平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

過保護のカホコ~〝愛情の貯金〟がいっぱいの加穂子が現実に触れた時、世界は光り輝く

2017年07月13日 | ホームドラマ
 加穂子(高畑充希)はずっと現実に触れずに生きてきた。
 現実に触れそうになると、母・泉(黒木瞳)がそれを見せないようにするのだ。
 理由は、加穂子に挫折を味合わせたくないから。
 就職できないという挫折も、「だったら花嫁修業をすればいい」と方向転換してなかったことにしようとする。

 そんな香穂子の閉ざされたドアをたたく者が現われた。
 同じ大学の麦野初(竹内涼真)だ。
 彼は半ばキレて問いかける。
「お前のような過保護な人間が日本をダメにする!」
「そもそもお前は何のために働くんだ?」
「お前はいつ親から自立するんだ?」
「お前はいつまでも竜宮城にいて、子供のままでいたんだよ!」

 ドアを叩かれて、加穂子は考え始める。
「過保護って何?」
「自立って何?」
「わたしは就職活動をしているけど、何のために働くの?」
 ………………

 面白い設定ですね。
 脚本の遊川和彦さんって〝社会派〟の脚本家さんだと僕は思っているんですけど、今、なぜ遊川さんは〝過保護〟を描こうと思ったのか?
 高畑充希×遊川和彦のコラボが、どのような相乗効果を生むのか、も楽しみ。
 父・正高(時任三郎)のツッコミが入りつつのナレーションも面白い。
 竹内涼真さんは役者としてどんどん上手くなっている感じですね。
 朝ドラ『ひよっこ』の島谷さんとは雰囲気が大きく違う。
 かたや真面目で誠実な大学生、かたや少し屈折した大学生で、役柄を見事に演じ分けている。
 ………………

 さて、加穂子。
 彼女には、ふたつの良い点がある。

 ひとつは、こうと決めたら、とことんやり抜くこと。
 ティッシュ配りもピザの配達も、疲れることも疑うこともせずに一生懸命やる。
 心の奥底で、「何のために働くのか?」もずっと考え続けている。

 ふたつめの良い点は〝愛情の貯金〟がいっぱいあること。
 両親や親戚に愛され続けてきた加穂子の心の中には、愛情がたくさん貯まっている。
 普通の人の愛情残高が10万円なら、加穂子の場合は100万円。
 そんなたくさん詰まった愛情が外に向かって吐き出される時、世界は光り輝く。
 現に今回、麦野は加穂子に浄化され、絵描きとして生きる決心を新たにした。

 何のために働くか、という問いに、人を幸せにするために働く、という答えを見出した加穂子。
 加穂子は現実世界で何を見て、何を感じ、まわりにどんな影響を与えていくのだろう?


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