徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

おたふくかぜと水ぼうそうが流行中

2011年12月05日 06時26分41秒 | 小児科診療
 全国的にはインフルエンザが流行始めた一方で、ここ館林市邑楽郡地域ではまだ聞こえてきません。
 むしろ、保育園・幼稚園中心のおたふくかぜ水ぼうそう流行が目立ち、連日数人程度来院しています。

 この二つの感染症のワクチンは任意接種で有料なので、接種率が低いことが原因です。
 小児科医の間では教育や検診で予防可能な子宮頚癌ワクチン(HPVワクチン)より、乳幼児の集団生活の場では感染を避けることができないおたふくかぜ・水ぼうそうのワクチン無料化が先なのではないか、との意見が多勢を占めています。

 おたふくかぜは罹患すると1000人に一人の割合で難聴を発症します。治療法がないので、子どもは一生難聴を抱えた不自由な生活を余儀なくされます。

 水ぼうそうは罹患すると100万人あたり20人死亡します(つまり5万人に一人)。また、水痘ウイルスは体の中に居座り高齢になり免疫力が落ちてくると帯状疱疹を起こして痛みに悩まされます。
 さらに水ぼうそうは免疫力が落ちた患者さん(白血病や癌の治療中)が罹ると重症化し死の危険にさらされることが医師の間では常識です。しかしそのような人たちはワクチンを受けることができません(生ワクチンでも発症してしまうので)。そのような免疫弱者を社会で守るためにもワクチン接種率向上が望まれます。
 残念ながら水ぼうそうのワクチンは他のワクチンと比較して効果が劣り、発症阻止率は約8割です(残り2割は罹っても軽く済みます)。2回接種してやっと他のワクチン並みの発症阻止率9割に達しますので、今後は2回接種が標準になっていくと思われます。

 診療していると、皆さんは「罹ってしまった方がいい」くらいに考えている様子が伺えます。病気の怖さを知らないのでしょう。
 健康教育・啓蒙不足以外の何者でもありません。
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