平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

翼の折れた天使たち ~セレブ~

2006年02月28日 | 学園・青春ドラマ
小峰奈々子(上戸彩)はこんな女の子。

週に1回、セレブ気分を味わうためにセレクトショップに足を運ぶ。
セレクトショップで服を選んでいる時だけが本当の自分を忘れ、あこがれの自分になれる時間。
この一瞬の時間を味わうために何でもする。

こんな彼女のバックボーンには、父は無職で借金取りの電話が毎日かかっていた幼い頃の想いがある。友だちと自分は何も変わらないのにお金を持っているというだで、こんなに生活が違う。
必然、奈々子はお金だけを信じるようになる。

だが、そんな奈々子にめぐみという少女が現れる。
お金持ちの娘で何でも買ってもらえる生活を送っている少女。
だが、めぐみはこんな生活は嫌いだと言う。
それに対し奈々子は「それはお金を持っている者の贅沢な願望。お金のない生活をしたことがあれば、そんなことは言えない。お金があるってことはそれだけ将来に可能性があるということ」と反論する。

奈々子が言ったことは、めぐみの母も同じように考えていたことだった。
めぐみの母は夫を亡くし、現在の金持ちの夫と再婚した。
結婚した理由は、再婚相手が金持ちだったから。
めぐみの母は言う。
「あなたも何かを得るために何かをなくしているでしょう?」
めぐみの母が言うように奈々子はお金を得るために身体を売っていた。

物語は佳境に入る。
奈々子はめぐみに出会い、自分の信じていた価値観が本当に正しいのかを疑う様になる。
「人間の幸せってなに?」と考える。

確かに今の生活は空虚だ。
ブランド品の洋服は部屋に山のように掛かっているが、別に愛着があるわけではない。それに比べてめぐみは父の形見の汚いうさぎのぬいぐるみを大事にしている。
セレクトショップでの時間も実は空虚だ。
ショップでの自分は本当の自分ではないからだ。

めぐみが病気で倒れたことにより、奈々子は「誰かを愛おしく思う気持ちが何よりも大切だ」ということに気づく。
そして、「誰かを(何かを)愛おしく思う時に自分は自分でいられる」と気づく。

奈々子はめぐみに「嘘つきになるとブスになっちゃうぞ」と言われる。
確かにセレクトショップにいる自分は嘘をついていた。
嫌なのに身体を売ることも自分に嘘をついていたことだ。
自分を取り戻しありのままの自分を見せた時、奈々子はセレクトショップの店員に言われる。
「今日の奈々子さんが一番きれい」

★研究ポイント
 主人公の価値観に正反対の価値観をぶつけ、主人公が変わっていくというドラマ手法。病気解決は安易だが。

「本当の自分を忘れ、あこがれの自分になりたい。あこがれの自分にほんの一瞬でもなるために何でもする」
「お金を持っていても幸せになれないというのは、お金を持っている者の贅沢な願望。お金のない生活をしたことがあれば、そんなことは言えない。お金があるってことはそれだけ将来に可能性があるということ」
というモチーフは他にも使えそう。

 溢れているブランド服と汚いうさぎのぬいぐるみの対比が面白い。
コメント
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