光秀(長谷川博己)、信長(染谷将太)に平蜘蛛を渡したのか。
光秀はまだ信長を信じていた。
渡したのは、平蜘蛛に託されたメッセージを伝えたかったから。
・誇り高いリーダーであってほしい。
・志高きリーダーであってほしい。
・心美しきリーダーであってほしい。
しかし、信長は平蜘蛛をカネに替えるという。
光秀が平蜘蛛を通して伝えたかったメッセージは否定されたのだ。
信長はもはや光秀の直言に耳を貸さない。
誇り高く、志高く、心美しいリーダーになれない。
そして光秀は正親町天皇(坂東玉三郎)に会う。
帝は月にある木の花を独り占めして罰せられた『桂男』のエピソードをひいて
「月は遠くから見るのがいい」
「数多の武士が月に駆け上ろうとしたが、下界に帰って来る者はなかった」
「信長はどうか?」
「信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ」
上手いですね、
この『平蜘蛛』から『桂男』までの展開。
『平蜘蛛』『桂男』を使って、光秀の信長への思いを的確に語っている。
『平蜘蛛』散文的で、『桂男』は詩情豊か。
これらを直訳すれば、
「信長は驕りたかぶり、もう駄目かもしれない」
になるのだが、ストレートに語ったら実に味気ない。
坂東玉三郎さんの帝も素晴らしく、詩情をさらに豊かにしている。
…………
秀吉(佐々木蔵之介)はダークな存在として描かれた。
何とミスをした父親違いの弟を殺してしまったのだ。
この弟シンゴロウは架空の人物かな?
その殺意は家康配下の菊丸(岡村隆史)にも。
ダークな存在の秀吉。
もっとも作家は秀吉を単なるダークな存在として描かなかった。
光秀に「秀吉殿の考える平らかな世とは何か?」と問われて、
秀吉は「昔の私のような貧乏人がおらぬ世です」
秀吉の心の奥底には「地べたを這いつくばるような貧乏な生活」があるのだ。
これが秀吉の原動力になっており、謀略や非情なこともさせる。
なかなか面白い秀吉像だ。
菊丸は光秀に正体を見破られて、
「私は今のここの暮らしがいいのです。お役目を返上したいと考えております」
山をのぼるのをやめた帰蝶(川口春奈)のように菊丸も少し疲れている様子。
やはり何でもないような普通の日常がいいんだよなあ。
別に月にのぼろうとしなくても幸せは至る所にある。
駒(門脇麦)は、嫁がずにいくさに向かう光秀の背中を見送る存在でいたいと語る玉(芦田愛菜)に一言。
「父上のことよりも自分の行く末を考えなさい」
これ、自分の教訓にした駒ならではの言葉かな?
かつては玉同様、光秀の背中を追いかけていた駒。
しかし、今は薬屋として民を救い、別の道を歩んでいる。
秀吉、菊丸、駒、玉──さまざまな人物が細かく愛情を持って描き込まれている。
光秀はまだ信長を信じていた。
渡したのは、平蜘蛛に託されたメッセージを伝えたかったから。
・誇り高いリーダーであってほしい。
・志高きリーダーであってほしい。
・心美しきリーダーであってほしい。
しかし、信長は平蜘蛛をカネに替えるという。
光秀が平蜘蛛を通して伝えたかったメッセージは否定されたのだ。
信長はもはや光秀の直言に耳を貸さない。
誇り高く、志高く、心美しいリーダーになれない。
そして光秀は正親町天皇(坂東玉三郎)に会う。
帝は月にある木の花を独り占めして罰せられた『桂男』のエピソードをひいて
「月は遠くから見るのがいい」
「数多の武士が月に駆け上ろうとしたが、下界に帰って来る者はなかった」
「信長はどうか?」
「信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ」
上手いですね、
この『平蜘蛛』から『桂男』までの展開。
『平蜘蛛』『桂男』を使って、光秀の信長への思いを的確に語っている。
『平蜘蛛』散文的で、『桂男』は詩情豊か。
これらを直訳すれば、
「信長は驕りたかぶり、もう駄目かもしれない」
になるのだが、ストレートに語ったら実に味気ない。
坂東玉三郎さんの帝も素晴らしく、詩情をさらに豊かにしている。
…………
秀吉(佐々木蔵之介)はダークな存在として描かれた。
何とミスをした父親違いの弟を殺してしまったのだ。
この弟シンゴロウは架空の人物かな?
その殺意は家康配下の菊丸(岡村隆史)にも。
ダークな存在の秀吉。
もっとも作家は秀吉を単なるダークな存在として描かなかった。
光秀に「秀吉殿の考える平らかな世とは何か?」と問われて、
秀吉は「昔の私のような貧乏人がおらぬ世です」
秀吉の心の奥底には「地べたを這いつくばるような貧乏な生活」があるのだ。
これが秀吉の原動力になっており、謀略や非情なこともさせる。
なかなか面白い秀吉像だ。
菊丸は光秀に正体を見破られて、
「私は今のここの暮らしがいいのです。お役目を返上したいと考えております」
山をのぼるのをやめた帰蝶(川口春奈)のように菊丸も少し疲れている様子。
やはり何でもないような普通の日常がいいんだよなあ。
別に月にのぼろうとしなくても幸せは至る所にある。
駒(門脇麦)は、嫁がずにいくさに向かう光秀の背中を見送る存在でいたいと語る玉(芦田愛菜)に一言。
「父上のことよりも自分の行く末を考えなさい」
これ、自分の教訓にした駒ならではの言葉かな?
かつては玉同様、光秀の背中を追いかけていた駒。
しかし、今は薬屋として民を救い、別の道を歩んでいる。
秀吉、菊丸、駒、玉──さまざまな人物が細かく愛情を持って描き込まれている。