徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「佐野せいじ」氏の木版画

2013年01月27日 09時25分43秒 | 日記
 最近、木版画家である佐野せいじさんの「心の故郷十二ヵ月」という作品を入手しました。

 12ヶ月のシリーズものですのでセットで購入すると高価ですが、ひと月だけ抜けているものを安価で譲っていただきました。
 版画の大きさは「16.5×24.5cm」と小ぶりです。
 その中に、いつかみた日本の原風景がぎゅっと凝縮されています。
 私は北関東の田舎で育ち、田んぼや小川、鎮守の森を遊び場にした最後の世代。
 これらの版画を見ていると、その時の空気や漂う草花の香りが幼き日々の思い出とともに甦ってくるのです。

 作者の佐野せいじさんを知ったのは、数年前に京都の井堂雅夫さんのギャラリー「雅堂」に立ち寄った時のこと。
 井堂さんは京都の風景を中心に、穏やかなタッチと鮮やかかつ精妙な色彩で表現する木版画家です。中でも緑色の深い表現は「IDO GREEN」として高く評価されているそうです。


 お店の中で版画作品を眺めていると、少し作風の違う作品群に気づきました。
 「あれ、この版画もどこかで見たことあるなあ」
 と思いつつ作者名を見ると「佐野せいじ」とありました。
 たしか、Amazonで井堂さんの画集を探している時に「この本を購入したヒトはこんな本も同時購入しています」コーナーの中で見かけた名前。
 井堂さんの作品と雰囲気は共通するものがありますが、あえて比較すると「よりイラストチックに日本の一般的な原風景を題材にした優しく郷愁感漂う作風」という印象です。
 特定の場所ではなく、日本人の誰もが心の奥に閉まっている「こころの原風景」を多く描いています。

 店員さんが「井堂さんの弟子のお一人ですよ」と教えてくれました。
 なるほど。
 私が惹かれるのも頷けます。
 待合室にそれとなく季節ごとの版画を展示する予定ですので、ぜひ目に留めてみてください。

 さて、私はなぜか、絵画よりも木版画に惹かれます。
 それも世間一般に有名な作品ではなく、日本の風景画にほぼ限定されます。
 私の本棚を眺めますと・・・

葛飾北斎(1760~1849年)
歌川(安藤)広重(1797~1858年)
小林清親(1847~1915年)
井上安治(1864~1889年)
高橋松亭(1871~1945年)
吉田博(1876~1950年)
川瀬巴水(1883~1957年)
井堂雅夫(1945~)
佐野せいじ(1959~)
宮本秋風(1950~)

 等の版画家の画集が並んでいます。

 惹かれる理由を自問自答してみると、
・日本の原風景がその時代の雰囲気とともに描かれている
・細かすぎない、つまりある程度抽象化されている
・大作でなくても絵はがきやテレホンカードの大きさでも鑑賞可能

 あたりでしょうか。

 江戸時代に北斎や広重の浮世絵版画が人気を呼び空前の旅行ブームとなったそうですが、そのおかげで後世の我々も当時の日本の風景を知ることができるのですね。
 ありがたいことです。

 版画家以外の画家では、
向井潤吉(1901~1995年)
中島潔(1943~)
 さんも好きです。
 いずれ、ぼちぼち紹介していきたいと思います。
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