平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒17 「10億分の1」 ~ネット社会のプラスとマイナス。ネットは10億分の1の出会いをもたらすが、一方で……

2019年01月31日 | 推理・サスペンスドラマ
〈フリマアプリ〉を使った犯罪。
 よく思いついたなあ。
 詳細はこうだ。

① 形見などの宝石を出品する。価格は50万円。
② しかし、宝石はフェイクで、宝石箱の下にはコインロッカーの鍵がある。
③ コインロッカーには拳銃が置いてある。
 つまり売り手と買い手は〈フリマアプリ〉を介して拳銃の売買をしていたというわけだ。

 しかし、これには欠点・リスクがある。

 ひとつは、コインロッカーの使用期限があること。
 期限までにロッカーの鍵が届かないと、コインロッカーを開けられ拳銃が見つかってしまう。

 ふたつめは出品者がいつも同じ人物だと怪しまれる(=一般人が宝石をたくさん持っているのはおかしい)から、出品者が複数いなければならないこと。
 結果、拳銃ブローカーは、この犯罪に手を染めてくれる人間をスカウトしなければならない。
 報酬は売り上げの10%だが、スカウトした人間の中には、ビビッたり、罪悪感にとらわれたりする人間が現れる。

 今回もこのことで犯行が発覚した。
 どんなに緻密な犯罪にも、どこか落とし穴がある。
 …………

 今作のテーマは〈ネット社会の人の繋がり〉だった。

・ひとりで子供を抱えて仕事に追われている中野絢子(大和田美帆)。
・リストラされネットカフェで生活している橋本美由紀(大路恵美)。

 このふたりが〈フリマアプリ〉で繋がった。
 商品売買のやりとりをしているうちに世間話が始まり、会うようになったのだ。

 しかし、これにはマイナス面もあった。
 ひとつは、上記の拳銃売買の犯罪に勧誘してしまったこと。
 ふたつめは、フリマアプリでの〈評価〉や〈イイネ!の数〉で差がつき、嫉妬が生まれてしまったこと。

 物事にはプラスとマイナスがあるのだ。
 インターネットは人と人を繋ぐが、同時に犯罪に使われたり、嫉妬、怒り、憎しみを生んだりする。

 今回のエピソードは、これを上手く描いていましたね。
 人物の描写も丁寧でしたし、ひさしぶりの秀作。

 サブタイトルは「10億分の1」
 事件に使われたフリマアプリの登録者数が10億人だから10億なのだが、
 ラストの回想で、絢子と美由紀が、
「わたしたちの出会いは10億分の1なのよね」
 と語り合うシーンがロマンチックで詩的。

 日常に追われ、世界が灰色だった彼女らにとって、この〈10億分の1の出会い〉はキラキラ輝くものだったのだろう。
 なのに、それが悲劇に。
 人生が詩的になる瞬間を大事にしたいですね。

コメント
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