平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第18回 「流人 菊池源吾」~薩摩が加害者だったことを知る吉之助 「おいにこの島のことを教えてたもんせ」

2018年05月14日 | 大河ドラマ・時代劇
 吉之助(鈴木亮平)、リセットである。
 価値観が180度変わったと言ってもいい。

 島の娘・とぅま(二階堂ふみ)はサトウキビを作らされ、高い年貢を取り立てる薩摩について語る。

「この島は砂糖の地獄になった」
「蘭癖の殿様のせい」
「殿様が死んだ時は皆で喜んだ」
「私らは民のうちに入らんかったんじゃ」

 とぅまらにとって薩摩は〝加害者〟だったんですね。
 その元凶は〝蘭癖の殿様〟斉彬(渡辺謙)。
 吉之助は共犯者でもある。

 今まで信じていた価値観を否定されて、吉之助は怒り、狼狽するが、最後にこんな結論を得る。

「こん島の砂糖のおかげで薩摩は大藩と呼ばれるようになった」
「おはんらの苦労を何も知らないまま、おいは藩の金を湯水のごとく使っていた」
「おいにこの島のことを教えてたもんせ」

 ………………

 物事には〝光〟と〝陰〟があるんですよね。
 どんなにまぶしい光であっても、その陰では虐げられている人、苦しんでいる人がいる。

 加害者と被害者。
 このことにスポットを当てたこの作品はたいしたものだ。
 ふつうの作品なら〝斉彬素晴らしい〟〝薩摩は正義〟を貫くところ、敢えてそれを否定した。

「おいにこの島のことを教えてたもんせ」
 と言えた吉之助も立派。
 斉彬の言葉を吸収したように、とぅまの言葉もどんどん吸収していくことだろう。
 ひとつの価値観だけに固執するのではなく、もう一方の価値観にも耳を傾ける。
 吉之助はひとまわり大きな人間になっていくに違いない。
 それは敵対し、殺し合いやいくさをおこなう幕末において貴重なこと。

 島の文化も面白い。
〝海神様〟
〝ユタ神様〟
〝ケンムンに惑わされないための手の入れ墨〟
〝自分の発した言葉を神様が信じて、それが現実になる〟
〝労働の際に歌う唄〟

 当初、吉之助はとぅまの手の入れ墨を「罪人か」と嫌うが、それにもしっかりとした意味があることを知る。
 自分の世界がいかに狭く、偏見にみちたものであるかを知る。
 やはり人は旅をし、異文化に触れてみるべきですね。

 吉之助が今回見聞きしたことから現在を見てみると、現在もヤマトンチュは沖縄を虐げていませんかね?
 基地問題で翁長知事が戦う姿勢をみせると、地方交付金を減らし、首相は芸能人には会うのに翁長知事には会わない。
 警官は基地反対の人々を〝土人〟と呼ぶ。
 太平洋戦争では本土を守るために沖縄が犠牲にされた。

「おいにこの島のことを教えてたもんせ」
 人は知らないことの方が多い。
 吉之助のように素直に学ぶ姿勢を持とうと自戒する。

コメント (6)
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