小児アレルギー科医の視線

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ピーナッツアレルギーでも他のナッツ類は食べられる?

2017年04月10日 13時01分08秒 | 食物アレルギー
 久しぶりのワクチンネタを離れて、アレルギー関連のニュース紹介です(^^;)。
 「ピーナッツは植物学的分類では豆でありナッツではない」という知識はアレルギー専門医の中では有名ですが、一般の方々は混同しがちです。
 ただし、私が調べた範囲では次のような事実もあります;

・ピーナッツアレルギーの人が他の「ナッツ類」に反応する確率は20〜40%と多く、しかし分類上近縁の大豆などの「豆類」に反応するのは1%のみで、誘発される症状も軽いと報告されています。
・実際にピーナッツで症状が出る子どもでも、他のナッツ類でも症状が出るとは限りません。ナッツの種類ごとに一つ一つ検査、あるいは経口負荷試験をして食べられるかどうかを確認する必要があります。

■ ピーナッツアレルギーでも他のナッツ類は食べられる?
2017/04/10:HealthDay News、ケアネット
 1種類のナッツ類にアレルギーをもつ人でも、必ずしも他のナッツ類を除去すべきとは限らないことが、新たな研究で判明した。1種類のナッツ類にアレルギーをもつ人の半数以上は、他のナッツ類にアレルギー反応を示さなかったという。
 今回検討されたのは、アーモンド、ブラジルナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ。興味深い点として、ピーナッツアレルギーの人では、これらのナッツ類にアレルギーのある人はほとんどいないことも判明した。ピーナッツは実はマメ科で、ナッツ類(tree nuts)ではない
 研究筆頭著者である米フェニックスのアレルギー専門医Christopher Couch氏は、「一度も食べたことのない食べ物の場合はとくに、皮膚プリック検査や血液検査が陽性になっただけではアレルギーとは断言できない」と説明する。その代わりに、疑わしい食べ物を数時間かけて徐々に量を増やしながら摂取し、専門医がアレルギー反応を評価する食物経口負荷試験を受けるべきだとしている。なお、同氏は研究当時、米ミシガン大学医学部フェローであった。
 研究では、1種類のナッツ類にアレルギーをもつ患者100人強の医療記録を検討し、他のナッツ類に対するアレルギー反応を調べた。被験者は皮膚プリック検査または血液検査(特異的IgE検査)および食物経口負荷試験を受けた。
 その結果、皮膚プリック検査または血液検査では他のナッツ類に感作性を示したにもかかわらず、食物経口負荷試験ではアレルギー反応が認められなかった被験者の割合は、それぞれの検査で半数以上に上っていた。
 Couch氏は、「皮膚プリック検査や血液検査では想定以上に偽陽性が出やすいことが分かった。患者のアレルゲンや除去食の必要性を明らかにしたい場合、食物経口負荷試験が最も客観的な検査である」と話している。この研究結果は、「Annals of Allergy, Asthma and Immunology」オンライン版に3月27日掲載された。

<原著論文>
・Couch C, et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2017 Mar 22.
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