国と国の間に必ずある<領土問題>。
現在の日本に限ってみても、
・尖閣諸島
・竹島
・北方四島
この文脈で、今回の<沼田裁定>を見てみるのもいいかもしれない。
まずは外交と調停。
秀吉(小日向文世)が調停者になって、真田と北条の言い分を聞く。
証人は徳川。
やりとりの中で、どさくさに紛れて「だまし取った」「かすめ取った」という言葉が出てきたが、これは現在の領土問題も同じ。
北方四島なんかは日本の敗戦のどさくさに紛れてソ連が取りましたしね。
争う両者の言い分は、所有の正当性の根拠をどこに置くかによっても違ってくる。
<沼田裁定>の場合は、歴史の事実や徳川が北条、真田に与えた起請文。
尖閣諸島に関しては、中国は明治以前の所有を持ち出し、日本は明治以降の事実や条約を根拠にしている。
このように領土問題というのは、それぞれの言い分を言い合うだけで、永遠に解決しないんですね。
言葉による解決には限界があり、秀吉のような強力な権力者によって決められるしかない。
しかし、この強力な権力者による裁定も政治的な思惑が働く。
秀吉の場合は、北条氏政(高嶋政伸)を上洛させることだ。
三成(山本耕史)は昌幸(草刈正雄)と信繁(堺雅人)に言う。
「殿下にとって何より大事なのは北条を上洛させること。そのためなら沼田はくれてやってもいいと思っておられた」
「すんなり北条に沼田を渡してもよかったが、それでは真田の立場がないと思った。安房守殿、ここは折れてくれぬか」
これが政治なんですね。
必ずしも正論が勝つわけではない。
現在の調停者は、国際司法裁判所なんだろうけど、ここってどうなんだろう? 十分に機能してるようには思えない。
そして、外交・調停による解決が決裂した時はどうなるか?
戦争だ。
北条の板部岡江雪斎(山西惇)は信繁に言った。
「こうして我らがやり合うことで、まことのいくさをせずに済む」
外交官や文吏は何とか戦争を回避しようとするんですよね。
三成もそうだった。
しかし、権力者は違う。
自分の力を過信し、暴力による解決の道を選ぶ。
屈従に甘んじず、自分の力を誇示したいと考える。
この北条氏政の心象は、太平洋戦争を始めた政治家たちに似てるなぁ。
秀吉も、一声かければ全国の大名が動き出すという自分の力を誇示したかったみたい。
権力者というのは本当に愚かです。
大きな力を持っていると、使いたくなるのが心情で、これが権力者を狂わせる。
今回のエピソードは極めて政治学的でしたね。
今までの大河ドラマの〝なんちゃって政治〟とはひと味違う。
個々のエピソードでは、
家康(内野聖陽)は、北条が共に戦おうと言ってきた時、複雑だったでしょうね。
「しまいじゃな、北条は」
だから、あれほど上洛しろ、と言ったじゃないか、と氏政に対して思ったに違いない。
信幸(大泉洋)と本多忠勝(藤岡弘、)のやりとりも面白かった。
「ここは真田の軍議の場でござる!あなた様は徳川のご家来、すみやかにお戻り願いたい」
「婿殿、よう言うた! ワハハハハ!」
このふたり、いいコンビになりそうです(笑)
現在の日本に限ってみても、
・尖閣諸島
・竹島
・北方四島
この文脈で、今回の<沼田裁定>を見てみるのもいいかもしれない。
まずは外交と調停。
秀吉(小日向文世)が調停者になって、真田と北条の言い分を聞く。
証人は徳川。
やりとりの中で、どさくさに紛れて「だまし取った」「かすめ取った」という言葉が出てきたが、これは現在の領土問題も同じ。
北方四島なんかは日本の敗戦のどさくさに紛れてソ連が取りましたしね。
争う両者の言い分は、所有の正当性の根拠をどこに置くかによっても違ってくる。
<沼田裁定>の場合は、歴史の事実や徳川が北条、真田に与えた起請文。
尖閣諸島に関しては、中国は明治以前の所有を持ち出し、日本は明治以降の事実や条約を根拠にしている。
このように領土問題というのは、それぞれの言い分を言い合うだけで、永遠に解決しないんですね。
言葉による解決には限界があり、秀吉のような強力な権力者によって決められるしかない。
しかし、この強力な権力者による裁定も政治的な思惑が働く。
秀吉の場合は、北条氏政(高嶋政伸)を上洛させることだ。
三成(山本耕史)は昌幸(草刈正雄)と信繁(堺雅人)に言う。
「殿下にとって何より大事なのは北条を上洛させること。そのためなら沼田はくれてやってもいいと思っておられた」
「すんなり北条に沼田を渡してもよかったが、それでは真田の立場がないと思った。安房守殿、ここは折れてくれぬか」
これが政治なんですね。
必ずしも正論が勝つわけではない。
現在の調停者は、国際司法裁判所なんだろうけど、ここってどうなんだろう? 十分に機能してるようには思えない。
そして、外交・調停による解決が決裂した時はどうなるか?
戦争だ。
北条の板部岡江雪斎(山西惇)は信繁に言った。
「こうして我らがやり合うことで、まことのいくさをせずに済む」
外交官や文吏は何とか戦争を回避しようとするんですよね。
三成もそうだった。
しかし、権力者は違う。
自分の力を過信し、暴力による解決の道を選ぶ。
屈従に甘んじず、自分の力を誇示したいと考える。
この北条氏政の心象は、太平洋戦争を始めた政治家たちに似てるなぁ。
秀吉も、一声かければ全国の大名が動き出すという自分の力を誇示したかったみたい。
権力者というのは本当に愚かです。
大きな力を持っていると、使いたくなるのが心情で、これが権力者を狂わせる。
今回のエピソードは極めて政治学的でしたね。
今までの大河ドラマの〝なんちゃって政治〟とはひと味違う。
個々のエピソードでは、
家康(内野聖陽)は、北条が共に戦おうと言ってきた時、複雑だったでしょうね。
「しまいじゃな、北条は」
だから、あれほど上洛しろ、と言ったじゃないか、と氏政に対して思ったに違いない。
信幸(大泉洋)と本多忠勝(藤岡弘、)のやりとりも面白かった。
「ここは真田の軍議の場でござる!あなた様は徳川のご家来、すみやかにお戻り願いたい」
「婿殿、よう言うた! ワハハハハ!」
このふたり、いいコンビになりそうです(笑)