日本では2014年秋に水痘ワクチンが定期接種化する予定です。
水痘ワクチンは麻疹ワクチンの有効性(90%以上)に比べるとやや有効率が落ちる(約80%)ので、2回接種してやっと麻疹レベルになると考え、短期間に2回接種を勧める方針となるようです。
これは生ワクチンというより不活化ワクチンに近い考え方になりますね。
MRワクチンも2回接種ですが、こちらは1回目が1歳台、2回目が年長さんと約4年間隔です。
一方、水痘ワクチンの2回接種は3-6ヶ月間隔。お間違えのないよう。
麻疹を含む混合ワクチンといえば日本ではMR(麻疹・風疹)ですが、ヨーロッパではMMRV(麻疹・おたふくかぜ・風疹・水痘)が普及しています(うらやましい!)。
タイムリーに以下の論文をみつけました。
単独の水痘ワクチン1回接種の有効性は65.4%、中等度~重症の水痘に対する有効性は90.7%。
MMRVを2回接種すると水痘発症防止の有効性は、94.9%であり、中等度~重症の水痘に対しては99.5%、との報告。
水痘ワクチン1回接種では80%どころか65%しか予防できないという寂しい事実。
水痘ワクチンを2回接種すると有効率が95%と確実に上がりますが、残念ながら100%にはならないのですねえ。
■ 水痘予防にはMMRV 2回接種を支持/Lancet
(ケアネット:2014/02/10)
チェコ共和国・フラデツ・クラーロヴェー大学病院のRoman Prymula氏らは、水痘の発症予防について、麻疹・ムンプス・風疹・水痘ワクチン(MMRV)2回接種と、単価水痘ワクチン1回接種の有効性を比較する無作為化対照試験を欧州10ヵ国の協力を得て行った。その結果、あらゆる型の水痘予防を確実なものとするためにもMMRVの2回接種を支持する結果が得られたことを報告した。今日、水痘発症率は、水痘ワクチンを“ルーチン”で行っている国では激減している。予防は単価ワクチンもしくはMMRVの接種にて可能であり、今回、研究グループは、どちらが有用かを比較検証した。Lancet誌オンライン版2014年1月29日号掲載の報告より。
◇欧州10ヵ国でMMRV 2回、MMR+V、MMR 2回の有効性を比較
試験は、多施設共同無作為化かつ観察者盲検にて、水痘の風土病がみられるヨーロッパの10ヵ国(チェコ共和国、ギリシャ、イタリア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スウェーデン)にて行われた。
生後12~22ヵ月の健常児を無作為に3対3対1の割合で、42日間で(1)MMRV 2回接種(MMRV群)、(2)1回目にMMR接種、2回目に単価水痘ワクチン接種(MMR+V群)、(3)MMR 2回接種(MMR群:対照群)に割り付けて検討した。
被験児と保護者はすべてのアウトカムについて個別に評価を受け、またデータの評価や解析に関係するスポンサースタッフは治療割付について知らされなかった。
主要有効性エンドポイントは、2回接種後の42日目から第1フェーズの試験終了時点までに確認された水痘の発症(水痘帯状疱疹ウイルスDNAの検出または疫学的関連性で判定)であった。症例は重症度により分類し、有効性の解析はパープロトコル解析によって行われた。安全性の解析には1回以上接種を受けたすべての被験児を含めた。
2005年9月1日~2006年5月10日に、5,803例(平均年齢14.2ヵ月、SD 2.5)が、ワクチン接種を受けた。
◇2回接種MMRVの有効性94.9%、中等度~重症例には99.5%
有効性解析コホートには5,285例が組み込まれた。平均追跡期間はMMRV群36ヵ月(SD 8.8)、MMR+V群36ヵ月(8.5)、MMR群は35ヵ月(8.9)であった。
水痘発症例は、MMRV群37例、MMR+V群243例、MMR群201例が確認された。2回発症例は、3例(全例MMR+V群)でみられた。
中等度~重症の水痘発症例は、MMRV群で2例であったが、MMR+V群では37例が報告された(1例は初回軽症例の2回発症例)。MMR群は117例であった。
すべての水痘に対する2回接種MMRVの有効性は、94.9%(97.5%信頼区間[CI]:92.4~96.6%)であり、中等度~重症の水痘に対しては99.5%(同:97.5~99.9%)であった。
一方、すべての水痘に対する1回接種単価水痘ワクチンの有効性は、65.4%(同:57.2~72.1%)で、事後解析にて評価した中等度~重症の水痘に対する有効性は90.7%(同:85.9~93.9%)であった
全接種群で最も頻度が高かった有害イベントは、注射部位の発赤であった(被験者のうち最高25%で報告)。
また、1回接種後15日以内に38℃以上の発熱を報告したのは、MMRV群57.4%(95%CI:53.9~60.9%)、MMR+V群44.5%(同:41.0~48.1%)、MMR群39.8%(同:33.8~46.1%)だった。
ワクチン接種に関連していると思われる重大有害イベントは、8件報告された(MMRV群3例、MMR+V群4例、MMR群1例)。全例、試験期間内に治癒した。
以上から著者は、「試験の結果は、あらゆる水痘疾患からの保護を確実なものとするために、短期間の2回接種水痘ワクチンによる予防接種を支持するものである」と結論している。
※ 原著論文:Prymula R et al. Lancet. 2014 Jan 28. [Epub ahead of print]
水痘ワクチンは麻疹ワクチンの有効性(90%以上)に比べるとやや有効率が落ちる(約80%)ので、2回接種してやっと麻疹レベルになると考え、短期間に2回接種を勧める方針となるようです。
これは生ワクチンというより不活化ワクチンに近い考え方になりますね。
MRワクチンも2回接種ですが、こちらは1回目が1歳台、2回目が年長さんと約4年間隔です。
一方、水痘ワクチンの2回接種は3-6ヶ月間隔。お間違えのないよう。
麻疹を含む混合ワクチンといえば日本ではMR(麻疹・風疹)ですが、ヨーロッパではMMRV(麻疹・おたふくかぜ・風疹・水痘)が普及しています(うらやましい!)。
タイムリーに以下の論文をみつけました。
単独の水痘ワクチン1回接種の有効性は65.4%、中等度~重症の水痘に対する有効性は90.7%。
MMRVを2回接種すると水痘発症防止の有効性は、94.9%であり、中等度~重症の水痘に対しては99.5%、との報告。
水痘ワクチン1回接種では80%どころか65%しか予防できないという寂しい事実。
水痘ワクチンを2回接種すると有効率が95%と確実に上がりますが、残念ながら100%にはならないのですねえ。
■ 水痘予防にはMMRV 2回接種を支持/Lancet
(ケアネット:2014/02/10)
チェコ共和国・フラデツ・クラーロヴェー大学病院のRoman Prymula氏らは、水痘の発症予防について、麻疹・ムンプス・風疹・水痘ワクチン(MMRV)2回接種と、単価水痘ワクチン1回接種の有効性を比較する無作為化対照試験を欧州10ヵ国の協力を得て行った。その結果、あらゆる型の水痘予防を確実なものとするためにもMMRVの2回接種を支持する結果が得られたことを報告した。今日、水痘発症率は、水痘ワクチンを“ルーチン”で行っている国では激減している。予防は単価ワクチンもしくはMMRVの接種にて可能であり、今回、研究グループは、どちらが有用かを比較検証した。Lancet誌オンライン版2014年1月29日号掲載の報告より。
◇欧州10ヵ国でMMRV 2回、MMR+V、MMR 2回の有効性を比較
試験は、多施設共同無作為化かつ観察者盲検にて、水痘の風土病がみられるヨーロッパの10ヵ国(チェコ共和国、ギリシャ、イタリア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スウェーデン)にて行われた。
生後12~22ヵ月の健常児を無作為に3対3対1の割合で、42日間で(1)MMRV 2回接種(MMRV群)、(2)1回目にMMR接種、2回目に単価水痘ワクチン接種(MMR+V群)、(3)MMR 2回接種(MMR群:対照群)に割り付けて検討した。
被験児と保護者はすべてのアウトカムについて個別に評価を受け、またデータの評価や解析に関係するスポンサースタッフは治療割付について知らされなかった。
主要有効性エンドポイントは、2回接種後の42日目から第1フェーズの試験終了時点までに確認された水痘の発症(水痘帯状疱疹ウイルスDNAの検出または疫学的関連性で判定)であった。症例は重症度により分類し、有効性の解析はパープロトコル解析によって行われた。安全性の解析には1回以上接種を受けたすべての被験児を含めた。
2005年9月1日~2006年5月10日に、5,803例(平均年齢14.2ヵ月、SD 2.5)が、ワクチン接種を受けた。
◇2回接種MMRVの有効性94.9%、中等度~重症例には99.5%
有効性解析コホートには5,285例が組み込まれた。平均追跡期間はMMRV群36ヵ月(SD 8.8)、MMR+V群36ヵ月(8.5)、MMR群は35ヵ月(8.9)であった。
水痘発症例は、MMRV群37例、MMR+V群243例、MMR群201例が確認された。2回発症例は、3例(全例MMR+V群)でみられた。
中等度~重症の水痘発症例は、MMRV群で2例であったが、MMR+V群では37例が報告された(1例は初回軽症例の2回発症例)。MMR群は117例であった。
すべての水痘に対する2回接種MMRVの有効性は、94.9%(97.5%信頼区間[CI]:92.4~96.6%)であり、中等度~重症の水痘に対しては99.5%(同:97.5~99.9%)であった。
一方、すべての水痘に対する1回接種単価水痘ワクチンの有効性は、65.4%(同:57.2~72.1%)で、事後解析にて評価した中等度~重症の水痘に対する有効性は90.7%(同:85.9~93.9%)であった
全接種群で最も頻度が高かった有害イベントは、注射部位の発赤であった(被験者のうち最高25%で報告)。
また、1回接種後15日以内に38℃以上の発熱を報告したのは、MMRV群57.4%(95%CI:53.9~60.9%)、MMR+V群44.5%(同:41.0~48.1%)、MMR群39.8%(同:33.8~46.1%)だった。
ワクチン接種に関連していると思われる重大有害イベントは、8件報告された(MMRV群3例、MMR+V群4例、MMR群1例)。全例、試験期間内に治癒した。
以上から著者は、「試験の結果は、あらゆる水痘疾患からの保護を確実なものとするために、短期間の2回接種水痘ワクチンによる予防接種を支持するものである」と結論している。
※ 原著論文:Prymula R et al. Lancet. 2014 Jan 28. [Epub ahead of print]