平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

おんな城主直虎 第29回~われらの望むことは喜びに満ちた日々。民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ

2017年07月24日 | 大河ドラマ・時代劇
「井伊と気賀、こちらは今以上の安堵は望みませぬ。
 われらの望むことは喜びに満ちた日々。
 井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」

 直虎(柴咲コウ)は〝非拡大主義〟なんですね。
 野心だらけの戦国大名としてはめずらしい。
 というか、大名ではない、地方の国衆としては当然の発想か。

〝非戦主義〟でもある。
 いくさになったら、城を明け渡し、兵を通過させるが、井伊が兵を出すことはしない。
 あとは外交で何とか独立を保っていく。
 これはひとつの政治スタンスであるけれど、生き馬の目を抜く戦国時代で果たして通用するのか?
 ただ、作品の狙いとしては面白い。
 今までの大河ドラマで、こんな発想をする主人公はいなかった。

 冒頭に引用した直虎のせりふも、前半じっくり井伊の領地とその領民たちを描いてきたから、浮ついておらず説得力がある。
 このせりふを言わせるために前半があったと言ってもいいだろう。
 ……………………

 しの(貫地谷しほり)が人質として嫁ぐ理由には、直親(三浦春馬)の思いもあったんですね。
 直親は徳川を味方にしようとして失敗し、殺された。
 自分もその遺志を継ぎ、徳川を味方にするために尽力したい。
 人質になる理由が、
「母は虎松に力強い味方をつくってやりたいのです!」
 だけではなかった。
 しのの人物像に厚みが出ましたね。
 これも前半をしっかり描いてきたからなせること。

 虎松(寺田心)は子供の頃の直虎に似ているようだ。
「答えはひとつではない」
「無理難題に対して、どうしたらいいかを必死に考える」
 虎松の発想は、おとわとそっくりだ。
 南渓和尚が笑みを浮かべて語ったように「因果、因果」。
 DNAはしっかり受け継がれている。

 というわけで、今回は前半の伏線が回収されて、さまざまなドラマに結実したように思いました。

 思いは受け継がれていく。
 直虎や、しのの言葉も、きっと虎松の心に刻まれている。
「われらの望むことは喜びに満ちた日々。
 井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」
 なんて言葉も虎松はどう受け継ぐんだろう。

 最後は、もう一度、しの。
 虎松の奮闘が挫折することに対して、こう語った。
「それもまた修行になりましょう」
 立派な母親ですね。
 こんな見事な母親だから直虎は「母親でなく父親になる」と言ったのだろう。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする