平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ビブリア古書堂の事件手帖 第4話~本を愛する人たち 「ティナルディエ軍曹には気をつけろ!」

2013年02月05日 | 推理・サスペンスドラマ
 事件には動機がある。
 小百合の息子・昴(今井悠貴)の動機は<本への愛>。
 玉岡聡子(森口瑤子)の動機も<本への愛>。
 ふたりとも、自分にとって大切な本を、それを愛していない人に渡したくないと考えている。
 そのために盗みを働いたり、ウソをついたりする。
 本来なら、同じ本を愛しているふたりは<一番わかりあえる人間どうし>なのに。
 ちょっとしたボタンの掛け違えで、争ったり憎み合ったりするようになる。
 このように考えていくと、今、世界で起きているさまざまな争いや紛争のほとんどは、ボタンの掛け違えで起こっているのかもしれない。
 おそらく、あの後、昴と聡子は『春と修羅』を共有するだろう。
 ここから豊かな対話と人間関係が生まれる。

 さて、今回の事件のモチーフである<手入れ本>。
 宮沢賢治は同じ作品を何度も推敲し、書き直したようで、現在、ひろく読まれている『銀河鉄道の夜』にも、その元となったオリジナルバージョンがあるようですが、今回のドラマにも<手入れ>がなされているように思える。
 最初のオリジナルバージョンは<昴が『春と修羅』を盗んだ>という物語。
 手入れをされて書き直されたバージョンは<聡子が『春と修羅』を正当な相続者に渡さずに盗んだ>という物語。
 おそらく原作の三上延さんは、宮沢賢治を模倣して、今回のエピソードを<手入れ>してみようと考えてみたのではないか。
 せっかく宮沢賢治の作品を題材にしているのだから、このエピソードも<昴が盗んだ>という物語で終わらせてはいけないと考えたのではないか。
 このことは三上延さんに確認してみなければわかりませんが、もしそうだとしたらしっかり遊んでいますね。
 何度も手入れをした宮沢賢治へのリスペクトもある。

 最後に、今回のもうひとつの事件、志田さん(高橋克実)の事件。
・金メダル
・額に★型の印
・ポケットにモモンガ
 背後にすごい謎が隠されている事件のようだったが、実は泥酔していただけ!(笑)
 先程の<動機>という視点で、この事件を考えてみると、動機というか事件の原因は<泥酔>。
 前述の『春と修羅』をめぐる事件と比べると実に他愛ない。
 それに、事件の真相が<泥酔>であったというのは、おそらくミステリー史上初ではないか(笑)
 でも、世の中で起こる事件のすべてが、こんなふうに楽しくて他愛ないものだったらいいですね。


コメント (2)
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