平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

平清盛 第24回「清盛の大一番」~玉座におってはあやつと遊べぬゆえな

2012年06月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 清盛(松山ケンイチ)が後白河帝(松田翔太)に、相撲節会で<太宰府の器>を見せたのはどのような意味があるのだろう?
 それは、自分が<太宰府が管理する富を掌握した>ということを示すこと。
 太宰府の富を掌握して<自分はますます大きくなっている>という自己アピール。
 そして、後白河帝への<挑戦状>。
 通常の権力者なら、このように力を持った清盛を排除しようとするだろう。
 しかし後白河帝は違う。
 力をつけて自分に歯向かってくる者が大好きなのだ。
 歯向かってくる者と闘って、戯れたいのだ。
 何という無頼な帝(みかど)だろう!
 そして、清盛は後白河帝がそのようなリアクションをすることを読んでいた。
 だから<太宰大弐>に抜擢された。
 見事な心理戦、駆け引きである。

 そして、戯れる後白河帝はこんなことをした。
 守仁親王への譲位。
 譲位して後白河帝はこう語る。
 「玉座におってはあやつと遊べぬゆえな」
 これはどういう意味だろう。なぜ後白河帝は譲位したのだろう。
 冒頭、崇徳上皇(井浦新)が讃岐に流されるシーンが描かれる。
 つまり譲位した人間なら、権力を剥奪して、流罪も可能だということ。
 天皇という立場なら難しいが、上皇や法皇なら可能。
 天皇を立てて、自分を排除することが出来る。
 だから自ら天皇の座を降りた。
 「清盛、私を追い落としてみろ」と後白河帝は、清盛にメッセージを送っている。
 自分をギリギリの立場に追い込んで、遊ぼうとする後白河帝って、本当に凄すぎる。
 無頼、傾き(かぶき)、虚無、風狂……、ともかく常人ではない。滅茶苦茶だ。
 凄いキャラクターを造り出したものですね。

 長男・重盛(窪田正孝)の婚姻のこともなかなかの駆け引き。
 「叔父上を殺した信西入道に力を貸している父上のように、私は腹が据わっておりません!」
 清盛は重盛からこの言葉を引き出そうとしていたんでしょうね。
 重盛がこれを言った時、清盛は笑みを浮かべていた。
 清盛は、きっと<重盛が今のもやもやした気持ちを抱えたままではまずい>と考えていた。
 だから思いをはき出させた。
 かつての自分ももやもやを抱え、はき出すことで乗り越えてきたから。
 宮廷での出来事ではありませんが、これもまた心憎い心理戦です。

 清盛、後白河帝、そして信西(阿部サダヲ)。
 宮廷で繰り広げられるさまざまな心理戦と駆け引き。
 そんな中で、義朝(玉木宏)はそれについていけず、心乱れている。心理戦で完全に負けている。
 義朝は、実は政治には不向きな、鬼になれない心優しい人物だったんですね。
 個人的には、大好きです。


コメント (4)
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