平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

八重の桜 第11回「守護職を討て!」~「にしはもう立派に会津の男だ」

2013年03月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 自分のことが理解されるというのは心地よく、幸せなことである。
 三郎(工藤阿須加)は多くの人に理解されている。
 まずは尚之助(長谷川博己)。
 三郎の佐川官兵衛(中村獅童)の部隊への志願。
 この志願のもうひとつの理由を尚之助は理解した。
 それは<隊士になれば一人前の藩士であり、新式銃の事を上に願い出る事ができる>から。
 そして、こんなやりとり。
「若輩者が上にものを言うのに他にどんな手があんべか? 無茶でもやんねえと道は開けねえ」
「覚馬さんと同じ事を。その事を話せばお父上も手は上げなかったでしょうに」
 こうして、三郎は尚之助に理解された。
 ふたりめの理解者は佐川勘兵衛。
 どうしても入隊したいという十六歳の三郎の思いを高く評価する。
「武士としての覚悟は年長の者にも勝っていた。あといくつか年かさがあればわしの方から願ってでも連れていくところだ」
 三郎にとって最高の賛辞である。
 そして、三人目の理解者は、父・権八(松重豊)。
 まず
「何かを変えるのはたやすい事でねえ。そんじも、それが正しい事なら何度でも何度でも願い出てちっとずつでも変えていく。ずっとそうやってきた。親を見くびんなよ」
 と言って、父親として子を諭し、次に
「だげんじょ、わしも我が子を見くびっていたかもしんねえ。にしはもう立派に会津の男だ」
 と三郎を評価する。
 三郎にとって、こんなうれしい言葉はなかっただろう。

 若者はこんなふうにして教えられ、理解されて成長していく。
 人と人との絆を作っていく。
 そして、人と人との絆は別の絆も作っていく。
「尚之助様、忘れ物です! 三郎の事、ありがとなし」
 三郎のことがきっかけとなって、八重(綾瀬はるか)と尚之助の理解と信頼も深まった。

 一方、理解されない人間もいる。
 佐久間象山(奥田瑛二)だ。
 帝の彦根遷座、これにより象山は暗殺される。
 覚馬(西島秀俊)は「象山先生は国のために働いていたのだ」と憤るが、暗殺者たちにはまったく理解されていない。
 おまけに松代藩に拠る佐久間家とり潰し。
 象山は、自分の藩にも理解されなかった。
 また、その絆は攘夷派ににらまれれば簡単に手のひら返しされてしまうくらいものだった。
 だから覚馬は叫ぶ。
「先生は二度殺された。一度は刺客に、二度目は藩の愚かさに」
 その象山の姿は、尚之助、勘兵衛、父・権八に理解された三郎とは対照的だ。

 理解と絆の会津。
 無理解と殺し合いの京の都。
 こんなふうに歴史は、相反するもののせめぎ合いの中で、動いていくんでしょうね。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 相棒11 「BIRTHDAY... | トップ | ビブリア古書堂の事件手帖 ... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いよいよ転機 (TEPO)
2013-03-18 22:46:05
>理解と絆の会津。
>無理解と殺し合いの京の都。

おっしゃる通り三郎と佐久間象山とを軸にしてみると、二つの世界の相違が際立ってきますね。「なるほど!」です。
特に私にとっては、今回三郎周辺の「理解」の世界が醸し出す「暖かさ」がとても味わい深く感じられました。

しかし、来週はいよいよ「禁門の変」。
前線で火器を指揮する隊長である覚馬は負傷するようです。
こうした形で、これまで意図的に対比されてきた「暖かく」「まったりとした」会津と「冷酷」「激動」の京都という二つの世界の交錯、<相反するもののせめぎ合い>の悲劇がついに幕を開けるのでしょう。

また、いよいよ八重と尚之助との関係にも「縁談」という形での転機が訪れるようです。
たしかに今回までのここ数回で
>八重と尚之助の理解と信頼も深まった
のですが、予告編などによればやはり「超鈍感」「超奥手」の八重は尚之助を「兄として」慕っていたようです。
しかし尚之助の側は、明らかに八重に対して恋愛感情をもっているように見えます。
二人の関係がどう展開するのか、楽しみにしています。
それにしても、八重は可愛いですね。
まあ、綾瀬はるかさんですから、ということでしょうが。

いずれにしても、次回は前半(幕末編)における一つの転機=山場となりそうです。
返信する
転機 (コウジ)
2013-03-19 09:18:50
TEPOさん

いつもありがとうございます。
おっしゃるとおり、いよいよ転機ですね。

まったりの会津と激動の京が、いよいよ交差する。
覚馬が負傷し、会津の人間にも死者が出れば、会津もついに激動の現実を突きつけられるんでしょうね。

八重と尚之助も。
今まで静かな緊張感のあったふたりの距離が一気に近づく。
八重もそろそろ大人の女性になっていい時期ですしね。
どんなドラマが描かれるか楽しみです。

返信する

コメントを投稿

大河ドラマ・時代劇」カテゴリの最新記事