「着衣診察で側弯症を見逃すと医師が敗訴する」
という事実があります。
(2008-03-28:個人ブログ)
(2019年7月2日:朝日新聞)
学校医は今、
「脱衣診察すると“セクハラ”と言われる」
「着衣診察で病気を見逃すと“犯罪者”にされる」
というリスクに挟まれて身動きできなくなっています。
さて、学校健診では「チェック項目」が決められていることをご存知でしょうか。
▢ 児童生徒等の健康診断マニュアル(平成27年改訂版)
この中の19ページにチェック項目一覧表があります。
学校医はそれをシンプルに実行しているだけです。
着衣では心臓や肺、皮膚や胸郭の診断精度が下がり、
医師としてはそれは避けなければならないこと。
「健診ごときで上半身裸になるのはやり過ぎでは?」
という意見の背景には、
「健診で何をチェックしているのか?」
に関して“理解不足”があります。
TVやメディアで取りあげられる際も、感情論が先走り、
健診の意義がなおざりにされていることを感じます。
生徒家族側が理解して初めて信頼関係に基づく「健診」が成り立ちます。
理解なき健診は、上記のような誤解の元です。
健康診断は医師にとって、
「自覚症状がまだ出ない段階で、病気を早期発見する繊細な医療行為」
なのです。
生徒家族の方々、健診の内容を知ってください。
そして健康チェックを受けたい方だけ、診察を受けてください。
健康チェックを受けたくない方は、拒否してください。
今まで理解不足、啓蒙不足を放置してきたのは、
文部科学省系機関である教育委員会の責任です。
私も色々提案してきましたが、結局何も変わりませんでした。
これ以上学校医を追い詰めると、
ボランティア精神で担当してきた医師達はみんな現場から立ち去り、
学校健診が自然消滅していくことでしょう。
・・・私は「その方がいい」と思っている一人ですが。