「井伊と気賀、こちらは今以上の安堵は望みませぬ。
われらの望むことは喜びに満ちた日々。
井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」
直虎(柴咲コウ)は〝非拡大主義〟なんですね。
野心だらけの戦国大名としてはめずらしい。
というか、大名ではない、地方の国衆としては当然の発想か。
〝非戦主義〟でもある。
いくさになったら、城を明け渡し、兵を通過させるが、井伊が兵を出すことはしない。
あとは外交で何とか独立を保っていく。
これはひとつの政治スタンスであるけれど、生き馬の目を抜く戦国時代で果たして通用するのか?
ただ、作品の狙いとしては面白い。
今までの大河ドラマで、こんな発想をする主人公はいなかった。
冒頭に引用した直虎のせりふも、前半じっくり井伊の領地とその領民たちを描いてきたから、浮ついておらず説得力がある。
このせりふを言わせるために前半があったと言ってもいいだろう。
……………………
しの(貫地谷しほり)が人質として嫁ぐ理由には、直親(三浦春馬)の思いもあったんですね。
直親は徳川を味方にしようとして失敗し、殺された。
自分もその遺志を継ぎ、徳川を味方にするために尽力したい。
人質になる理由が、
「母は虎松に力強い味方をつくってやりたいのです!」
だけではなかった。
しのの人物像に厚みが出ましたね。
これも前半をしっかり描いてきたからなせること。
虎松(寺田心)は子供の頃の直虎に似ているようだ。
「答えはひとつではない」
「無理難題に対して、どうしたらいいかを必死に考える」
虎松の発想は、おとわとそっくりだ。
南渓和尚が笑みを浮かべて語ったように「因果、因果」。
DNAはしっかり受け継がれている。
というわけで、今回は前半の伏線が回収されて、さまざまなドラマに結実したように思いました。
思いは受け継がれていく。
直虎や、しのの言葉も、きっと虎松の心に刻まれている。
「われらの望むことは喜びに満ちた日々。
井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」
なんて言葉も虎松はどう受け継ぐんだろう。
最後は、もう一度、しの。
虎松の奮闘が挫折することに対して、こう語った。
「それもまた修行になりましょう」
立派な母親ですね。
こんな見事な母親だから直虎は「母親でなく父親になる」と言ったのだろう。
われらの望むことは喜びに満ちた日々。
井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」
直虎(柴咲コウ)は〝非拡大主義〟なんですね。
野心だらけの戦国大名としてはめずらしい。
というか、大名ではない、地方の国衆としては当然の発想か。
〝非戦主義〟でもある。
いくさになったら、城を明け渡し、兵を通過させるが、井伊が兵を出すことはしない。
あとは外交で何とか独立を保っていく。
これはひとつの政治スタンスであるけれど、生き馬の目を抜く戦国時代で果たして通用するのか?
ただ、作品の狙いとしては面白い。
今までの大河ドラマで、こんな発想をする主人公はいなかった。
冒頭に引用した直虎のせりふも、前半じっくり井伊の領地とその領民たちを描いてきたから、浮ついておらず説得力がある。
このせりふを言わせるために前半があったと言ってもいいだろう。
……………………
しの(貫地谷しほり)が人質として嫁ぐ理由には、直親(三浦春馬)の思いもあったんですね。
直親は徳川を味方にしようとして失敗し、殺された。
自分もその遺志を継ぎ、徳川を味方にするために尽力したい。
人質になる理由が、
「母は虎松に力強い味方をつくってやりたいのです!」
だけではなかった。
しのの人物像に厚みが出ましたね。
これも前半をしっかり描いてきたからなせること。
虎松(寺田心)は子供の頃の直虎に似ているようだ。
「答えはひとつではない」
「無理難題に対して、どうしたらいいかを必死に考える」
虎松の発想は、おとわとそっくりだ。
南渓和尚が笑みを浮かべて語ったように「因果、因果」。
DNAはしっかり受け継がれている。
というわけで、今回は前半の伏線が回収されて、さまざまなドラマに結実したように思いました。
思いは受け継がれていく。
直虎や、しのの言葉も、きっと虎松の心に刻まれている。
「われらの望むことは喜びに満ちた日々。
井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」
なんて言葉も虎松はどう受け継ぐんだろう。
最後は、もう一度、しの。
虎松の奮闘が挫折することに対して、こう語った。
「それもまた修行になりましょう」
立派な母親ですね。
こんな見事な母親だから直虎は「母親でなく父親になる」と言ったのだろう。