クリスマスイブ。
機会があって『マッチ売りの少女』を読んだのだが、すごい作品だった。
マッチが売れなくて寒さに凍える少女はマッチを擦る。
その時に見えたのは──炎が真っ赤に燃える真鍮のストーブ。
これで少女の体は温まる。
でもマッチはすぐに消えてしまい、少女は2本目のマッチを擦る。
すると見えたのは──
光でいっぱいの部屋が見えた。
部屋には白いテーブルクロスのかかったテーブルがあって、
豪華な食器の上には大きなガチョウの丸焼きが乗っていた。
そして素敵なことが起こった。
ガチョウが背中にナイフとフォークを刺したままヒョコヒョコと歩いて来たのだ。
少女は思わず笑ってしまった。
少女は温かい部屋の中でお腹いっぱい食べかったんですね。
そしてお腹を抱えて笑いたかった。
マッチを擦って少女が見たものは彼女の願望をあらわしている。
ひとつめは体を温めたい。
ふたつめはお腹いっぱい食べたい。心から笑いたい。
では三つ目の願望は何か?
三本目のマッチを擦って少女が見たものは──
今度はとんでもなく素晴らしいクリスマスツリーが見えた。
それはこの前、窓から見たお金持ちのツリーよりも大きくて飾り付けも豪華なものだった。
ろうそくも何千本もあった。
おそらく少女はお金持ちの家の窓から見た大きなクリスマスツリーをうらやましく思ったのだろう。
少女はクリスマスを楽しみたかった。
普通の子のようにクリスマスツリーを見てワクワクしたかった。
そして4本目のマッチを擦って見たものは──
「おばあちゃん!」
明るい光の中、亡くなった、大好きなおばあちゃんが穏やかな顔で立っていた。
「おばあちゃん、おばあちゃん!」
少女はおばあちゃんがいなくならないようにマッチを何本も擦った。
少女は、亡くなったおばあちゃんを求めていたのだ。
やさしいおばあちゃんがいれば、少女はそれで十分で幸せだった。
でもおばあちゃんは亡くなっていない。
さて、そんな少女は次に何を求めたか?
おばあちゃんは少女を抱きあげると空へのぼっていった。
空はまぶしく光輝いていた。
少女は寒さもひもじさも怖しさもない神様の御許(みもと)に召されたのだ。
少女は死を選んだ。
おばあちゃんのいる天国に行くことを選んだ。
現実があまりにも過酷でつらいからだ。
少女がマッチを擦って見たものは、おそらく幻覚だろう。
少女の死は凍死によるものだろう。
科学的に見ればそういうことだろうが、少女が求めたものを考えると、哀しくせつない。
少女の絶望を想像するとがく然とする。
ラストのオチはこうだ。
翌朝、町の人々は小さな女の子が軒下で凍えて死んでいるのを発見した。
女の子のまわりにはたくさんのマッチの燃えかすがあった。
人々は「マッチで温まろうとしたんだろうね」と語り合った。
町の人々は少女がどんな思いを抱いて死んでいったかを知らない。
実は少女は幸せに包まれて死んでいったのだが、そのことを想像できない。
人は他者の心の中など、ほとんど理解できないのだ。
「マッチで温まろうとしたんだろうね」と表面的に理解しているだけ。
このオチを用意したアンデルセンは実にクールである。
機会があって『マッチ売りの少女』を読んだのだが、すごい作品だった。
マッチが売れなくて寒さに凍える少女はマッチを擦る。
その時に見えたのは──炎が真っ赤に燃える真鍮のストーブ。
これで少女の体は温まる。
でもマッチはすぐに消えてしまい、少女は2本目のマッチを擦る。
すると見えたのは──
光でいっぱいの部屋が見えた。
部屋には白いテーブルクロスのかかったテーブルがあって、
豪華な食器の上には大きなガチョウの丸焼きが乗っていた。
そして素敵なことが起こった。
ガチョウが背中にナイフとフォークを刺したままヒョコヒョコと歩いて来たのだ。
少女は思わず笑ってしまった。
少女は温かい部屋の中でお腹いっぱい食べかったんですね。
そしてお腹を抱えて笑いたかった。
マッチを擦って少女が見たものは彼女の願望をあらわしている。
ひとつめは体を温めたい。
ふたつめはお腹いっぱい食べたい。心から笑いたい。
では三つ目の願望は何か?
三本目のマッチを擦って少女が見たものは──
今度はとんでもなく素晴らしいクリスマスツリーが見えた。
それはこの前、窓から見たお金持ちのツリーよりも大きくて飾り付けも豪華なものだった。
ろうそくも何千本もあった。
おそらく少女はお金持ちの家の窓から見た大きなクリスマスツリーをうらやましく思ったのだろう。
少女はクリスマスを楽しみたかった。
普通の子のようにクリスマスツリーを見てワクワクしたかった。
そして4本目のマッチを擦って見たものは──
「おばあちゃん!」
明るい光の中、亡くなった、大好きなおばあちゃんが穏やかな顔で立っていた。
「おばあちゃん、おばあちゃん!」
少女はおばあちゃんがいなくならないようにマッチを何本も擦った。
少女は、亡くなったおばあちゃんを求めていたのだ。
やさしいおばあちゃんがいれば、少女はそれで十分で幸せだった。
でもおばあちゃんは亡くなっていない。
さて、そんな少女は次に何を求めたか?
おばあちゃんは少女を抱きあげると空へのぼっていった。
空はまぶしく光輝いていた。
少女は寒さもひもじさも怖しさもない神様の御許(みもと)に召されたのだ。
少女は死を選んだ。
おばあちゃんのいる天国に行くことを選んだ。
現実があまりにも過酷でつらいからだ。
少女がマッチを擦って見たものは、おそらく幻覚だろう。
少女の死は凍死によるものだろう。
科学的に見ればそういうことだろうが、少女が求めたものを考えると、哀しくせつない。
少女の絶望を想像するとがく然とする。
ラストのオチはこうだ。
翌朝、町の人々は小さな女の子が軒下で凍えて死んでいるのを発見した。
女の子のまわりにはたくさんのマッチの燃えかすがあった。
人々は「マッチで温まろうとしたんだろうね」と語り合った。
町の人々は少女がどんな思いを抱いて死んでいったかを知らない。
実は少女は幸せに包まれて死んでいったのだが、そのことを想像できない。
人は他者の心の中など、ほとんど理解できないのだ。
「マッチで温まろうとしたんだろうね」と表面的に理解しているだけ。
このオチを用意したアンデルセンは実にクールである。
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