平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第3回 「冒険世界」~走りたいから走る! 楽しいから走る! 経済とかお国のためでなく、ただひたすら無意味なバカをする自由!

2019年01月21日 | 大河ドラマ・時代劇
 四三(中村勘九郎)がマラソンと出会った!

 東京が居心地悪くて、夏休み、熊本に帰っても、どこか居場所がない四三。
 畑仕事をやっても手の皮がむけてしまう。
 スヤ(綾瀬はるか)は女学校を卒業したら見合いをするらしい。
 世界がギクシャクして調和していない。
 そんな中、東京に帰って見たのが、全国学生競技大会だった。
 ここで若者たちは、ただ走ることに興じている。
 これに四三は自分を見出した。
 ……………

 走ることが〝功利目的〟でない所が面白い。
 四三にとって、走ることは今まで〝移動手段〟だった。
 寮の舎監の永井道明(杉本哲太)にとっては、おそらく〝体を鍛えること〟。
 だが、浅草では、それとはまったく違う価値観で走る連中がいた。
 天狗倶楽部。
 彼らは、ただ〝走りたいから〟〝楽しいから〟走っている。

 劇中、天狗倶楽部の紹介があったが、彼らの行動はハチャメチャだなあ。
 1日に野球の試合を5試合する!ww
 どんな障害物があっても、ただひたすらまっすぐに走る!ww
 その後は酒盛りでどんちゃん騒ぎ!

 彼らの行動は〝富国強兵〟で国がひとつの方向に向かっている堅苦しい明治の世を否定するものだったのだろう。
 そこに経済活動とかお国のためという意識はなく、ただひたすら無意味なバカをする。
 バカをやることが目的。
 ナンセンスであることの自由。

 おそらく脚本・宮藤官九郎は天狗倶楽部に共感しているんだろうな。
 富国強兵の堅苦しい世の中なんか大嫌い。

 それは2019年の現代批判にも通じていて、明治が大好きなアベシンゾーが推し進める『世界の中心で輝く国』『強い国』へのアンチテーゼでもある。
「中国に負けない経済大国になりましょう」「世界に軍隊を派遣して尊敬される国になりましょう」
「生産性のない人間に価値はない」「経済の役に立たない研究はやめよう」「一億総活躍」
 これらのスローガンは結構、息苦しい。
 すべては経団連や戦前回帰の日本会議などの思うがまま。
 どうして、あんたたちに自分の生き方を決められなくてはならないんだ? 大きなお世話!

 2020年の東京オリンピックを目指すアスリートたちがよく口にする言葉もどうなんだろう?
「日の丸のために」「日の丸を背負って」
「感謝の気持ちを伝えたい」
「みんなに元気を与えたい」
 天狗倶楽部のメンバーが聞いたら、「あんたたち、それで楽しいの?」と言われそう。

 とは言え、
 いずれ四三も「日の丸を背負って」走ることになるから、走ることが楽しくなくなるんだろうな。
 ……………

 浅草は〝自由な出会いの街〟として描かれているようだ。

 ここで四三はマラソンに出会い、
 美濃部孝蔵(森山未來)は落語に出会い、
 美川秀信(勝地涼)は小梅(橋本愛)に出会った。

 三島和歌子(白石加代子)は映画『不如帰』を見て杖の剣を抜いて怒り出すし、ともかく活気のある楽しい街。
 面白いやつらがいっぱいいる。
 そう言えば、現代にはこういう街が少なくなったね。

コメント (2)
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