平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アニメ版「心が叫びたがってるんだ。」~傷ついていいからお前の本当の言葉を聞きたいんだ

2017年07月30日 | コミック・アニメ・特撮
 心を閉じて、しゃべることをやめた成瀬順(CV 水瀬いのり)は声を振り絞って叫ぶ。

「いい加減にしろ! 消えろとかそんな簡単にいうな! 言葉は傷つけるんだから、絶対にもう取り戻せないんだから!」

 言葉は傷つけるんですね、自分もまわりも。
 そして世界を壊してしまう。
 だから、順は〝タマゴの呪いに掛けられた〟と理由をつくってしゃべるのをやめた。
 でも、順の心の中には、しゃべりたいことがいっぱいあった。
 その中のひとつが先程のせりふ。

 そんな順を解放したのが、坂上拓実(CV 内村昴輝)だった。
 拓実は言う、
「歌だったらしゃべれるんじゃない?」
 だから、ミュージカルをやるか否かを決めるホームルームで、田崎大樹(CV 細川佳正)と拓実が言い合いになる時、突然歌い出す。
♪ わた~しはーやれーるよー。不安はーあるけど~、きっと ♪

 順が「口の出したら終わってしまう」とメールで語った時は、
「口に出して言わないとわからない」

 拓実と仁藤菜月(雨宮天)が縒りを戻し、順が失恋し、ふたたび心を閉ざしてしまった時は、
「傷ついていいから、お前の本当の言葉を聞きたいんだ!」
 すると、順の口から次から次へと出てくる拓実と菜月への悪口(笑)
「思わせぶり」「いい格好しい」「あの女はウソつき」「いい子ぶりっこ」(笑)
 順~、こんなことを考えていたのか~~(笑)
 でも、こうやって毒を吐くのも大事だよね。
 そうしないと、自分の中で、どんどん毒がまわってしまう。

 

 言葉は人を傷つける。
 耳を傾けてみれば、周囲には、人を傷つける言葉でいっぱいだ。
 自分が何かを言ったら傷つく言葉も返ってくる。
 だから言葉を封印し、周囲をシャットアウトするのは自分を守るひとつの方法。

 だが一方で、言葉は人を救うこともある。
 順にとっては拓実の言葉がそうだった。
 拓実も順の言葉によって救われていた。
「わたしのお陰? (わたしの)せいじゃない?」
「お前の言葉で、うれしくなったから」

 心の中の言葉をすべて吐き出した時、順が見た世界とは?
 それは、とてもやさしくて美しい世界だったのだと思う。

 さあ、自分の心の中を語ってみよう。
 傷つくこともあるかもしれないが、理解してくれる人もきっと現われる。

 やさしい映画だった。
 ラストのミュージカルの大団円。
 ベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』とミュージカル映画『オズの魔法使い』の『Over The Rainbow』という正反対のものが、こんなに合うとは思わなかった。


コメント
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