平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

おんな城主直虎 第27回~「おとわが気賀を獲ったぞ」 「ここに根を張ることに決めたんで」

2017年07月10日 | 大河ドラマ・時代劇
「おとわが気賀を獲ったぞ」

 政次(高橋一生)は嬉しかったんでしょうね。
 直親(三浦春馬)とそれを分かち合いたかった。

 さて、その気賀獲りだが、〝武力〟を使わず、〝交渉〟と〝政治力〟で獲ってしまった!
 これが、この作品の特徴なんですね。
 領地や城は武力で獲るばかりじゃない、知恵を使っても獲ることができる。

 これは『真田丸』など、今までの大河とは違うモチーフ。
 ………………

 この気賀獲りは、龍雲丸(柳楽優弥)が心の奥底に秘めた願望の実現でもあった。

 子供時代の悲惨から城を憎んでいた龍雲丸。
 だから彼はひとつの土地に定着しない自由を求めた。
「これから先は誰にも縛られず、おのれの心のままに生きようと思ったんでさぁ」

 うん、こういう生き方、僕は好きだなぁ。
 一方で、龍雲丸は自分の現状をこんなふうに嘆く。
「けど、気がついたら仲間に縛られ、町に縛られ、ざまぁねえんでさぁ」

 そう〝何かを持つ〟ということは〝縛られる〟ということ。
 徳川家康も言っている。
「人生は重き荷を負うて遠き道を行くがごとし」

 一方、こんなふうに嘆く龍雲丸に対し、直虎(柴崎コウ)は言う。
「かしらは、奪われてきたものを取り戻したいと望んでおったのではないのか?」
 直虎は見抜いていたのだ。
 龍雲丸が、心の奥底で居場所や仲間を求めていたことを。

 龍雲丸の心に刺さった、こんな直虎の言葉もあった。
「そなたが心の奥底で望んでおる土地など、この日の本のどこにもないぞ!
 おのれが作り出さねば誰も与えてなどくれぬ!」
 だから、龍雲丸は城を造り、気賀を自分の望んでいる土地に使用とした。

 こうして自分の願いを実現することができた龍雲丸。

 上手い作劇ですね。
・直虎の気賀獲り
・政次の喜び
・龍雲丸の夢の実現
 この3つが見事に結びついている。

 次のような直虎と龍雲丸のやりとりも、いいなぁ、と思ってしまう。
 心の奥底で望んでいることを的確に表現してしまう直虎に対し、龍雲丸は言う。
「尼小僧様はいつも俺の考えつかぬことを言う」
 これに対して直虎も、
「お互い様じゃ」
 ふたりは結構、いいコンビですね。
 政次との関係と同じように、ふたりは深いところで理解し合っている。
 ………………

 井伊の小さな領地の中での〝国づくり〟と〝家臣たち〟の物語。
 俯瞰ではなく、ミクロの世界で戦国時代を描いていく。
 これが、この作品のコンセプト。
 スケールは大きくないが、こういう大河ドラマがあってもいい。

コメント (2)
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