平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 「白い声」

2008年03月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 急性新機能不全として警察に処理された娘の死に異を唱える父親。
 父親は娘はストーカーにつきまとわれていたと言う。
 右京(水谷豊)たちは捜査を行い、娘の倒れていた部屋でシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)の痕跡をみつける。
 殺人事件だ。
 だが警察の動きは悪い。
 殺人事件を見逃したとなれば警察の汚点になるからだ。
 警察はあくまで自然死で事件を片づけようとする。

 以上が事件の概要。
 
 娘のブログで気に入っているオレンジジュースのこと。
 通勤で使うバスのこと。
 同様の心不全で死んだ大学教授がいたこと。
 犯人しか知り得ない事実。
 これらから犯人が判明するがドラマはさらに深く描かれる。

 それは娘が自然死で片づけられたことに関するドラマ。
 調布東署の担当刑事は言う。
 「国が司法鑑定に出す予算は年間5000人分。監察医制度のない東京23区以外では司法解剖できる人数が限られてくる。これはシステムの不備なのにミスはすべて現場のせいにされる」
 限られた予算で捜査を行わなければならない現場の悲痛な叫びだ。

 これに対して右京。
 「それだからこそ遺体の悲痛な叫びに我々は全身全霊で耳を傾けなければならないのではないでしょうか」

 そしてさらに駄目押し。
 娘の父親は自分も青酸ソーダを飲んで自殺した。
 娘の死を担当した刑事に手紙を送って。
 手紙にはこう書かれていた。
 「警察のミスを証明するために自分は青酸ソーダを飲んで自殺する。自分の死が再び心不全で片づけられれば警察の捜査が間違っていたことになる」
 「殺された娘は悔しい悔しいと言っている」
 「警察は大きいのに力を貸してくれたのはたったふたり(右京と亀山)だった」
 娘が殺されたことを証明するために自殺するのも悲痛だが、手紙の文章も悲痛。

 システムの中で思うような捜査ができない刑事の叫びと娘の死が軽く扱われた父親の叫び。
 このふたつの叫びを描いてドラマは終わる。
 
 通常の刑事ドラマなら犯人が判明して終わり。
 ドラマがあったとしても犯人の狂気などが描かれて終わる。
 ところが「相棒」では、現場の刑事と父親のドラマも。

 毎回書くが、よく練り込まれたシナリオだ。

※追記
 犯人の動機は犯人の幼児性をよく現していた。
 その動機は「相手が自分を受け入れなかったから」「自分の心を踏みにじったから」
 これに対して右京。
 「自らの罪の大きさに恐れおののく日がいずれやってくるのですよ」



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