平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

GOLD 野島伸司の挑発

2010年07月23日 | ホームドラマ
 このドラマは視聴者を挑発する。たとえば、第三話の次のせりふを我々はどう考えるか?

 「社会に出たら誰も助けてくれない。たったひとつ、自分の得意なものを見つけなさい。大食いでも何でもいい。他の子よりも得意なものを見つけなさい。それを見つけたら命がけでやりなさい。一番になるために、金メダルを獲るために命がけでやりなさい。適当にやって親のスネをかじって、大学に入って、サークルに合コン、そんなやつは腹が立つだろう?今がチャンスなんだ!草食系の柔なやつなんか食いつぶせ!そして最後の最後に決して弱気になるな!弱気になればすぐに負け犬になる」

 これは真実なんですね。勝っていくための真実。
 僕を含めて、こういう厳しい世界に身をおけない人間が大半だから、世の中は中流生活者がいっぱい。金メダルを獲る様な人間はごくわずか。
 「格差社会をなくせ」などと言っているのは、命がけでやっていない甘えた人間のたわごと。
 もちろん人はスタートラインが違う。金持ちの家に生まれた人間や美男・美女は有利だろう。
 だが「自分は金持ちの家に生まれていないから」「あの人はきれいだから」と言い訳をして自分を甘やかすのはやめろと言っている。

 これは丈治(反町隆史)と悠里(天海祐希)のせりふを借りた脚本・野島伸司のメッセージだ。
 あまりにもメッセージが前面に出過ぎていてドラマとしてはどうかと思うが、野島さんは甘えた現代社会を挑発している。
 「あなたたちはこのメッセージに対してどう考えるのか?」「自分を甘やかすのはやめろ」と。
 野島さんは、これまで悠里をどうとらえているのかわからなかったが、実は肯定的に描いている。
 悠里のせりふを借りた野島さんの挑発は他にもある。
 
 「人間には向き不向きがある。資格と覚悟のない人間に子供を産む必要はない」

 女性が子供を産むことが当たり前だった時代には考えられなかったテーマだ。
 昔の女性は「自分に母性はあるのだろうか」「子育てに向いているんだろうか」なんてことは考えもしなかった。
 生きる選択肢として、子供を産み育てるというものしかなかったから。
 現代はそれだけ自由な時代になったと言えるが、自由であるということは不安でもあるということ。現代人は「自分は子育てに向いているんだろうか」なんてことを考えなくてはならなくなってしまった。
 さて、この悠里のメッセージを我々はどうとらえるか?
 リカ(長澤まさみ)は視聴者目線の登場人物。
 <今までボーッと生きてきた>リカは「寝る前に昼間社長が言ったことをいろいろ考える様になった」と言っていたが、視聴者もリカの様に考えなければならないのだ。

 「GOLD」はドラマとしてはどうかと思うが、視聴者に問いかけ挑発しているという点で評価する。

※追記
 「人の善行の始まりは偽善。人にほめられたい、偉いと言われたいというのが始まり。だがやっていくうちにそれが普通になる。やらないと気持ち悪くなる。それが本当の善になる」
 というのも真実。僕も募金とかする時、「偽善だよな。恥ずかしい」とか思いますし。

※追記
 恒例の悠里とリカのかけ合い漫才議論。
 前回はメロスがメロコになったが、今回は<丸山くん>が<バツ山くん>になった。 



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