いくさ神・八幡大菩薩の化身・源義経(菅田将暉)、いよいよ始動である。
木曽義仲(青木崇高)との戦い。
義経は二方面からの攻撃作戦をとる。
義仲から使者が来ると、義仲の現状認識の甘さ(=話し合えば解決する)を理解。
使者の首を斬り、義仲を挑発。
さらに義経の軍が1000人であるというフェイク情報を流した。
これに対する義仲。
義経の『二方面攻撃』『挑発』は見抜いたが、『1000人のフェイク』は見抜けなかった。
結果、敗走。京を棄て近江に逃げる。
義経の方が策において一手多かった。
一手多かった分、勝利に繋がった。
そして、いくさはスピード。
休む間もなく、木曽軍を攻めて義仲を討ち取った。
一ノ谷の戦い。
義経は梶原景時(中村獅童)が立案した山から攻める奇襲作戦を採用しなかった。
そんな作戦は誰でも思いつくからだ。
義経は敢えて手の内を見せて、敵を分断する作戦をとった。
自分の策を否定されて景時は──
「すべてが理にかなっている。これを思いつかなかった自分が腹立たしい」
義経は景時よりも一枚上手だった。
作家は、義経が梶原景時よりも木曽義仲よりもすぐれた軍略家であることを描いた。
上手い作劇ですね。
それは頼朝(大泉洋)への義仲討伐の書状でも。
和田義盛 (横田 栄司)の書状は絵入り。笑
義時(小栗旬)の書状は「細かすぎて何が書いてあるかわからん!」笑
梶原景時の書状は「理路整然としてわかりやすい」
一方、義経の書状は、勝利のみを書いた簡潔なもの。
それは義時たちの書状の前日に届いた。
義経は内容よりもスピードを重視したのだ。
凡人は文章を書くことに時間を費やしてしまう。
ここでも、義経>景時>義時>和田義盛 である。
義経の一ノ谷での策は続く。
後白河法皇(西田敏行)に「和解」の調停をさせて敵を油断させ、自分は知らなかったことにして攻めるという作戦をとった。
いわば、だまし討ちである。
ためらう御家人たちに対して義経は「だまし討ちの何が悪い!?」
後白河法皇も「こういうのは大好きじゃ」
義経が都で休まなかったことといい、ふたりは気が合うようだ。
そして、鵯越(ひよどりごえ)。
馬から降りて戦うことをためらう板東武者たちに義経は──
「いくさに見栄など関係ない!」
敵や味方の常識や予想をはるかに越えた策を次々と打ち出して来る義経。
やはり天才軍略家なんでしょうね。
ただ描かれ方は狂気を帯びている。
快進撃を美化していない。
むしろ作家は義経より敗者の義仲に思い入れがあるようだ。
敗走にあたり義仲は──
「法皇様を連れて行くことは義に反する!」
「お目どおりがかなわなかったのは義仲の不徳の致す所……」
「やるだけのことはやった……」
とまっすぐで清々しい。
義仲の最期の言葉は何だったのだろう?
「唯一の心残りは──」と言った瞬間、矢が頭に刺さった。
…………………………
一方、鎌倉。
上総介広常(佐藤浩市)の殺害が、御家人たちに及ぼした影響は大きかった。
疑心暗鬼、恐怖政治の始まりである。
だから御家人たちの怒りの矛先は首謀者の頼朝でなく景時へ。
時政(坂東彌十郎)は、北条がいつ寝首をかかれるかわからないので鎌倉に帰って来た。
現在、御家人たちと頼朝を繋いでいるのは「恐怖」と「敵の所領を与えられる恩賞」。
昔の素朴な馴れ合いの時代は終わってしまった。
どうなる、鎌倉?
そんな中、政子(小池栄子)は御台所として、御家人たちの調整役になろうとするが、母(宮沢りえ)からは子供を産むのが女の役割と諭される。
ここに女性の役割だけに安住しない、将来の北条政子が垣間見える。
義時も「怒りを向けるべきは梶原殿ではなくて鎌倉殿でしょう!?」と言った。
さまざまな伏線が張られて、北条一族も面白くなって来た。
木曽義仲(青木崇高)との戦い。
義経は二方面からの攻撃作戦をとる。
義仲から使者が来ると、義仲の現状認識の甘さ(=話し合えば解決する)を理解。
使者の首を斬り、義仲を挑発。
さらに義経の軍が1000人であるというフェイク情報を流した。
これに対する義仲。
義経の『二方面攻撃』『挑発』は見抜いたが、『1000人のフェイク』は見抜けなかった。
結果、敗走。京を棄て近江に逃げる。
義経の方が策において一手多かった。
一手多かった分、勝利に繋がった。
そして、いくさはスピード。
休む間もなく、木曽軍を攻めて義仲を討ち取った。
一ノ谷の戦い。
義経は梶原景時(中村獅童)が立案した山から攻める奇襲作戦を採用しなかった。
そんな作戦は誰でも思いつくからだ。
義経は敢えて手の内を見せて、敵を分断する作戦をとった。
自分の策を否定されて景時は──
「すべてが理にかなっている。これを思いつかなかった自分が腹立たしい」
義経は景時よりも一枚上手だった。
作家は、義経が梶原景時よりも木曽義仲よりもすぐれた軍略家であることを描いた。
上手い作劇ですね。
それは頼朝(大泉洋)への義仲討伐の書状でも。
和田義盛 (横田 栄司)の書状は絵入り。笑
義時(小栗旬)の書状は「細かすぎて何が書いてあるかわからん!」笑
梶原景時の書状は「理路整然としてわかりやすい」
一方、義経の書状は、勝利のみを書いた簡潔なもの。
それは義時たちの書状の前日に届いた。
義経は内容よりもスピードを重視したのだ。
凡人は文章を書くことに時間を費やしてしまう。
ここでも、義経>景時>義時>和田義盛 である。
義経の一ノ谷での策は続く。
後白河法皇(西田敏行)に「和解」の調停をさせて敵を油断させ、自分は知らなかったことにして攻めるという作戦をとった。
いわば、だまし討ちである。
ためらう御家人たちに対して義経は「だまし討ちの何が悪い!?」
後白河法皇も「こういうのは大好きじゃ」
義経が都で休まなかったことといい、ふたりは気が合うようだ。
そして、鵯越(ひよどりごえ)。
馬から降りて戦うことをためらう板東武者たちに義経は──
「いくさに見栄など関係ない!」
敵や味方の常識や予想をはるかに越えた策を次々と打ち出して来る義経。
やはり天才軍略家なんでしょうね。
ただ描かれ方は狂気を帯びている。
快進撃を美化していない。
むしろ作家は義経より敗者の義仲に思い入れがあるようだ。
敗走にあたり義仲は──
「法皇様を連れて行くことは義に反する!」
「お目どおりがかなわなかったのは義仲の不徳の致す所……」
「やるだけのことはやった……」
とまっすぐで清々しい。
義仲の最期の言葉は何だったのだろう?
「唯一の心残りは──」と言った瞬間、矢が頭に刺さった。
…………………………
一方、鎌倉。
上総介広常(佐藤浩市)の殺害が、御家人たちに及ぼした影響は大きかった。
疑心暗鬼、恐怖政治の始まりである。
だから御家人たちの怒りの矛先は首謀者の頼朝でなく景時へ。
時政(坂東彌十郎)は、北条がいつ寝首をかかれるかわからないので鎌倉に帰って来た。
現在、御家人たちと頼朝を繋いでいるのは「恐怖」と「敵の所領を与えられる恩賞」。
昔の素朴な馴れ合いの時代は終わってしまった。
どうなる、鎌倉?
そんな中、政子(小池栄子)は御台所として、御家人たちの調整役になろうとするが、母(宮沢りえ)からは子供を産むのが女の役割と諭される。
ここに女性の役割だけに安住しない、将来の北条政子が垣間見える。
義時も「怒りを向けるべきは梶原殿ではなくて鎌倉殿でしょう!?」と言った。
さまざまな伏線が張られて、北条一族も面白くなって来た。
いつもありがとうございます。
>地力をじっくりと貯えて、平家や頼朝や平泉や寺社勢力等と戦う力を養うべきでしたね。
このあたりが政治力なんですよね。
あるいは物事をより大局的に見る戦略家なら、ロギーさんのおっしゃるとおりのことをやっていた。
>息子を人質にした点でも甘い点は大きいですね。
この点については本作「鎌倉殿」では「義」ゆえ、という解釈にしていますよね。
不必要なこだわりは身を滅ぼすもと。
義経のようなこだわりのない臨機応変が生きていく上で大切なんでしょうね。
>頼朝の飴と鞭を使ったやり方ですが、まあ~悪くはないでしょうね
このやり方には、人と人との信頼関係がないんですよね。
現在のプーチンもそんな感じでしょうか。
金の切れ目が縁の切れ目。
弱体化すればたちまち反撃される。
権力闘争とはそういうものだとは思いますが、人生をふり返った時、寂しい気がします。。
報告書に関しては「スピードの義経」「内容の景時」という感じでしょうか。
もっとも景時はいくさの目付役でしたし、おっしゃるとおり戦後の論功行賞を考えると、景時の報告書は正解なんですよね。
北陸宮という錦の御旗と覚明というブレーンがいたから、十分に義仲は飛躍する余地はあったので残念です(しかし、場の勢いと抑えられなかったのが頼朝との差ですかね)
まあ~バカな叔父たちを頼朝に売り飛ばさず息子を人質にした点でも甘い点は大きいですね。
そして、最後の「唯一の心残りは──」は息子の義高の行く末でしょうね。
本当に義仲の方が男らしく源氏の棟梁としての風格と誇り高さを感じます。
それ故に惜しい面がありますね。
逆に頼朝が小者に見えてしまいますが、大泉氏をその為に起用したんでしょうね。
頼朝の飴と鞭を使ったやり方ですが、まあ~悪くはないでしょうね。
尤も外敵がなくなったら、思うようにいかなくなりそうですがね。
尤も坂東武者達は信頼できるかと言われたら、頼朝が乳母の一族と弟たちと知人で事務に長けた下級貴族や景時みたいな腹心の方が頼りになりますからね。
こう考えると権利ばっかり主張する坂東武者達の存在は頼朝にとって苛立つ存在だったんでしょうな。
史実だと景時の報告書が一番喜んでましたが、この頃の義経は頼りにされてますから、勝ったという報告は頼朝には相当嬉しかったんでしょうな。
そして、安心した頼朝は景時の報告で恩賞や今後の展開を組み立てられるのを考えると美味い流れですな。
いつもありがとうございます。
義仲といい、景時といい、今までの源平物とは違う描かれ方ですよね。
景時は「モーツァルトに対するサリエリ」。
実に上手い例えだと思います。
心残りは、おっしゃるとおり義高のことでしょうね。
次回もつらいドラマになりそうです。
こうして義時も政子も頼朝から離れていくのでしょうね。
父・時政は「源氏に取り入ることが生き残る方法だ」と言っていましたが、いずれ見限る時が来るのでしょう。
策謀家頼朝、戦術オタクの義経に比べ、義仲ははるかに「マトモな人」として描かれていました。
洛中での義仲軍の「粗暴」、後白河法皇とのすれ違いも義仲自身に非は無く、どこまでも「義の人」。
>「唯一の心残りは──」と言った瞬間、矢が頭に刺さった。
直後の場面から見ても、義高のことでしょうね。
予告編によれば、次回義高をめぐって義時は辛い立場に立たされそうです。
特に、運命のすべてが三谷氏の手中にある八重さんが巻き込まれるようなことがないか、心配です。
印象的なのは梶原景時の描き方。
義経視点のドラマだと単純な悪役(「忠臣蔵」の吉良上野介みたいな)。
しかし、本作での義経に対する思いは、単なる反感ではなく、義経を認めた上での「複雑な心境」。
ネット上では「モーツァルトに対するサリエリ」と評する声もあるようです。
前回の上総介広常殺害の際も、実行役を命じられながら葛藤が描かれていました。
丁寧に内面を掘り下げてもらって、景時も本望なのではないかと思います。