平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒11 「同窓会」~今回は??? ミスリードでミスしてる

2013年02月14日 | 推理・サスペンスドラマ
 ミステリーにおけるミスリード。
 読者や視聴者が真犯人や真相にたどりつかないようにするために、犯人らしき人や別の事件を設定すること。
 今回は、それをやっていた。
 まずは、仲川茂夫(志垣太郎)。
 選挙に出る仲川は、過去の過失スキャンダルを隠蔽するために、それを公表しようとするかつてのクラスメイトを爆弾で殺そうとした。
 ふたつめのミスリードは、元教師・岩田浩司(近藤正臣)。
 岩田は、愛していた女性を死に追いやったかつての教え子に復讐するため、爆弾を仕掛けた。
 いずれも『相棒』の作家さんが作り上げたミスリードである。
 視聴者は、このミスリードで「犯人は仲川かしら?」「いや、岩田に違いない」などと思ってしまう。
 だが、真相は別にある。

 ところで、このふたつのミスリード、あまり説得力がない。
 何しろ爆弾が爆発すれば、仲川も岩田も死んだり、重傷を負ったりしてしまうのだから。
 リスクが大きすぎる。
 もっとも教師・岩田の場合は、自分も死ぬ覚悟で、自殺するつもりで、爆弾を仕掛けたと考えることも出来る。
 しかし、何も関係ない右京(水谷豊)や女生徒たちを岩田が道づれにするとは思えない。
 これらの点で、今回のミスリードは失敗している。

 犯人の人物像も疑問だ。
 仲川に恨みがあるのなら、他の人を巻き込む爆弾など使わずに仲川だけを何とかすればいい。
 むしろ今の時代、スキャンダルとして告発した方が、仲川のダメージは大きいだろう。
 あるいは犯人は、インターネットで紹介されていたアメリカの『同窓会殺人事件』にヒントを得て、犯行を思いついたようだが、現実に実行してしまう短絡性は、実際の人間としてどうだろう?
 犯人の頭が少しおかしくなっているのなら、別だが。(黒猫がいたり、表情が狂気で歪んでいたり、犯人にはそれを匂わせる描写がありましたけどね)

 というわけで、今回の『相棒』については、いっぱい????がついてしまう。
 冒頭の<お土産に爆弾があった>という掴みは面白かったが、爆弾事件という設定は間違っていたのではないか?

 ドラマとしては<過去の罪を背負って生きる>ということ。
 どうなんでしょうね、第三者だから言えることかもしれないのですが、岩田も仲川たちも早く告白した方がよかったのでは、と思ってしまう。
 結局、誰にも言えず背負って生きることで、40年の歳月を<罪の意識>で後ろめたく過ごしてしまったわけだし。
 なので、『同窓会』はもっと早く行われるべきだった。
 早く行われて、「寿子先生が亡くなったのは僕たちのせいなんです」「いや、それは違う、実は私のせいなんだ」という会話がなされていたら、彼らの人生は変わっていたかもしれない。
 人生は、ほんのわずかなことで悪くなったり良くなったりするんですね。


 
コメント (8)
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