何かと話題になり、気になる“long-covid(新型コロナ後遺症)”。
その実態報告が目に留まりましたので紹介します。
まあ、だいたい予想される範囲の結果ですが、
今回の報告では「感染者と非感染者の症状出現頻度の比較」を導入した点が斬新ですね。
体の不調を訴える人は、コロナ感染にかかわらず一定頻度発生するのが現実です。
非感染者と感染者を比較検討することで、
新型コロナ感染による long-covid の実態がはじめて浮かび上がるのです。
これは、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)による副反応が検討された時(名古屋スタディ)と同じ手法です。
ワクチン接種後の副反応と訴える人と、ワクチン未接種者での同じ症状の出現頻度を比較しないと、ワクチンの影響が科学的に評価できません。
名古屋スタディでは、ワクチン接種者と未接種者で症状出現頻度が変わらないことが証明され、この結果をもって「HPVワクチンは安全である」と積極的勧奨再開につながりました。
▢ 感染者のCOVID-19罹患後症状、非感染者の2~3倍「3つの住民調査が明かしたLong COVIDの実態」オミクロン株流行期で割合が低く、11.7~17.0%
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(Long COVID)は、
・成人の方が小児により2~4倍高い。
・感染者は非感染者より2~3倍高い。
・オミクロン株流行期では低い。
・感染前のワクチン接種者で低い。
・症状があった感染者は主観的経済状況が悪化。
研究は、・・・東京都品川区、北海道札幌市、大阪府八尾市の3つの住民調査からなる・・・ここでのLong COVIDの定義は、WHOの「感染から3カ月経過して時点で、少なくとも2カ月以上持続した症状」を採用している。
研究は、・・・東京都品川区、北海道札幌市、大阪府八尾市の3つの住民調査からなる・・・ここでのLong COVIDの定義は、WHOの「感染から3カ月経過して時点で、少なくとも2カ月以上持続した症状」を採用している。
ポイント1◇成人が小児より高い
3つの住民調査全体で見ると、何らかの罹患後症状があると回答した割合は、成人の方が小児より2~4倍高かった。
3つの住民調査別に症状のある人の割合を見ると、成人については、札幌市(感染時期1~6波に該当)で23.4%、八尾市(同4~6波)で15.0%、品川区(同7波)で11.7%だった。小児については、八尾市(4~6波)、札幌市(1~7波)ともに6.3%だった。
3つの住民調査別に症状のある人の割合を見ると、成人については、札幌市(感染時期1~6波に該当)で23.4%、八尾市(同4~6波)で15.0%、品川区(同7波)で11.7%だった。小児については、八尾市(4~6波)、札幌市(1~7波)ともに6.3%だった。
ポイント2◇感染者が非感染者より高い
3つの住民調査では感染者と非感染者の比較をしている点が特徴の1つ。全体で見ると、感染者のLong COVIDの割合は、非感染者が何らかの症状を有していた割合より、2~3倍高かった。住民調査ごとに見ると、成人の場合、札幌市では感染者が23.4%、非感染者が9.1%、八尾市ではそれぞれ15.0%と4.4%、品川区ではそれぞれ11.7%と5.5%だった。同様に小児の場合は、札幌市で感染者6.3%、非感染者3.0%、八尾市でそれぞれ6.3%と2.2%だった。
ポイント3◇オミクロン株流行期で低い
COVID-19感染時期による比較では、Long COVIDの割合はオミクロン株流行期(6~7波)の方が他の流行期に比べて低かった。成人の場合、オミクロン株流行期は11.7~17.0%だったのに対し、アルファやデルタ株流行期(4~5波)は25.0~28.5%だった。小児の場合も同様で、オミクロン株流行期は5.8~7.3%だったのに対し、アルファやデルタ株流行期(4~5波)は6.5~13.7%だった。
ポイント4◇感染前のワクチン接種者で低い
ワクチン接種歴とLong COVIDの関連を調べたところ、成人、小児ともに、ワクチン未接種者に比べて、感染前のワクチン接種者の方がLong COVIDを有する割合が低かった。・・・
ポイント5◇症状があった感染者は主観的経済状況が悪化
このほかLong COVIDが個人の主観的な経済状況に及ぼす影響についても解析している。その結果、3つの住民調査とも、症状がなかった非感染者に比べて、Long COVIDがあった感染者では主観的な経済状況が悪化していた。また、八尾市(4~6波)と品川区(7波)の調査では、Long COVIDを認めた感染者だけでなく、遷延する症状があった非感染者でも主観的な経済状況が悪化していた。・・・
今回の研究は、Long COVIDを自覚症状に基づいて評価しており、医学的に評価されたものではない点が限界の1つ。また、若年層や男性で回答率が低い傾向が見られ、結果に影響した可能性も指摘されている。こうした限界はあるものの、住民調査でLong COVIDの実態の一端が明らかになった意義は大きい。特に、感染者と非感染者を比較した点は、Long COVIDを理解する新たな視点となっている。
今回の研究は、Long COVIDを自覚症状に基づいて評価しており、医学的に評価されたものではない点が限界の1つ。また、若年層や男性で回答率が低い傾向が見られ、結果に影響した可能性も指摘されている。こうした限界はあるものの、住民調査でLong COVIDの実態の一端が明らかになった意義は大きい。特に、感染者と非感染者を比較した点は、Long COVIDを理解する新たな視点となっている。