徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

(2022/23シーズン)抗インフルエンザ薬は何を使いますか?

2022年12月21日 07時14分03秒 | 小児科診療
今シーズン(2022年12月)、とうとう当院でもインフルエンザ陽性者が出ました。
2020年1月以来ですから、約3年振り。

<追記>
12/21には同じ学校内で新型コロナによる学級閉鎖とインフルエンザによる学級閉鎖が同時に発生しました。

私も患者さん側も、
抗インフルエンザ薬のことは忘却の彼方になっていると思われますので、
再度、整理しておきましょう。

先にポイントを;

・発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、約1日早く熱が下がります。軽症であれば、必ずしも必要ではありません。
・紹介する抗インフルエンザ薬はすべて、A型とB型の両方に有効です。
・20年間の実績のある、タミフルとリレンザがお勧め。
・イナビルは1回投与で済みますが、外国では治療効果が治験で証明できずに認可されていない現実があります。
・ゾフルーザも1回投与で済み、タミフルより体からウイルスが早く消えると報告されていますが、2018年にデビュー後、耐性ウイルス問題が話題になり、今シーズン真価が問われることになります。

年齢別に考えるとわかりやすく、
外来処方可能な薬を表にまとめました;

●:オススメ、●:訳ありオススメ、▲:可能だがオススメせず

各薬剤について説明します。

【タミフル】
・生後2週間(体重2500g以上)から全年齢に投与可能。
・粉薬とカプセルがあり、体重により使い分けます;
(体重37.5kg未満)粉薬(ドライシロップ)
(体重37.5kg以上)カプセル
・解熱しても5日間最後まで内服すべし(耐性ウイルス対策)。

【リレンザ】
・吸入手技ができる小学生以上にお勧め。
・解熱しても5日間最後まで吸入すべし(耐性ウイルス対策)。

【イナビル】
・1回吸入で終了のため、リレンザ使用経験のある子どもにお勧め。
・年齢により吸入量が異なります;
(10歳未満)1容器20mg(2吸入)
(10歳以上)2容器40mg(4吸入)

【ゾフルーザ】
・1回で内服終了。
・体重10kg以上で使用可能ですが、錠剤が飲める5歳以上にお勧め。
(体重10-20kg)10mg錠を1錠
(体重20-40kg)20mg錠を1錠(または顆粒2包※ )
(体重40kg以上)20mg錠を2錠(または顆粒4包※ )
・12歳以上あるいは成人では、
(体重80kg未満)20mg錠を2錠(または顆粒4包※ )
(体重80kg以上)20mg錠を4錠(または顆粒8包※ )
※ 顆粒は発売予定ですが時期は未定です。

副作用についても知っておく必要があります。

・すべての抗インフルエンザ薬に異常行動・精神/神経症状(意識障害、せん妄、幻覚、妄想、けいれん等)が出現する可能性があります。
・不測の事態に備えて、使用開始後2日間は本人から目を離さないようお願いします。目が届かない状況では、使用を控えてください
・重度の牛乳アレルギーのある方は、リレンザとイナビルは禁忌ですので使ってはいけません。この2剤には乳成分が微量入っているので、症状を誘発する危険があります。


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