平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

半沢直樹~<日本企業の魂><企業の良心>を体現した半沢というキャラクター!

2013年09月23日 | 職業ドラマ
 半沢(堺雅人)が断罪した東京中央銀行の体質は、おそらく日本の大企業すべてが陥っているものなのだろう。
 つまり「保身や出世、派閥争いのために、顧客を顧みず、本来なすべき仕事をしていない」ということ。
 これは、先日のJR北海道しかり、白斑問題のカネボウ化粧品しかり、東京電力しかり。
 皆、内部にばかり目を向けていて、お客に喜んでもらうことや企業としての責任と使命を果たすことを放棄している。
 これではダメだよね、日本の大企業。
 良質な製品やサービスを提供することを第一にしていた、かつての<日本企業の魂>はどこに行った?
「鉄の骨」「七つの会議」など、池井戸潤作品のテーマはここにある。

 そして「半沢直樹」が他のドラマ化された池井戸作品より人気を博した理由は、半沢というキャラを登場させたことだろう。
 実は半沢も、「七つの会議」などの主人公と同じく、組織の悪に与しない<企業の良心>であることは変わらない。
 しかし一方で、半沢は啖呵や大見得を切り、時には脅迫、恫喝、敵地に侵入して書類を盗み出すといった破天荒なことをやってのける。
 ぼくは、半沢を銀行員のジャック・バウアーだと思っているが、「半沢直樹」の作劇・演出は海外ドラマ「24」に似ている。
 脚本家さんは「24」をよく研究していらっしゃる。
 それと今のドラマはリアリティより、これくらい劇画のようなキャラクター化の方が受けるんでしょうね。
 この日曜9時のTBS枠では「華麗なる一族」「不毛地帯」「運命の人」などの山崎豊子作品があったが、リアリズムの主人公は「半沢」ほどは受けなかった。
 「やられたらやり返す」「倍返しだ」といった決めぜりふもなかった。
 「半沢直樹」は、今後のドラマ製作者が企画を立てる上で、大いに分析されるべき作品ですね。

 さて、「半沢直樹」最終回のラスト。半沢の東京セントラル証券への出向。
 これは中野渡頭取(北大路欣也)の理不尽な非情さというより、続編への布石でしょうね。
 中野渡頭取にミッションを与えられた半沢が、東京セントラル証券で大暴れするみたいな。
 これは一歩間違うと「特命係長 只野仁」みたいになってしまうんですが、せっかくの社会派の人気作、それだけは避けてほしいです。
 もっともぼくは「只野仁」も好きですが。


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八重の桜 第38回「西南戦争」~西郷の播いた種が君らの学校として芽吹いた

2013年09月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 西南戦争、ここで行われたのは<維新の総仕上げ>。
 官兵衛(中村獅童)ら会津藩士は、ここで会津の名誉を回復しようとする。
 仇敵・薩摩軍との戦いである。
 10年経っても、思いは静かにくすぶっていたんですね。
 そして官兵衛は死に場所を求めていた。本来なら戊辰戦争のいくさ場で死にたかった。
 官兵衛の最期の言葉が印象的だ。
「官だの賊だのは、その時の勢いに拠るもの」
 物事の価値観なんて、時代の流れでいくらでも変わるんですよね。
 これを昭和の歴史で見てみれば、戦争中は鬼畜米英だったアメリカが、戦後はアメリカ万歳で「ギブ・ミー・チョコレート」。
 白はすぐに黒になり、黒は簡単に白になる。
 ただ、こんな変わりやすい世の中の価値観の中で、変わらないのは個々人の意思。
 官兵衛は、戊辰戦争でも西南戦争でも「死に物狂いで闘うこと」を変えなかった。

 西郷(吉川晃司)は自ら進んで<人柱>になったようだ。
 明治政府の改革に不平不満を抱く武士たちの受け皿になり、共に滅びていく。
 不満という膿を出し尽くすために、自らがその象徴になって犠牲になる。
 これで維新は完成し、明治政府はまっすぐに歩んでいける。
 西郷はそう考えた。

 西郷が考えたように、歴史は旧勢力を徹底的に滅ぼさないと前に進まないんでしょうね。
 そこで、最初に滅ぼしたのは徳川。
 徳川慶喜が大政奉還し恭順したので、徳川の象徴として会津が滅ぼされた。
 そして次に滅ぼしたのが、かつての特権階級であった武士たち。
 これは西郷が象徴となって、滅ぼされた。
 だから西郷は「会津と薩摩は同じだ」と言った。

 現在でも<規制改革>が何度も叫ばれ、旧勢力から既得権を奪おうとしているが、抵抗が激しくて改革はなかなか前に進まない。
 明治維新とともに日本の既得権が破壊されたのは、1945年の敗戦だ。
 つまり大きく世の中を変えるには、暴力による破壊が必要だってこと。
 民主主義の手法でやっていたら、大変な労力と時間がかかる。
 個人的には、民主主義の手法による改革を信じたいですけどね。

 さて八重(綾瀬はるか)と襄(オダギリジョー)。
 薩摩藩邸の跡地に、未来の人材を育てる学校をつくった。
 薩摩藩邸が西郷の象徴だとすると、まさに西郷から八重たちに未来が託されたという感じだ。
 だから、確か木戸孝允(及川光博)が言っていたこのせりふ。
「西郷の播いた種が君らの学校として芽吹いた」

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