平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 4

2006年02月13日 | 大河ドラマ・時代劇
「山内家旗揚げ」
 今回は日常のエッセイ。
 今までのようなドラマはない。

 千代はつぎはぎの着物を着て(これが千代紙の由来だとか)、50石と苦しい山内家の家計のやりくりをしている。
 新右衛門の大家族がやって来たため、米が足りないのだ。
 千代は食事を一日おきにして、町へ近江の絹の着物を売りにいく。
 夫婦袋というペアの巾着袋を路上で売る。
 そんな状況で千代は「おなかがすいたのでございます」と言って、倒れてしまう。
 そんな千代のために山へ猪狩りに行く一豊。
 そして足利義昭を奉じての京への上洛。
 千代は「丸に3つの柏紋」の山内家の旗を作って、一豊に持たせる。

 ここには、何のドラマもない。
 「一豊と千代は若い頃、お金がなく苦労していたのです。旗も手で縫った物だったのです」で語られる。
 「トリビアの泉」で扱われてもいいネタだ。

 やはりドラマは心の葛藤だ。
 以前のような美濃か尾張か、自分を育ててくれた叔父の家か一豊か、という葛藤はない。
 今回の唯一の葛藤は、千代が生活苦から叔父からもらった百両を使うか使わないかで迷う時である。叔父夫婦からは「家の大事の時に使え」「暮らし向きに使ってはいけませんよ」と言われている。そこで千代が迷う。

 この物語は千代が主人公。
 襲い来る歴史の苦難や人間どうしの葛藤は一豊の方に降りかかるであろうから、千代のドラマ要素は少なくなる。内助の功ということになるのだろうが、それでは葛藤を背負うのは一豊になる。
 今後、千代の心の葛藤がどの様に描かれるかが楽しみだ。

★研究ポイント
 エッセイの様な作品。
 事実を描いても心の葛藤がなければ、ドラマにならない。

 人物描写は見事。
 今回は「明智光秀」という存在に各人物がどうリアクションするかで描かれた。
 若い家臣たちは光秀の時代になると色めき立つ。
 秀吉も光秀の存在を手強いと思う。光秀と違う自分の出自に悩む。
 一方、一豊は動揺せずに秀吉についていくと言い切る。
 信長も光秀の説く礼法をつまらないものだと思うが、いったんは光秀の言うこと(足利義昭に)に頭を垂れる。(この頭を下げた信長の心の中には葛藤がある)

★追記
「なぜ、足利義昭を奉じる必要があるのか?」と秀吉に問われた時に、一豊は「京に上る大義名分」と答える。秀吉は「一豊も政治向きのことに通じてきたな。興味を持ってきたな」とほめるが、実は千代が一豊に教えたこと。千代は竹中半兵衛からそれを聞いて一豊に伝えていた。
 半兵衛~千代~一豊~秀吉という情報伝達、人間関係が面白い。
コメント
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