さまざまな死が描かれた。
刃を前に実朝(柿澤勇人)は抵抗しなかった。
実朝は公暁(寛一郎)の憎しみを受け入れた。
斬られることによって、自分の罪を清算した。
その罪は実朝の意思でおこなわれたことではないのだけれど……。
実朝は生きることが嫌になってしまったのかもしれない。
・頓挫した宋船の夢。
・自らの性。
・鎌倉殿になった経緯。
これらが実朝を絶望に追いやった。
あるいは自らの死を予感していたのかもしれない。
歩き巫女(大竹しのぶ)の言葉が頭の中で響く。
「天命に逆らうな」
ただ、唯一の心残りは千世(加藤小夏)。
死を予感していた実朝は千世に歌を残していた。
『出ていなば
主なき宿となりぬとも
軒端の梅よ
春を忘るな』
源仲章(生田斗真)は死に際して、
「寒い! 寒いんだよー!」
権力欲のかたまりで野心満々の仲章は、この世に未練を残す。
その気持ちを表した言葉が「寒い! 寒いんだよー!」だった。
天命を受け入れた哀しい実朝の死とは対照的だ。
そして公暁。
犯行の動機について、政子(小池栄子)にこう語る。
「知らしめたかったのかもしれません、私の名を。
公暁──私には武士の名前はありませんでした」
無抵抗な実朝を見て、公暁の実朝への憎しみは霧散してしまったのだろう。
結果、残された動機は「武士の名前」がないことだった。
公暁は「武士の名前」を取り戻すべく京で再起を図る。
公暁はまだ生きることを諦めていなかった。
しかし背後に三浦義村(山本耕史)の刃が……!
実朝、仲章、公暁──それぞれに人生があり、さまざまな死があった。
振り返れば『鎌倉殿の13人』は人の死の物語であった。
上総介、義経、頼朝、比企能員、頼家、畠山重忠、和田義盛、時政、実朝──
だから作品は義時の死で終わるのだろう。
……………………………………
義時は完全に闇落ちした。
運慶(相島一之)に「迷いがない顔」になったと言われる。
三浦義村からは「脅えている」と言われる。
義時は権力を維持するために迷いなく何でもする男になってしまった。
一方で誰かが自分を殺すのではないかと脅えている。
だから政子の威光にも頼った。
「頼朝様のご威光を示せるのはあなただけだ」
一方、こんな自分になってしまった愚痴、怒りも吐露。
「あなたは何をしたのです!?」
義時は、政子が汚いことに手を染めて来なかったことに怒りをぶつけた。
義時は孤独である。
絶対的な権力者になったのに不安でもある。
運慶はどんな義時の仏像を彫るのだろう?
刃を前に実朝(柿澤勇人)は抵抗しなかった。
実朝は公暁(寛一郎)の憎しみを受け入れた。
斬られることによって、自分の罪を清算した。
その罪は実朝の意思でおこなわれたことではないのだけれど……。
実朝は生きることが嫌になってしまったのかもしれない。
・頓挫した宋船の夢。
・自らの性。
・鎌倉殿になった経緯。
これらが実朝を絶望に追いやった。
あるいは自らの死を予感していたのかもしれない。
歩き巫女(大竹しのぶ)の言葉が頭の中で響く。
「天命に逆らうな」
ただ、唯一の心残りは千世(加藤小夏)。
死を予感していた実朝は千世に歌を残していた。
『出ていなば
主なき宿となりぬとも
軒端の梅よ
春を忘るな』
源仲章(生田斗真)は死に際して、
「寒い! 寒いんだよー!」
権力欲のかたまりで野心満々の仲章は、この世に未練を残す。
その気持ちを表した言葉が「寒い! 寒いんだよー!」だった。
天命を受け入れた哀しい実朝の死とは対照的だ。
そして公暁。
犯行の動機について、政子(小池栄子)にこう語る。
「知らしめたかったのかもしれません、私の名を。
公暁──私には武士の名前はありませんでした」
無抵抗な実朝を見て、公暁の実朝への憎しみは霧散してしまったのだろう。
結果、残された動機は「武士の名前」がないことだった。
公暁は「武士の名前」を取り戻すべく京で再起を図る。
公暁はまだ生きることを諦めていなかった。
しかし背後に三浦義村(山本耕史)の刃が……!
実朝、仲章、公暁──それぞれに人生があり、さまざまな死があった。
振り返れば『鎌倉殿の13人』は人の死の物語であった。
上総介、義経、頼朝、比企能員、頼家、畠山重忠、和田義盛、時政、実朝──
だから作品は義時の死で終わるのだろう。
……………………………………
義時は完全に闇落ちした。
運慶(相島一之)に「迷いがない顔」になったと言われる。
三浦義村からは「脅えている」と言われる。
義時は権力を維持するために迷いなく何でもする男になってしまった。
一方で誰かが自分を殺すのではないかと脅えている。
だから政子の威光にも頼った。
「頼朝様のご威光を示せるのはあなただけだ」
一方、こんな自分になってしまった愚痴、怒りも吐露。
「あなたは何をしたのです!?」
義時は、政子が汚いことに手を染めて来なかったことに怒りをぶつけた。
義時は孤独である。
絶対的な権力者になったのに不安でもある。
運慶はどんな義時の仏像を彫るのだろう?
週跨ぎまでして90分スペシャルの割には、たいしたことなかったですね。
公暁と政子が会う? 有り得ないでしょう。
ドラマだからと言って何でも有りは如何なものか?
先週の実朝と公暁が会うのも尺の無駄遣いでした。
でも、このドラマがすごいのは「先が気になる作り」になっていることです。
新聞小説よりも上手い!です。
三浦義村を山本耕史さんに演じさせたのも流石です。
小栗旬さんは闇落ちして以来、力み過ぎな感じがして
2人が対峙する場面は好対照ですね。
毎週、同じことを言って恐縮ですが、のえさんの品の無さは格別です
抱き付かれたら鳥肌が立ちそう・・・とは言え「八重や比奈」と比較する発言はNGでしょうね。
いかにも、のえが夫を殺害するフラグに見えますが
義時殺害の真犯人は誰か・・・政子か泰時じゃないかなぁと推測しています。
来週あたりから、承久の変の前振りでしょうか?
最終回まで楽しみですね。
本作内では「ラッキーマン」と言う代わりにこの言葉がありました。
そう言えば、頼朝もかなりの「ラッキーマン」でしたね。
実朝、泰時ら「キルヒアイス的」な善良キャラたちにも彼らなりの思いが無論あるわけですが、前回までの「義時視点」はそのすべてを「甘い!」と切り捨てるだけの迫力をもった、権力闘争についての現実認識に裏付けられてたと思います。
しかし今回からは少し雰囲気が変わり、私も「義時視点」について行きにくくなってきました。
それは、義時の言動に「横暴感」が伴うようになり、周囲の人間に無用の反感を植え付けかねなくなっている点です。
「誰かが自分を殺すのではないかと脅えている」にもかかわらず、です。
キルヒアイス的「白さ」に照らしてのいわば「道徳的」な批判以前に、マキャベリズム的に見ても賢明さを失ってきているように見えます。その典型が
「八重も、比奈も、もう少しできたおなごだったが……」
この台詞は予告編にも出てきていたので、その時は義時の独白であり、遅まきながら義時ものえの実像を認めるに至ったのか、と思っていました。
たしかに、この台詞は「命題」としては「真」だと思います。
以前、「時政:りく=義時:のえ」か、と書きましたが、
りくには本物の公家娘としての気品はあり、彼女の「悪女」としての策謀は、底が深いとは言えないまでも「公家レベルの標準」には達していました。
これに対して、のえには「品がなく」、野心だけはあっても、本物の京男源仲章にかかっては簡単に手玉に取られるほどに「愚か」。
しかし、まさか義時がこの台詞を直接のえにぶつけるとは思ってもいませんでした。
ネット上では、毒殺されても仕方が無い、との声もあるようです。
のえに憤懣をぶつけるのであれば、せめてもう一声、
「お前が余計なことをしゃべったために、私は破滅しかけたのだ」
くらいでしょう。
のえに殺されることになるのかどうかはまだ分かりませんが、義時もかなり「焼きが回って」きたように思いました。
史実の大枠は変わらないので、上皇陣営とのラスボス戦(承久の乱)には勝つでしょうが、「天に守られる」のもそこまででしょうか。
いつもありがとうございます。
>公暁と政子が会う
憎しみが霧散したことと「私には武士の名前がなかった」と言わせるための政子と会ったのでしょうが、唐突感は否めませんよね。
なぜならそれまで政子と公暁の交流がほとんど描かれて来なかったですから。
実朝と公暁のシーン、政子と公暁のシーン。
おっしゃるとおり、無ければドラマの流れとしてスッキリするのですが、このスッキリしないモヤモヤに作家の意思があるような気もしています。
それは、のえについても言えて、megumiさんが予想されているように、義時の死に関わるのは、のえなんでしょうね。
義村は難しい役ですよね。
野心家であり、策略家であり、義時の友であり、敵であり、生き残るために必死であり──実に複雑な人物です。
ここで退場するのか、さらにドラマに絡むのか、義村の動きも楽しみです。
いつもありがとうございます。
>「義時視点」について行きにくくなってきました。
運慶が「迷いがなくなった」と評したように、義時は完全に闇落ちしましたよね。
義時の本来の目的は頼朝の遺志を継いで「鎌倉(=武家政権)を守ること」だったのですが、あまりに罪を重ねすぎました。
それが義時を壊してしまったのでしょう。
そんな義時を苦しみから解放するのは「死」のみ。
運慶に「自分の仏像を彫れ」と言ったのは、自分の顔を見たかったのと死に拠る救いを求めていたからかもしれません。
さて運慶はどんな顔の仏像を彫るのか?
「八重も、比奈も、もう少しできたおなごだったが……」
政子にも愚痴めいたことを言っていましたが、義時、余裕がなくなって堪えることができなくなりましたよね。
感情的になり、言わなくてもいいことを言ってしまう。
義時の衰えがそうさせているのでしょう。
りくは確かに公家の気品がありましたよね。
それが、のえとの違いなんですね。
それと、
都に戻ったりくを笑って許した時政と、のえにひどい言葉をぶつける義時。
時政の方が愛情の量が多いんですよね。
だから歳をとってもモテる。
義時も比奈がいた頃はマトモでしたが、やはり他者の愛情というのは大切なんですよね。
>それは、のえについても言えて、megumiさんが予想されているように、義時の死に関わるのは、のえなんでしょうね。
私は「のえだろう?」と思わせるミスリードであって
義時殺しの真の下手人は、政子か泰時だと思っています。
泰時に父殺しは酷なので、やはり政子かなぁ?と。
SP座談会でも、小池栄子さんが最も反応していましたし・・・。
三谷さんが「伊賀の変」をが重視するなら、のえ説ですが、さてどうでしょうね。
失礼しました。
僕は「のえ説」です。
義時の死は「政治的な理由」よりも「私怨」の方が合っている気がするんですよね。
政治的な対応は完ぺきだったが、思わぬ落とし穴があった、みたいな不条理な死。
実際、義時は女性の心がわからない人物として描かれていましたし。
いずれにしても最終回の答え合わせが楽しみですね!