平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

時効警察

2006年02月04日 | 推理・サスペンスドラマ
 第4話「犯人の575は崖の上」はこんな話だ。

 2時間ドラマ・シリーズ『THEアネゴ探偵・寂水先生が行く!!』で、人気の女優アヤメ旅子(永作博美)。しかし、過去に事件があった。
 旅子の前に探偵・寂水役をやっていた白河湯舟(広田レオナ)が、撮影中に崖から転落死したのだ。事件は事故と判断され時効になったが、この時効事件を霧山修一朗(オダギリジョー)が趣味で追う。

 霧山はこの事件を次のように再現する。
 事故と判断された事件(偽装)の真実を暴き出すのが探偵の役割だ。
 ★状況
  ・転落死したとされる湯舟には頭部に2つの傷があった。
  ・旅子は当時、湯舟の助手の探偵役をやっていたが、いつも理不尽な文句をつけられていた。
  ・旅子は婚約者を湯舟に寝取られた。
  ・傲慢な湯舟を恨んでいたのは、当時の撮影スタッフも同様。

 真相はこうだ。以下はネタバレ。
 湯舟は、旅子ともみ合いの演技をしているうちに転倒。
 張り出していた岩に頭をぶつけて怪我する。
 激しいもみ合いとなったのは、旅子が芝居の最中に「自分の婚約者と寝たことを湯舟の夫のプロデューサーにばらす」と挑発したためだ。
 湯舟は頭をぶつけて意識を失っている。
 湯舟の意識が戻れば、旅子は降板させられるだろう。
 自分のしたことにうろたえる旅子にまわりのスタッフが提案する。
 湯舟をこのまま崖から突き落として殺し、事故だということにしよう。

 トリックは60分のテレビドラマとしてはよくできている。
 課題なのは、霧山が真相に迫るまでの過程があまり描かれていないのと旅子以外に想定される犯人候補がいないこと。かろうじて撮影スタッフも共犯だったというところで救われているが……。

 作品ではこうしたトリック崩しよりは、霧山と仲間たちのキャラクターを描くことに重点を置いている様だ。
 「笑う」「バミる」「八百屋」といった業界用語に一喜一憂する刑事たち。
 道を聞かれて、上手・下手で道を教える。

 崖を舞台にしているのも2時間ドラマを揶揄した遊び。
 この作品のスタッフは、遊び心に溢れているのだ。

★研究ポイント
 本筋と関係ない遊び心は大歓迎。
 しかし、それが過ぎて本筋を忘れると、ドラマでなくなる。
コメント
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