ゆるい糖質制限(ロカボ)をはじめて、3年以上になります。
体重は平均+αで、増えることは止められましたが、やせてはいませんね。
自分の食生活を見直すきっかけになるのでは、と期待してこの本を手に取りました。
帯には「減らした糖質の代わりに何を食べていますか?」という興味をそそるフレーズ。
それから、糖質制限に関する漠然とした疑問も残っています。
1.体脂肪は、食べた脂肪分ではなく、処理できない過剰な糖質(炭水化物)がたまったものであるとされているが、では脂肪はどこへ行くのか。
2.糖質を制限すれば、タンパク質は制限なく食べてよいとされているが、過剰なカロリーはどう処理されてどこへ行くのか。
さて、これらを解決してくれる内容でしょうか。
結論から申し上げると、私の疑問を解消してはくれませんでした。
それから、食物アレルギーに関する記述が間違っています。近年、食物アレルギーは「ばっかり食べ」が原因ではなく「経皮感作説」に落ち着きました。
著者にはさらなる最新の情報収集&精進を期待したいと思います。
<メモ>
・「糖質制限」ブームの始まりは、「主食を抜けば糖尿病はよくなる!」(江部康二著、2005年発行)である。
・糖尿病の治療食として広がった糖質制限が、ダイエット食として世間一般に広がったのは「dancyu」という食関連の月刊誌の別冊ムック本として2009年に出版された「満腹ダイエット」である。
・イギリスの栄養学の教科書「ヒューマン・ニュートリション」には、狩猟採集時代が長い人類の進化の歴史から考察すれば、ヒトの消化管機能は、まだ穀物ベースの栄養摂取には適応していないと書かれている。
・糖質制限に潜む落とし穴の一つが、「糖質量にばかり気をとられ,食べるべき栄養素についての総合的な視点が欠如してしまうこと」である。糖質制限の成功の鍵は糖質以外のところにあるのだ。
・タンパク質のうち、アミノ酸の種類によってはインスリンを出すものがあるとか、I型糖尿病になればタンパク質も血糖値を上げることがわかってきたが、一般の人にとっては、基本的に血糖値を上げる栄養素は糖質のみである。
・人体のメインのエネルギー源として使われるのは、体脂肪として蓄えられている糖質である。タンパク質と脂質はカロリーが不足しているときはエネルギー源として使われるが、基本的には体の構成材料として優先的に使われる。糖質はエネルギーとしてしか使い道がないため、余った糖質は体脂肪に変えられ、非常時のエネルギーとして蓄えられる。
・炭水化物・糖質・糖類の違い
(炭水化物)ー(食物線維)=糖質
(糖質)多糖類、糖アルコール、二糖類、単糖類
(糖類)二糖類、単糖類
(多糖類)オリゴ糖、デキストリン、でんぷん、セルロース ・・・ 米や野菜に含まれる甘くない糖質
(単糖類)ブドウ糖、果糖
(二糖類)砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖
(糖アルコール)エリスリトール、マルチトール ・・・ 甘味はあるが体に吸収されにくい甘味料
※ 今ひとつわかりにくいので、KIRINのHPからわかりやすい図表を;
・「糖質ゼロ」「糖質オフ」の真実
(糖質ゼロ)食品100gまたは飲料100ml当たり0.5g未満
(糖質オフ/カット/低等)食品100g当たり5g以下、飲料100ml当たり2.5g以下
・利用可能炭水化物:炭水化物の好青成分のうち、ヒトの消化酵素で消化できるのものの総称
・二つのエネルギーシステム:ヒトは糖と脂肪からエネルギーを得ている
1.ブドウ糖-グリコーゲンシステム
食事を通して体内に入った糖質(ブドウ糖)を使う経路
2.脂肪酸-ケトン体システム
体脂肪として蓄えられている脂肪酸と、それを燃やしたときに副産物として得られるケトン体を使う経路
1が2に優先される。つまり、糖質を摂取して血糖値が上がれば、体脂肪の燃焼はストップしてしまう。その糖を使い切るまでは、体脂肪はエネルギーとして使われない。
・糖質制限ダイエット
糖質をとらなければ、その間は体脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるしかなくなる。この生理学的メカニズムを利用したのが、糖質制限ダイエットである。
糖質制限で制限するのは、ご飯やパン、パスタといった主食と呼ばれるもの。一方で、肉や魚、卵、大豆製品と言ったタンパク質、つまりおかずはしっかり食べてよい。
タンパク質をとることのメリットは、筋力が落ちないこと。すると筋肉によって消費されるエネルギー量が増える。
また、肉や魚に多く含まれるビタミンB群は、脂質などエネルギーの代謝に欠かせない栄養素である。
「低炭水化物ダイエット」「ケトン食ダイエット」などは言葉を換えているだけで、要は糖質制限と同じである。
・低カロリー食は筋肉が落ちるが脂肪は落ちにくい。
そうめんや春雨のようなカロリーが低めのものを食べていれば、体重が落ちることもある。しかしそれは、タンパク質やカロリー不足によって筋肉が落ちた結果であることが多く、また、これらは糖質が高いため、体脂肪は落ちにくい。
・低インスリンダイエット
ブドウ糖を100としたときの血糖値の上がり具合を示すGI値の低い食品を積極的にとる一方で、高GIの食品を避けるよう推奨している。糖質の量ではなく、血糖値を上げる速度に注目したダイエット法と言える。
しかし、GI値と糖質量は違うことを認識しておく必要がある。
・糖質制限がうまくいかない原因食品
(バナナ)糖質が高い果物の代表格。半量(50g)でも糖質は10.7g。
(ニンジン)糖質高めの野菜。さらにスムージーにして液体にすることで、かんで食べるよりも体への吸収が速くなり、血糖値を急激に上げてしまう。
(ヨーグルト)タンパク質がとれるからいいと思っている人が多いが、無糖であっても乳糖という糖質が含まれている。また、乳脂肪も多いため、1パックも食べればカロリー過多になる。
(春雨)カロリーは低いが糖質は高め。
(唐揚げ)揚げ物なのでカロリーが高い。また揚げ油の質や時間が経った油の酸化も気になる。
(そば)そば粉100%の十割ソバなら血糖値を上げにくいと言われているが、糖質の量は十割ソバであっても小麦粉入りのソバであっても、さほど変わらない。これは白い精製された食パンか黒いライ麦パンか、あるいは白い精製された白米か黒い玄米ご飯か、でも同じ事が言える。
(ミックスナッツやチーズ)糖質制限中のおやつの定番で、糖質は確かに低い。問題はその量で、1パックずつ開ければカロリーの取り過ぎに也、糖質制限しているので太りはしないが痩せもしない。
(ジャイアントコーン)油で揚げてある上、トウモロコシの一種なので糖質が高い。
(ワイン)醸造酒では唯一辛口ワインならOK。
・めまいや脱力感はカロリー不足が原因
ダイエットでは、ついカロリーを抑えようと、肉の脂身を覗いたり、ノンオイルにしようとする、あるいはサラダや野菜たっぷりのスープでお腹を満たしたり、肉や魚などの動物性たんぱく質を避けて、豆腐などの植物性たんぱく質ばかり選んでしまう。しかしこれではカロリー不足でガス欠になってしまう。
とくに小食の人が主食を抜く場合、主食から得た板カロリーが失われるにもかかわらず、サラダやスープ、豆腐などの水気の多い低カロリーな食材で満腹になってしまうと、さらにカロリー不足が深刻になりやすい。
・糖質制限をしても痩せない人は、カロリー過多が原因
豚肉や牛肉は赤身肉よりバラ肉を、鶏肉はささみよりも皮付きのもも肉を好んだり、マヨネーズやバターなど調味に使う油脂の量が多くなりがち、といったオイリーな味覚を好む方は、結果的にカロリー過多になりやすい。
→ カロリー過多(油脂摂取量が多い)の場合に体に残るのは筋肉と脂肪のどちらかなのか、書いていない(残念!)。
・デブ菌「ファーミキューテス菌」と痩せ菌「バクテロイデス菌」
ファーミキューテス菌と呼ばれる腸内細菌が肥満に関連していることが科学雑誌「Nature」に報告されたが、肥満の人は痩せている人よりもこの菌が多い。一方、痩せている人にはバクテロイデス菌が多い。
ファーミキューテス菌を減らし、バクテロイデス菌を増やすのが、食物線維と発酵食品である。
・糖新生〜糖質制限をしても低血糖にはならない
おもにアミノ酸を材料II、肝臓と骨格筋を介しながらブドウ糖を作り、血糖として利用できる循環システム。その結果、糖質をとって血糖値を上げなくても、人体は赤血球に最低限必要な血糖を維持できる(人体を構成する細胞は、脳を含めてすべて脂肪酸から作られるケトン体をエネルギーにできるが、赤血球だけは唯一ブドウ糖をエネルギーとする)。
逆に、ブドウ糖を作り出す肝臓の機能が、過度の飲酒や長い期間の投薬などで低下していたり、極端なやせなどで筋肉のボリュームがあまりに少なすぎると、肝臓と筋肉を解して行われる血糖(エネルギー)の合成がままならなくなりやすい。すると低血糖の症状が出てしまうことがある。
・糖質制限すると便秘がちになる?
このような人は食物線維が不足している可能性がある。生野菜サラダの小鉢程度では足りない。海藻、キノコ、こんにゃくなども組み合わせ、毎食たっぷり主食代わりに取り入れてみよう。
・リーキーガット症候群
→ アレルギー関連学会に所属している私はこの病名を聞いたことがありません。まだ正式に医学的評価をされていない病名のようですね。このような単語を取り上げると、この本全体の信用性を落としてしまうと思います
・現代人が陥りがちな「新型栄養失調」
忙しい現代人の食事の特徴として、安価で手軽な糖質に偏った食事内容が挙げられる。現代人は、糖質や外食や昼食で使われる酸化した油から太るほどのエネルギーを得る一方で、体や脳の材料となるタンパク質や良質な脂質、エネルギー代謝に欠かせないビタミン類やミネラル、腸内環境を整える食物線維などが不足している傾向がある。それらは肉や魚介、卵、大豆製品、海藻、キノコ、野菜などに含まれている。
・甘味料の整理
1.糖質系甘味料:砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、糖アルコール
※ このうち、全く血糖値を上げないのは糖アルコールの仲間のエリスリトールだけ。
2.非糖質系甘味料
①天然甘味料:ステビア、甘草(グリチルリチン)
②人工甘味料:サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース
・人工甘味料の問題点
日本では食品添加物として認可され使用が認められているが、世界的に見ると、人工甘味料の使用に関しては見直しを訴えるケースが多い。
①『Nature』に発表された研究論文:糖尿病のリスクを高めている可能性あり。
②米国のハーバード大学関連病院の研究チームは、人工甘味料がリンパ腫や白血病のリスクを増大させる可能性があると発表。
・塩分過多から逃れられない日本の食
忙しい日本のビジネスパーソンは外食や中食になりがちで、するとどうしても塩分摂取量が多くなってしまう。
ナトリウムを排泄してくれるカリウムは野菜や海藻に含まれる。
ハムやソーセージなどの肉の加工食品は、意外に塩分量が多いので注意。
・油の質に気をつけていますか?
トランス脂肪酸は、原料は植物油だが、水素添加という処理を加えることで常温で固まるようにしたもの。代表食材はマーガリン。
欧米では早くからトランス脂肪酸の危険性が指摘され、規制が行われてきた。米国ではトランス脂肪酸が肥満や心臓病に関係するとして、2018年までに全面使用禁止にすることを発表している。
しかし日本では、加工食品やパン、お菓子、ドレッシングやマヨネーズ、コーヒーフレッシュなどに使われ続けている。食品表示に「植物油脂」「ショートニング」「マーガリン」と書かれたものは、トランス脂肪酸と思って避けた方がよい。
ファストフードや中食の揚げ油も、トランス脂肪酸が含まれているケースがある。一般的なサラダ油でも、高温調理を繰り返しているとトランス脂肪酸が発生すると言われている。
外食・中食の揚げ物でもう一つ心配になるのが油の酸化だ。油は高温で調理をし、さらに調理してから時間が経てば経つほど酸化は進む。
酸化した油をとると、体内で活性酸素が発生し、老化や病気の原因にもなり得る。酸化した油は、それを食べた人の体内の脂肪酸も酸化させてしまう。
並行して抗酸化栄養素(ビタミンA・C・E)の摂取も心がけよう。ビタミンAは緑黄色野菜から。ビタミンEはアーモンドやクルミから。
・糖質制限中はマグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)不足に注意
マグネシウムとカルシウムはセットで働く“ブラザーイオン”であり、Mg:Ca=1:2が理想的な比率である。
乳製品にはCaが多く含まれるが、Mgは少ない。両方含むのが魚介や大豆製品である。
亜鉛はインスリンの構成成分である。アルコールの分解とも関わっている。
肉ばかり食べても糖質制限はできるが、ミネラルの摂取に関しては魚介類や大豆製品に軍配が上がる。
・日本人は糖質依存症
糖質を取り過ぎている人は、単に糖質が好きというより、糖質依存状態になっている。つまり、仕事や人間関係のストレス解消のはけ口として、食べるという行為で心のバランスを保っている。
そのような人が糖質制限をしたらどうなるか。
確かに体重は落ちるが、それまでのストレス解消の手立てを失い、今度は「心の栄養不足」になってしまうかもしれない。その結果、「糖質に代わる何か」に依存してしまう。
どんなに理屈で正しいとしても、それがストレスになるようでは本末転倒だ。自分なりの新たなストレス解消法を見つけることも大切だ。
中でも、筋肉を維持するような趣味がお勧めだ。筋肉というのは、糖の貯金箱のようなものである。ある程度筋肉があれば、糖質を摂取しても血糖は貯金箱に貯まりやすく脂肪に変わりにくいし、代謝がアップして糖新生がうまくいく。
・“ばっかり食べ”はアレルギーを作る可能性?
毎日食べているもの、好物でよく食べるものほど、実はアレルギーの原因食材(アレルゲン)になりやすい。
一説によると、ひとつの食材をとったら2日は開けるようにするとアレルギーのリスクを減らせるといわれている。
仮によく食べる食品がアレルゲンになってしまった場合は、その食材を3ヶ月くらいに断てばまた食べられるようになることが多い。
→ この考え方は、現在は否定されています。
<参考>(「アレルギーi」より)
Q. 同じ食物を続けて食べるとアレルギーを起こしやすいのでしょうか?
A. 同じものを続けて食べたからといって、その食物に対してアレルギーを起こしやすくなるということはありません。以前は、「同じ食物ばかり続けて食べるとその食物のアレルギーになりやすい」という考え方があり、「回転食」といって同じ食物を続けて食べないようにする指導が行われていたことがありました。しかし、今ではこのような考え方に根拠がないことがわかっています。
・肉食だけでは不足する栄養素
(オメガ3)魚の脂に多いEPA、DHAなど
(ビタミンD)魚からしか摂れない。カジキマグロ、サケ、身欠きニシン、サンマ、ウナギ、ヒラメ、イワシの丸干しなどの魚に豊富に含まれる(他には干しシイタケやキクラゲ)。
・大豆製品はミネラルバランスがよい
大豆食品はCaとMg、Kがバランスよく含まれている。
また、脳の神経伝達物質を作るレシチンという脂質も含まれている。
・「卵は1日1個まで」は迷信
かつては「卵は1日1個まで」と言われていたことがあった。卵に豊富なコレステロールを摂り過ぎると動脈硬化のリスクを高めるとして悪者扱いされていた。
しかし実は、コレステロールは食事を通して得られるだけでなく、私たちの体内でも作られており、食事で摂り過ぎた場合は体内で作る量を減らすなどして調整する仕組みが備わっている。そのため、「日本人の食事摂取基準2015年版」では、食事によるコレステロール摂取量の上限値は撤廃されている。
→ 「ゲンキの時間」(2019.5.12)「イチから知ろう!脂質異常症〜コレステロール別対策法」では、「卵(特に卵黄)は2日に1こまでにしてください」と専門医が解説していました・・・?
どっちがホントなんだろう・・・検索してみると「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」(日本動脈硬化学会)には「肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす」とありました。
・糖質制限をしていると便秘がち
食物線維の摂取量が少なくなるため。
野菜摂取の適量は、満腹の状態を10とすると、その半分を食物線維で満たすイメージ。
野菜意外に食物線維が豊富なものにはキノコ類、海藻類、こんにゃく、おからなど。
・糖質制限中の脂質の摂り方
脂質は血糖値を上げないため、制限の対象ではない。むしろ、糖質に変わるエネルギー源として積極的に摂取すべきである。
ただし、「どんな油をとるか」が問題である。
脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる;
(飽和脂肪酸)肉の脂肪や乳製品に多く含まれる(肉、バター、ココナッツオイルなど)。常温で固体。動脈硬化の原因になる。
(不飽和脂肪酸)魚や植物に多く含まれる(オリーブオイル、ベニバナ油、亜麻仁油、魚油など)。常温で液体。さらに多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分かれる。
→ 多価不飽和脂肪酸:
オメガ3:α-リノレン酸、エゴマ油、亜麻仁油、EPA/DHA
オメガ6:リノール酸、サラダ油、ベニバナ油
オメガ3とオメガ6は正反対の働きをする。オメガ6が過剰になると炎症が促進されてアレルギー症状につながりやすい。
→ 一価不飽和脂肪酸
オメガ9:オレイン酸、オリーブオイル
・オレイン酸(オメガ9脂肪酸)
一価不飽和脂肪酸-オメガ9脂肪酸。
腸をなめらかにしてぜん動運動を高め、便秘の予防や改善をしたり、抗酸化作用やほかの脂肪酸に比べて酸化しにくいという特徴がある。
このオレイン酸を多く含むのがオリーブ、アーモンドなどの食品の他、市販の液体の油ではオリーブ油となる。
・EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)
オメガ脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA/DHAがあり、α-リノレン酸は体内でEPA/DHAへ変換される。
α-リノレン酸を多く含む食品がクルミであり、亜麻仁油、えごま(シソ)油である。
オメガ3脂肪酸はがんやアレルギーなどの現代病を予防する。
・リノール酸(オメガ6脂肪酸)
オメガ6脂肪酸の代表格がリノール酸でサラダ油などの植物油の多くがリノール酸を多く含む。
リノール酸は必須脂肪酸ではあるが、非常に酸化されやすいのが特徴で、体内で過酸化脂質を生じさせ、がんの罹患率が高まることが指摘されている。リノール酸から合成されるアラキドン酸はアレルギー症状を進めるので、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などを引き起こす。
・トランス脂肪酸
常温で固体(人工的な油)。マーガリン(バターの代用)、ショートニング(ラードの代用品)にトランス脂肪酸が多く含まれる。世界中で使用を禁止しているが、日本は禁止していない。
・人類はその進化の大半を「糖質制限」で過ごしてきた。
稲作以前の狩猟採集時代は炭水化物の乏しい「糖質制限」時代であり、700万年中699万年を人類は糖質制限で過ごしてきた。なので、糖質過剰の現代の食生活では体調を崩してもおかしくない。工夫が必要であり、その提案の一つが糖質制限である。
・糖質制限ダイエット ≠ 低インスリンダイエット
(糖質制限)血糖値を上げる糖質の摂取量を制限する
(低インスリン)血糖値を緩やかに上げる糖質を選んで食べるというアプローチ
インスリンは別名「肥満ホルモン」といわれるように、血糖をエネルギーとして使い切れない場合、脂肪に変えて蓄える。そのため、かつてGI(Glycemic Index、グリセミック・インデックス、食後の血糖値の上昇度)の低い食品を選んで江合えっと使用という「低インスリンダイエット」が話題になった。
すでに糖尿病を発症している人には無意味である。GI値の高低にかかわらず(例:玄米であっても精白米であっても)、1gの糖質は血糖値を3mg/dl上昇させる。
体重は平均+αで、増えることは止められましたが、やせてはいませんね。
自分の食生活を見直すきっかけになるのでは、と期待してこの本を手に取りました。
帯には「減らした糖質の代わりに何を食べていますか?」という興味をそそるフレーズ。
それから、糖質制限に関する漠然とした疑問も残っています。
1.体脂肪は、食べた脂肪分ではなく、処理できない過剰な糖質(炭水化物)がたまったものであるとされているが、では脂肪はどこへ行くのか。
2.糖質を制限すれば、タンパク質は制限なく食べてよいとされているが、過剰なカロリーはどう処理されてどこへ行くのか。
さて、これらを解決してくれる内容でしょうか。
結論から申し上げると、私の疑問を解消してはくれませんでした。
それから、食物アレルギーに関する記述が間違っています。近年、食物アレルギーは「ばっかり食べ」が原因ではなく「経皮感作説」に落ち着きました。
著者にはさらなる最新の情報収集&精進を期待したいと思います。
<メモ>
・「糖質制限」ブームの始まりは、「主食を抜けば糖尿病はよくなる!」(江部康二著、2005年発行)である。
・糖尿病の治療食として広がった糖質制限が、ダイエット食として世間一般に広がったのは「dancyu」という食関連の月刊誌の別冊ムック本として2009年に出版された「満腹ダイエット」である。
・イギリスの栄養学の教科書「ヒューマン・ニュートリション」には、狩猟採集時代が長い人類の進化の歴史から考察すれば、ヒトの消化管機能は、まだ穀物ベースの栄養摂取には適応していないと書かれている。
・糖質制限に潜む落とし穴の一つが、「糖質量にばかり気をとられ,食べるべき栄養素についての総合的な視点が欠如してしまうこと」である。糖質制限の成功の鍵は糖質以外のところにあるのだ。
・タンパク質のうち、アミノ酸の種類によってはインスリンを出すものがあるとか、I型糖尿病になればタンパク質も血糖値を上げることがわかってきたが、一般の人にとっては、基本的に血糖値を上げる栄養素は糖質のみである。
・人体のメインのエネルギー源として使われるのは、体脂肪として蓄えられている糖質である。タンパク質と脂質はカロリーが不足しているときはエネルギー源として使われるが、基本的には体の構成材料として優先的に使われる。糖質はエネルギーとしてしか使い道がないため、余った糖質は体脂肪に変えられ、非常時のエネルギーとして蓄えられる。
・炭水化物・糖質・糖類の違い
(炭水化物)ー(食物線維)=糖質
(糖質)多糖類、糖アルコール、二糖類、単糖類
(糖類)二糖類、単糖類
(多糖類)オリゴ糖、デキストリン、でんぷん、セルロース ・・・ 米や野菜に含まれる甘くない糖質
(単糖類)ブドウ糖、果糖
(二糖類)砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖
(糖アルコール)エリスリトール、マルチトール ・・・ 甘味はあるが体に吸収されにくい甘味料
※ 今ひとつわかりにくいので、KIRINのHPからわかりやすい図表を;
・「糖質ゼロ」「糖質オフ」の真実
(糖質ゼロ)食品100gまたは飲料100ml当たり0.5g未満
(糖質オフ/カット/低等)食品100g当たり5g以下、飲料100ml当たり2.5g以下
・利用可能炭水化物:炭水化物の好青成分のうち、ヒトの消化酵素で消化できるのものの総称
・二つのエネルギーシステム:ヒトは糖と脂肪からエネルギーを得ている
1.ブドウ糖-グリコーゲンシステム
食事を通して体内に入った糖質(ブドウ糖)を使う経路
2.脂肪酸-ケトン体システム
体脂肪として蓄えられている脂肪酸と、それを燃やしたときに副産物として得られるケトン体を使う経路
1が2に優先される。つまり、糖質を摂取して血糖値が上がれば、体脂肪の燃焼はストップしてしまう。その糖を使い切るまでは、体脂肪はエネルギーとして使われない。
・糖質制限ダイエット
糖質をとらなければ、その間は体脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるしかなくなる。この生理学的メカニズムを利用したのが、糖質制限ダイエットである。
糖質制限で制限するのは、ご飯やパン、パスタといった主食と呼ばれるもの。一方で、肉や魚、卵、大豆製品と言ったタンパク質、つまりおかずはしっかり食べてよい。
タンパク質をとることのメリットは、筋力が落ちないこと。すると筋肉によって消費されるエネルギー量が増える。
また、肉や魚に多く含まれるビタミンB群は、脂質などエネルギーの代謝に欠かせない栄養素である。
「低炭水化物ダイエット」「ケトン食ダイエット」などは言葉を換えているだけで、要は糖質制限と同じである。
・低カロリー食は筋肉が落ちるが脂肪は落ちにくい。
そうめんや春雨のようなカロリーが低めのものを食べていれば、体重が落ちることもある。しかしそれは、タンパク質やカロリー不足によって筋肉が落ちた結果であることが多く、また、これらは糖質が高いため、体脂肪は落ちにくい。
・低インスリンダイエット
ブドウ糖を100としたときの血糖値の上がり具合を示すGI値の低い食品を積極的にとる一方で、高GIの食品を避けるよう推奨している。糖質の量ではなく、血糖値を上げる速度に注目したダイエット法と言える。
しかし、GI値と糖質量は違うことを認識しておく必要がある。
・糖質制限がうまくいかない原因食品
(バナナ)糖質が高い果物の代表格。半量(50g)でも糖質は10.7g。
(ニンジン)糖質高めの野菜。さらにスムージーにして液体にすることで、かんで食べるよりも体への吸収が速くなり、血糖値を急激に上げてしまう。
(ヨーグルト)タンパク質がとれるからいいと思っている人が多いが、無糖であっても乳糖という糖質が含まれている。また、乳脂肪も多いため、1パックも食べればカロリー過多になる。
(春雨)カロリーは低いが糖質は高め。
(唐揚げ)揚げ物なのでカロリーが高い。また揚げ油の質や時間が経った油の酸化も気になる。
(そば)そば粉100%の十割ソバなら血糖値を上げにくいと言われているが、糖質の量は十割ソバであっても小麦粉入りのソバであっても、さほど変わらない。これは白い精製された食パンか黒いライ麦パンか、あるいは白い精製された白米か黒い玄米ご飯か、でも同じ事が言える。
(ミックスナッツやチーズ)糖質制限中のおやつの定番で、糖質は確かに低い。問題はその量で、1パックずつ開ければカロリーの取り過ぎに也、糖質制限しているので太りはしないが痩せもしない。
(ジャイアントコーン)油で揚げてある上、トウモロコシの一種なので糖質が高い。
(ワイン)醸造酒では唯一辛口ワインならOK。
・めまいや脱力感はカロリー不足が原因
ダイエットでは、ついカロリーを抑えようと、肉の脂身を覗いたり、ノンオイルにしようとする、あるいはサラダや野菜たっぷりのスープでお腹を満たしたり、肉や魚などの動物性たんぱく質を避けて、豆腐などの植物性たんぱく質ばかり選んでしまう。しかしこれではカロリー不足でガス欠になってしまう。
とくに小食の人が主食を抜く場合、主食から得た板カロリーが失われるにもかかわらず、サラダやスープ、豆腐などの水気の多い低カロリーな食材で満腹になってしまうと、さらにカロリー不足が深刻になりやすい。
・糖質制限をしても痩せない人は、カロリー過多が原因
豚肉や牛肉は赤身肉よりバラ肉を、鶏肉はささみよりも皮付きのもも肉を好んだり、マヨネーズやバターなど調味に使う油脂の量が多くなりがち、といったオイリーな味覚を好む方は、結果的にカロリー過多になりやすい。
→ カロリー過多(油脂摂取量が多い)の場合に体に残るのは筋肉と脂肪のどちらかなのか、書いていない(残念!)。
・デブ菌「ファーミキューテス菌」と痩せ菌「バクテロイデス菌」
ファーミキューテス菌と呼ばれる腸内細菌が肥満に関連していることが科学雑誌「Nature」に報告されたが、肥満の人は痩せている人よりもこの菌が多い。一方、痩せている人にはバクテロイデス菌が多い。
ファーミキューテス菌を減らし、バクテロイデス菌を増やすのが、食物線維と発酵食品である。
・糖新生〜糖質制限をしても低血糖にはならない
おもにアミノ酸を材料II、肝臓と骨格筋を介しながらブドウ糖を作り、血糖として利用できる循環システム。その結果、糖質をとって血糖値を上げなくても、人体は赤血球に最低限必要な血糖を維持できる(人体を構成する細胞は、脳を含めてすべて脂肪酸から作られるケトン体をエネルギーにできるが、赤血球だけは唯一ブドウ糖をエネルギーとする)。
逆に、ブドウ糖を作り出す肝臓の機能が、過度の飲酒や長い期間の投薬などで低下していたり、極端なやせなどで筋肉のボリュームがあまりに少なすぎると、肝臓と筋肉を解して行われる血糖(エネルギー)の合成がままならなくなりやすい。すると低血糖の症状が出てしまうことがある。
・糖質制限すると便秘がちになる?
このような人は食物線維が不足している可能性がある。生野菜サラダの小鉢程度では足りない。海藻、キノコ、こんにゃくなども組み合わせ、毎食たっぷり主食代わりに取り入れてみよう。
・リーキーガット症候群
→ アレルギー関連学会に所属している私はこの病名を聞いたことがありません。まだ正式に医学的評価をされていない病名のようですね。このような単語を取り上げると、この本全体の信用性を落としてしまうと思います
・現代人が陥りがちな「新型栄養失調」
忙しい現代人の食事の特徴として、安価で手軽な糖質に偏った食事内容が挙げられる。現代人は、糖質や外食や昼食で使われる酸化した油から太るほどのエネルギーを得る一方で、体や脳の材料となるタンパク質や良質な脂質、エネルギー代謝に欠かせないビタミン類やミネラル、腸内環境を整える食物線維などが不足している傾向がある。それらは肉や魚介、卵、大豆製品、海藻、キノコ、野菜などに含まれている。
・甘味料の整理
1.糖質系甘味料:砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、糖アルコール
※ このうち、全く血糖値を上げないのは糖アルコールの仲間のエリスリトールだけ。
2.非糖質系甘味料
①天然甘味料:ステビア、甘草(グリチルリチン)
②人工甘味料:サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース
・人工甘味料の問題点
日本では食品添加物として認可され使用が認められているが、世界的に見ると、人工甘味料の使用に関しては見直しを訴えるケースが多い。
①『Nature』に発表された研究論文:糖尿病のリスクを高めている可能性あり。
②米国のハーバード大学関連病院の研究チームは、人工甘味料がリンパ腫や白血病のリスクを増大させる可能性があると発表。
・塩分過多から逃れられない日本の食
忙しい日本のビジネスパーソンは外食や中食になりがちで、するとどうしても塩分摂取量が多くなってしまう。
ナトリウムを排泄してくれるカリウムは野菜や海藻に含まれる。
ハムやソーセージなどの肉の加工食品は、意外に塩分量が多いので注意。
・油の質に気をつけていますか?
トランス脂肪酸は、原料は植物油だが、水素添加という処理を加えることで常温で固まるようにしたもの。代表食材はマーガリン。
欧米では早くからトランス脂肪酸の危険性が指摘され、規制が行われてきた。米国ではトランス脂肪酸が肥満や心臓病に関係するとして、2018年までに全面使用禁止にすることを発表している。
しかし日本では、加工食品やパン、お菓子、ドレッシングやマヨネーズ、コーヒーフレッシュなどに使われ続けている。食品表示に「植物油脂」「ショートニング」「マーガリン」と書かれたものは、トランス脂肪酸と思って避けた方がよい。
ファストフードや中食の揚げ油も、トランス脂肪酸が含まれているケースがある。一般的なサラダ油でも、高温調理を繰り返しているとトランス脂肪酸が発生すると言われている。
外食・中食の揚げ物でもう一つ心配になるのが油の酸化だ。油は高温で調理をし、さらに調理してから時間が経てば経つほど酸化は進む。
酸化した油をとると、体内で活性酸素が発生し、老化や病気の原因にもなり得る。酸化した油は、それを食べた人の体内の脂肪酸も酸化させてしまう。
並行して抗酸化栄養素(ビタミンA・C・E)の摂取も心がけよう。ビタミンAは緑黄色野菜から。ビタミンEはアーモンドやクルミから。
・糖質制限中はマグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)不足に注意
マグネシウムとカルシウムはセットで働く“ブラザーイオン”であり、Mg:Ca=1:2が理想的な比率である。
乳製品にはCaが多く含まれるが、Mgは少ない。両方含むのが魚介や大豆製品である。
亜鉛はインスリンの構成成分である。アルコールの分解とも関わっている。
肉ばかり食べても糖質制限はできるが、ミネラルの摂取に関しては魚介類や大豆製品に軍配が上がる。
・日本人は糖質依存症
糖質を取り過ぎている人は、単に糖質が好きというより、糖質依存状態になっている。つまり、仕事や人間関係のストレス解消のはけ口として、食べるという行為で心のバランスを保っている。
そのような人が糖質制限をしたらどうなるか。
確かに体重は落ちるが、それまでのストレス解消の手立てを失い、今度は「心の栄養不足」になってしまうかもしれない。その結果、「糖質に代わる何か」に依存してしまう。
どんなに理屈で正しいとしても、それがストレスになるようでは本末転倒だ。自分なりの新たなストレス解消法を見つけることも大切だ。
中でも、筋肉を維持するような趣味がお勧めだ。筋肉というのは、糖の貯金箱のようなものである。ある程度筋肉があれば、糖質を摂取しても血糖は貯金箱に貯まりやすく脂肪に変わりにくいし、代謝がアップして糖新生がうまくいく。
・“ばっかり食べ”はアレルギーを作る可能性?
毎日食べているもの、好物でよく食べるものほど、実はアレルギーの原因食材(アレルゲン)になりやすい。
一説によると、ひとつの食材をとったら2日は開けるようにするとアレルギーのリスクを減らせるといわれている。
仮によく食べる食品がアレルゲンになってしまった場合は、その食材を3ヶ月くらいに断てばまた食べられるようになることが多い。
→ この考え方は、現在は否定されています。
<参考>(「アレルギーi」より)
Q. 同じ食物を続けて食べるとアレルギーを起こしやすいのでしょうか?
A. 同じものを続けて食べたからといって、その食物に対してアレルギーを起こしやすくなるということはありません。以前は、「同じ食物ばかり続けて食べるとその食物のアレルギーになりやすい」という考え方があり、「回転食」といって同じ食物を続けて食べないようにする指導が行われていたことがありました。しかし、今ではこのような考え方に根拠がないことがわかっています。
・肉食だけでは不足する栄養素
(オメガ3)魚の脂に多いEPA、DHAなど
(ビタミンD)魚からしか摂れない。カジキマグロ、サケ、身欠きニシン、サンマ、ウナギ、ヒラメ、イワシの丸干しなどの魚に豊富に含まれる(他には干しシイタケやキクラゲ)。
・大豆製品はミネラルバランスがよい
大豆食品はCaとMg、Kがバランスよく含まれている。
また、脳の神経伝達物質を作るレシチンという脂質も含まれている。
・「卵は1日1個まで」は迷信
かつては「卵は1日1個まで」と言われていたことがあった。卵に豊富なコレステロールを摂り過ぎると動脈硬化のリスクを高めるとして悪者扱いされていた。
しかし実は、コレステロールは食事を通して得られるだけでなく、私たちの体内でも作られており、食事で摂り過ぎた場合は体内で作る量を減らすなどして調整する仕組みが備わっている。そのため、「日本人の食事摂取基準2015年版」では、食事によるコレステロール摂取量の上限値は撤廃されている。
→ 「ゲンキの時間」(2019.5.12)「イチから知ろう!脂質異常症〜コレステロール別対策法」では、「卵(特に卵黄)は2日に1こまでにしてください」と専門医が解説していました・・・?
どっちがホントなんだろう・・・検索してみると「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」(日本動脈硬化学会)には「肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす」とありました。
・糖質制限をしていると便秘がち
食物線維の摂取量が少なくなるため。
野菜摂取の適量は、満腹の状態を10とすると、その半分を食物線維で満たすイメージ。
野菜意外に食物線維が豊富なものにはキノコ類、海藻類、こんにゃく、おからなど。
・糖質制限中の脂質の摂り方
脂質は血糖値を上げないため、制限の対象ではない。むしろ、糖質に変わるエネルギー源として積極的に摂取すべきである。
ただし、「どんな油をとるか」が問題である。
脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる;
(飽和脂肪酸)肉の脂肪や乳製品に多く含まれる(肉、バター、ココナッツオイルなど)。常温で固体。動脈硬化の原因になる。
(不飽和脂肪酸)魚や植物に多く含まれる(オリーブオイル、ベニバナ油、亜麻仁油、魚油など)。常温で液体。さらに多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分かれる。
→ 多価不飽和脂肪酸:
オメガ3:α-リノレン酸、エゴマ油、亜麻仁油、EPA/DHA
オメガ6:リノール酸、サラダ油、ベニバナ油
オメガ3とオメガ6は正反対の働きをする。オメガ6が過剰になると炎症が促進されてアレルギー症状につながりやすい。
→ 一価不飽和脂肪酸
オメガ9:オレイン酸、オリーブオイル
・オレイン酸(オメガ9脂肪酸)
一価不飽和脂肪酸-オメガ9脂肪酸。
腸をなめらかにしてぜん動運動を高め、便秘の予防や改善をしたり、抗酸化作用やほかの脂肪酸に比べて酸化しにくいという特徴がある。
このオレイン酸を多く含むのがオリーブ、アーモンドなどの食品の他、市販の液体の油ではオリーブ油となる。
・EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)
オメガ脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA/DHAがあり、α-リノレン酸は体内でEPA/DHAへ変換される。
α-リノレン酸を多く含む食品がクルミであり、亜麻仁油、えごま(シソ)油である。
オメガ3脂肪酸はがんやアレルギーなどの現代病を予防する。
・リノール酸(オメガ6脂肪酸)
オメガ6脂肪酸の代表格がリノール酸でサラダ油などの植物油の多くがリノール酸を多く含む。
リノール酸は必須脂肪酸ではあるが、非常に酸化されやすいのが特徴で、体内で過酸化脂質を生じさせ、がんの罹患率が高まることが指摘されている。リノール酸から合成されるアラキドン酸はアレルギー症状を進めるので、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などを引き起こす。
・トランス脂肪酸
常温で固体(人工的な油)。マーガリン(バターの代用)、ショートニング(ラードの代用品)にトランス脂肪酸が多く含まれる。世界中で使用を禁止しているが、日本は禁止していない。
・人類はその進化の大半を「糖質制限」で過ごしてきた。
稲作以前の狩猟採集時代は炭水化物の乏しい「糖質制限」時代であり、700万年中699万年を人類は糖質制限で過ごしてきた。なので、糖質過剰の現代の食生活では体調を崩してもおかしくない。工夫が必要であり、その提案の一つが糖質制限である。
・糖質制限ダイエット ≠ 低インスリンダイエット
(糖質制限)血糖値を上げる糖質の摂取量を制限する
(低インスリン)血糖値を緩やかに上げる糖質を選んで食べるというアプローチ
インスリンは別名「肥満ホルモン」といわれるように、血糖をエネルギーとして使い切れない場合、脂肪に変えて蓄える。そのため、かつてGI(Glycemic Index、グリセミック・インデックス、食後の血糖値の上昇度)の低い食品を選んで江合えっと使用という「低インスリンダイエット」が話題になった。
すでに糖尿病を発症している人には無意味である。GI値の高低にかかわらず(例:玄米であっても精白米であっても)、1gの糖質は血糖値を3mg/dl上昇させる。