつらくてたまらないから何とかして→ 治療も即効性、有効性を優先。
他科受診患者では、鼻汁/鼻閉もつらいけど頭痛/だるさなど全身症状もつらい、もともと喘息を持っている→ 多様な治療法選択。
という傾向が読み取れました。
■ 花粉症対策座談会 〜アンケート結果から2016年の症状、薬物療法、防御策を探る
(2017花粉症対策 | 2016.12.26)
花粉の飛散状況は毎年異なるため、経年的な調査でそのトレンドを探ることができる。そこでスギ花粉症舌下免疫療法(SLIT)を実施した経験があるMedical Tribuneウェブ医師会員106人を対象に調査〔耳鼻咽喉科、アレルギー科・小児科など、調査期間は今年(2016年)9月中旬〕を行った。調査では、2016年春季の花粉飛散シーズンに問題となった症状や、喘息や通年性アレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患を合併する患者の症状に関する特徴、従来の治療法である経口薬、点鼻(鼻噴霧用)薬、点眼薬を用いた薬物療法の実際、治療薬を処方する際の留意点について聞いた他、花粉防御策の実際に関しては医師と患者で意向の違いを探った。さらに、日本医科大学大学院頭頸部・感覚器学分野教授の大久保公裕氏、ゆたクリニック(三重県)院長の湯田厚司氏、ふたばクリニック(東京都)院長の橋口一弘氏に、花粉飛散期特有の症状について討議してもらった。
<花粉飛散期における花粉症の症状>
患者さんがどんな症状で悩むのか・・・喘息合併患者さんでは、咳が出る比率が高いことがわかります。
また、目鼻の局所症状にとどまらず、だるさ/全身倦怠感を訴える方も10〜20%と少なくありません。
<鼻症状以外で、今年春の花粉シーズンでひどかった症状>
耳鼻科と他科受診者との症状の比較では、頭痛/頭重感やだるさ/倦怠感で明らかな差が出ており、全身症状が辛い患者さんは耳鼻科以外(おそらく内科)を受診されている様子がうかがえます。
次に治療について。
<飛散シーズン前の中等症以上の患者への初期療法>
耳鼻科専門医と他科の医師との治療の違いを示した表です。
もともと喘息の薬で、近年鼻閉にも保険適応になった抗ロイコトリエン薬は他科医師の方が処方率が高いですね。
患者層の違い(内科では喘息合併者が多い)を反映しているものと思われます。
ただ、当地域では耳鼻科医でも抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬の2剤併用が多い印象があります。
座談会出席者が気にしていた点鼻ステロイド薬の処方率は、思ったほど差がありませんでした。
<花粉飛散期における中等症以上の患者への処方薬の組み合わせ>
中等症以上の患者さんに対しては、抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬+点鼻ステロイド薬の3剤併用が約50%を占めており、一つのスタンダードになっていることがわかります。
<治療薬を処方する際に重視すること>
医師が薬を処方する際、耳鼻科では症状抑制を、他科では副作用の有無を重視していることがわかります。
<中等症以上の花粉症患者に処方している点眼薬>
ここで気になるのはステロイド点眼薬です。
ステロイド点鼻薬は30%以上の医師が処方している一方で、同じく強い効果が期待されるステロイド点眼薬は耳鼻科/他科医師ともに5%にとどまっています。
この理由は副作用にあります。
ステロイド点眼薬は連用すると緑内障発作を誘発するリスクがあるため、長期に使用する場合は眼科医の管理が必要になるのです。
私は抗アレルギー点眼薬と内服薬で眼症状(かゆみ、充血)がコントロールできない場合は眼科受診を勧めています。
次は患者さん自身が行っている花粉症対策について。
<有用と考えられる花粉対策グッズ・食品など>
マスク、眼鏡/ゴーグル、空気清浄機は予想できましたが、「鼻洗浄」の34%は意外でした。
つらい鼻閉感を何とかしたいといいう気持ちの表れと思われますが、効果が報告される一方で、鼻洗浄のやり過ぎは鼻粘膜の繊毛にダメージを与えることも指摘されています。
<花粉症の防御対策(日本リサーチセンター社の患者調査から、複数回答)>
私自身も花粉症なので、シーズン中は洗濯物/ふとんは外に干さないようにお願いしています。
この調査によると、行っている人は30%程度・・・思ったより少ないですね。
<花粉対策用に購入した商品(日本リサーチセンター社の患者調査から、複数回答)>
保湿ティッシュ/ローションティッシュ以外は10%以下にとどまり、あまり一般的ではないようですね。