徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

パキスタンのポリオワクチン事情

2013年02月07日 07時14分34秒 | 小児科診療
 昨年末に、パキスタンでポリオ予防接種に従事する医療関係者がタリバンにより殺害されたというニュースが流れました;

ポリオワクチン接種従事の6人殺害 パキスタン
(2012.12.18 産経新聞)
 パキスタン南部カラチと北西部ペシャワル近郊で17日から18日にかけ、世界保健機関(WHO)の支援によるポリオ予防のワクチン接種に従事していた男女計6人が、何者かの銃撃を受けて死亡した。イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」はこれまで、ワクチン接種は「米国が子供たちに毒を盛り、イスラム教徒を減らそうとしているものだ」と非難し、米国が部族地域などへの無人機攻撃をやめるまでは接種を禁止するとしていた。


 タリバンはなんてひどいことをするんだろう・・・とその時は思いました。
 先月末に、また同じ事件が起きて報道されました;

ポリオ予防接種チームに銃撃、護衛の警官が死亡 パキスタン
(2013.01.29 CNN)
 イスラマバード(CNN) パキスタン北部のカイバル・パクトゥンクワ州で29日、ポリオの予防接種で巡回していた女性2人が武装グループの銃撃を受け、護衛役の警官1人が死亡した。
 警察報道官によると、女性2人は無事、所属する本部に戻ったという。
 この地域では28日から3日間の予定で、538組のチームが戸別訪問によるポリオ予防接種のキャンペーンを実施中。各チームに警官が1人ずつ配置されていた。キャンペーン責任者は、予定通り30日まで接種を続ける方針を示した。
 世界各地でポリオ根絶が実現するなか、パキスタンとナイジェリア、アフガニスタンの3カ国では流行が続いている。世界保健機関(WHO)主導の世界ポリオ撲滅(ぼくめつ)イニシアチブによると、パキスタンでは患者数の急増を受けて当局が根絶キャンペーンを強化した結果、発症例は2011年の173件から12年には58件に減少した。
 しかし、同国では11年、米軍による国際テロ組織アルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦に先立ち、同容疑者の潜伏先を確認する目的で、米中央情報局(CIA)が予防接種を装って家族らのDNAを採取。これをきっかけに、予防接種に対して懐疑的な見方が広がった。昨年末には国内各地で予防接種を担当する医療従事者への襲撃が相次ぎ、計8人が死亡していた。


 そこには、タリバンがこのような行為に出る根拠が示されていました(赤字部分)。アメリカのスパイ行為が伏線にあったのですね。
 予防接種事業さえも政治に利用されるなんて・・・やはり「ひどいこと」です。
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