大根切って 水増しへ?
(紀伝体・大鏡(おおかがみ)・今鏡(いまかがみ))(編年体・水鏡(みずかがみ)・増鏡(ますかがみ))
[ポイント]
1.四鏡は『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』の順で成立。
2.『大鏡』『今鏡』は紀伝体(人物順に歴史記述)、『水鏡』『増鏡』は編年体(年代順で歴史記述)。
[解説]
1.大鏡(白河院政期に成立、作者不詳)は、摂関家に批判的・四鏡の最初。『世継物語』ともいう。諸説あるが作者は未詳。『伊勢物語』『源氏物語』と並ぶ平安文学の最高傑作。二人の老人が久し振りに会い、若い侍を聞き役に交えて昔話をする、という設定になっている。これで藤原北家台頭から摂関政治絶頂期までの約180年間(850~1025)を批判的に語り明かす。これをぶれない一人の視点で見てきたように語らせるため、二人の年齢は大宅世継(おおやけのよつぎ)190歳と夏山繁樹(なつやまのしげき)180歳という異常な高齢にしてある。この設定は後の3鏡でも踏襲(とうしゅう)されている。
2.今鏡(作者未詳。1170年以降に成立)は、『大鏡』の後を受けて、大宅世継の孫娘で150歳を超えた老婆が語る、という設定になっている。1025年から1170年までの歴史を描いている。
3.水鏡(作者未詳、鎌倉時代初期成立)は、著者は中山忠親という説が有力だが未詳。『大鏡』以前の神武天皇から850年までを記している
4.増鏡(作者未詳、南北朝時代成立)は、鎌倉時代についての歴史書。後鳥羽天皇即位から、後醍醐天皇が隠岐より京都へ帰還するまでを記している。著者は二条良基説が有力であるが未詳。
〈2009青山学院大・国語・文(日本文)人間科学(教育)
今鏡は12世紀後半に成立した歴史物語である。この作品の成立と同じ時代に活躍した人物を次のア~オから一人選べ。
ア西行 イ兼好 ウ和泉式部
エ在原業平 オ菅原孝標女」
(答:西行)