徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

天気予報で喘息の増悪が予測可能

2013年11月06日 06時48分06秒 | 小児科診療
 喘息の子どもは天気・気候にとても敏感です。
 低気圧(特に台風)が近づいてくるタイミングで悪化することが多い傾向があります。
 中には「お母さん、台風が来るよ」と天気予報をしてしまうお子さんもいます。そのタイミングで天気図を見ると台風が発生して日本に近づきつつあるレベルであり、太平洋のあんなに遠くの気圧変化を感じることができるなんて不思議。

 下記の論文が発表されました。
 喘息発作を「平均気温、水蒸気圧、相対湿度、最大風速と通学状況で98.4%(p<0.001)説明可能」と結論づけているところがすごい。
 将来「喘息注意報」が出されるようになるかもしれません。

天気予報で喘息の増悪が予測できる(2013.11.6:ケアネット)
 気象要因と通学状況の組み合わせにより、小児救急科に搬送された小児における喘息増悪が予測できることが、スペイン・バレアレス諸島大学のDavid Hervas氏らにより報告された。Allergol Immunopathol誌オンライン版2013年10月26日の掲載報告。
 小児期に救急科に搬送される喘息増悪は、季節による影響がきわめて大きい。しかしながら、どの季節に増悪が起こるかは、人によってさまざまであるうえに、関係する要因はあまりわかっていない。本研究の目的は、地域病院の小児救急科に搬送された小児において、気象要因と通学状況が、喘息増悪とどのように関係しているのかを調べることである。
 著者らは、2007年~2011年の間に喘息増悪で搬送された、5~14歳の医療記録を後ろ向きに調べた。気象データは研究対象が通う学校にごく近い気象台から収集し、回帰分析により、喘息増悪の回数と気温、気圧、相対湿度、雨量、風速、風向、紫外線、日射量、水蒸気圧の相関を検討した。
 主な結果は以下のとおり。

・試験期間中に喘息増悪で搬送された小児は371人で、年齢の中央値は8歳(四分位範囲は6~11歳)、59%は男児であった。
・喘息増悪は、春と夏にピークを有する二峰性のパターンを示した。
・年間を通じた喘息増悪の最大のピークは年初から39週目であり、これは夏期休暇終了後に新学期が開始してから15日以内の時期であった。
・回帰分析の結果、月間の喘息増悪は平均気温、水蒸気圧、相対湿度、最大風速と通学状況で98.4%(p<0.001)の説明がついた


Hervas D, et al. Allergol Immunopathol (Madr). 2013 Oct 26.

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