私の射撃用古式銃、その4はコレ。日本製の管打式短筒を紹介することにしましょう。
この銃は国際大会のkuchenreuter Originalに使用するために入手しました。簡単に説明すると、単発式のパーカッションピストルで25m先のISSFフリーピストル用標的を撃つという種目です。この管打式短筒を使用する種目は日本ライフル射撃協会のルールブックにも掲載されておりますが、国内での競技人口は非常に少ないのが実情です。ちなみに、
Replica種目用にイタリアで入手したペデルソーリのMang in Grazは日本に持ち帰れないのでアメリカの友人の許に預けてあります。
全長365mm、銃身長210mmという日本製の短筒としては小さ目のサイズです。私が所有しているもう一挺の管打式短筒(馬上筒)と較べるとこんなにコンパクト。口径は14mmなので、13.4mmの弾頭を使用し、FFFgの黒色火薬を15Grs.チャージして使用します。国内で練習するときは、パーカッションキャップの代わりにモデルガン用の5mmキャップを使用しますが、不発はほとんどありません。
銃身の下には、このようなラムロッドが組み込まれています。銃床を外してみたら、抜けないようにテンションを掛ける構造になっていました。
日本製の管打式銃砲は火縄銃をモディファイした銃が多く、元々火皿のあった部分を部分を埋めたりする必要があるため、どうしてもその周囲が不自然な形状になってしまいます。しかし、この銃は最初から管打式として製作されているために違和感がありません。上がこの短筒の拡大画像。下が火縄銃をモディファイした銃の拡大画像です。こうやって比較してみると、一目瞭然ですね。
フロントサイトはビードで、リアサイトはこのような特異な形状です。レーザー通して狙点を確認し、実測した弾速から弾道計算ソフトで弾着点を割り出してみたら、このサイトで正照準で狙えるのは50m以上の遠距離!。現実にその距離で撃ったとは到底思えませんけどね(笑)。25mでISSFのフリーピストル競技用標的を使用する場合、標的紙よりかなり下を狙わないと黒点に入らないので、さすがにアジャスタブルサイトが欲しいなぁ(笑)。
銘は国友久義。その後に “二” という数字がふってあります。確認したところ、同じ番号が銃床とカラクリの内側にもふられていました。少なくとも、もう一挺は同型銃があったということでしょう。万延元年(1860年)と打刻されているので、151年前に製作された銃であることが分かります。
火縄銃に較べると、このように尾栓は短めです。
元々銃身の状態は非常に良く、軽く研磨しただけでこのようにピカピカになりました。空砲演武では関係ないかも知れませんが、実弾を撃つ射撃競技ではこの位の状態でないとお話になりません。私はコレクターではないので、どんなに名のある銃工の作品でも、どんなに外見が綺麗でも、当たらない銃は無価値だと思っています。でも国際大会のkuchenreuterではライフリング入りの銃が使用できるので、正直な話、このようなスムーズボアの銃では全く勝ち目はないんですけどね(笑)。
2008年の世界選手権(アデレード)のピストル競技ではTanzutsuが4位、Cominazzoが7位でしたが、kuchenreuterは37位でした。トホホ~。にもかかわらず、私が日本製の銃を使用し続けているのには理由があります。明らかに日本製だと分かるような銃でない限り、帰国後の再登録でトラブルになる可能性があるからです。今はもう勝ち負けは別にして、日本製の銃でどこまでやれるか試してみようと思っています。
■本日のオマケ
これは
私が長年愛用している弾速測定器、エーラーのモデル35Pです。前装銃のセッティングにはこれがあると結構便利なんですよ。機会があったら、このブログでも紹介しますね。