小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

アナフィラキシー対応は「注射」から「鼻スプレーへ」

2024年08月02日 08時16分39秒 | 食物アレルギー
私は小児科専門医&アレルギー専門医です。
医療医学の進歩に後れを取らないよう、
日々情報収集のアンテナを張っています。

そんな中で、画期的な記事を見つけました。
それは「アナフィラキシー」対応に、
現在の注射剤ではなく鼻スプレー剤が登場したという内容。

アレルギー症状の最重症型である「アナフィラキシー」の処置として、
現在は「エピペン」という注射剤が有名になっています。

これは医療関係者以外の一般市民でも使用可能で、
学校現場などでも教職員他が研修を受けて対応できるようにしています。

しかし実際には、ふだん扱ったことのない注射を具合の悪い子どもにするというハードルが高く、
タイミングよく使用されないことがしばしば報告されています。

そこに「鼻スプレー剤」の登場!

これは今までのハードルを一気に取り払うくらいのインパクトがあります。
実用化が待ち遠しいですね。


■ 「アナフィラキシー」に鼻にスプレーするタイプの薬で効果確認
2024年7月30日:NHK)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 重いアレルギー症状が出た場合、現在、緊急用の自己注射薬が使われていますが、鼻にスプレーするタイプの薬でも同等の効果が確認できたとする、治験の結果を開発を進めるグループがまとめたことが分かりました。この治験は、国立病院機構相模原病院と製薬会社のグループが行いました。
 食物などのアレルギーで「アナフィラキシー」と呼ばれる重い症状が起きた際には、現在、緊急用の自己注射薬が使われていますが、注射をためらうなどして投与が遅れるケースがあると指摘されています。
 グループでは、海外の製薬会社が開発を進める鼻にスプレーをするタイプの治療薬について、国内で最終段階の治験を行い、アナフィラキシーの症状が出た6歳から17歳までの子ども15人にこの薬を投与しました。
 その結果、15人のうち14人で5分以内に症状が和らぎ始め、最終的に全員の症状が治まったということで、いずれも重い副作用などはみられませんでした。
 これまでの研究で鼻からの投与で十分な量の薬が吸収されることが確認されているということで、グループでは、今回の治験で自己注射薬と同等の効果があることが確認できたとしています。
 国内で開発を進める製薬会社では、今年度中に国に承認申請を行うことを目指しているということです。
国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老澤元宏センター長は「注射薬は一般の人や教職員が使うときにどうしても抵抗感があるが、点鼻型の薬が実用化できる見通しがたったと考えている」と話していました。


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