平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第12回 「運の強き姫君」~垣間見えた家定の人間性。死なない御台所を求めた家定の〝孤独〟と〝生命への慈しみ〟

2018年03月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回は篤姫(北川景子)エピソード。
 彼女の人としての〝強さ〟と〝弱さ〟を描いた。

〝強さ〟とは、将軍・家定(又吉直樹)のことを聞かされ、幸せな夫婦生活を送れないと聞かされた時のせりふ。

「お父上様。私は不幸になっても構いません。
 お父上のためなら篤は喜んで不幸になります。
 この命、ただ幸せになるためだけにあるのではございません。
 薩摩の姫となった時から覚悟はできておりました。
 お父上の娘になれただけで、篤は幸せでございました」

 武家の娘ですね。
 政治の道具として生きることを厭わない覚悟。
 理性で自分を律する。

 しかし、人間、それだけでは生きていけない。
 弱さもあれば感情もある。
 なので、安政の大地震が起きて吉之助(鈴木亮平)が助けに来た時のせりふ。

「西郷、いっしょに逃げておくれ。
 できるだけ遠くに。
 公方様もお父上様もいない遠か国に。
 このまま私を連れて逃げておくれ」

 篤姫が〝姫〟や〝武家の娘〟を捨てて、ひとりの人間になった瞬間だ。
 これが恋愛感情であるかははっきりしないが、自分に課せられた状況から逃げたかったのは確かだろう。
 篤姫はひとりの人間としての幸せも求めていた。

 人には二面性がある。
・強さと弱さ
・本音と建て前
・社会的な存在と個人
・相反する思いがぶつかり合う葛藤

 その葛藤の末、篤姫が導き出した結論はこうだった。

「改めて礼を申すぞ。
 御台所となるべきこの体を傷ひとつなくよう守ってくれました。
 もう下がってよいぞ、西郷」

 映画『ローマの休日』ですね。
 物語のパターンはすでに出尽くされていると言われているが、今回は『ローマの休日』のパターンを当てはめたのかも?
 別のパターンとしては『ロミオとジュリエット』があるのだが、篤姫はロミオとジュリエットのように個人の思いを貫くことはしなかった。

 こんなふうに定番の物語のパターンに当てはめているので、この作品は見やすいんですよね。
 ……………

 さて、今回示された篤姫のコンセプトは〝死なない御台所〟と〝運の強き姫君〟

 家定が唯一、意思表示した言葉が〝死なない御台所〟だったのは面白い。
 おそらく家定は御台所が死んでしまうことを哀しんでいるのだろう。
 彼の心の奥底には〝愛する人を求める心〟があり〝生命を慈しむ心〟がある。
 彼の本質は孤独とやさしさ。
 家定がやっと人間的な面を見せた。

 そして、そんな家定の内面を引き出すのは篤姫なのだろう。
 ゆっくりと心を通わせていくふたり。
 今後あたたかい夫婦のドラマを見られそうだ。

〝運の強き姫君〟というのも今後の篤姫の重要なコンセプトになりそうだ。
 歴史のさまざまな局面で、篤姫の運の良さが活きてくるのか?
 それと地震で倒れた柱に文字が書かれていたようなんだけど、何が書かれていたんだろう?
 土曜日の再放送で確認してみよう。

コメント (4)
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