平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「君死にたまふことなかれ」 与謝野晶子~終戦記念日にはこの詩を

2021年08月15日 | 
 本日は終戦記念日。
 なので、この詩を。

 君死にたまふことなかれ
  
       旅順口包囲軍の中に在る弟を嘆きて

                  与謝野晶子         
  
 あゝをとうとよ、君を泣く、
 君死にたまふことなかれ、
 末に生れし君なれば
 親のなさけはまさりしも、
 親は刃(やいば)をにぎらせて
 人を殺せとをしへしや、
 人を殺して死ねよとて
 二十四までをそだてしや。

 堺の街のあきびとの
 旧家をほこるあるじにて
 親の名を継ぐ君なれば、
 君死にたまふことなかれ、
 旅順の城はほろぶとも、
 ほろびずとても、何事ぞ、
 君は知らじな、あきびとの
 家のおきてに無かりけり。

 君死にたまふことなかれ、
 すめらみことは、戦ひに
 おほみづからは出でまさね、
 かたみに人の血を流し、
 獣の道に死ねよとは、
 死ぬるを人のほまれとは、
 大みこゝろの深ければ
 もとよりいかで思(おぼ)されむ。

 あゝをとうとよ、戦ひに
 君死にたまふことなかれ、
 すぎにし秋を父ぎみに
 おくれたまへる母ぎみは、
 なげきの中に、いたましく
 わが子を召され、家を守(も)り、
 安しと聞ける大御代も
 母のしら髮はまさりぬる。

 暖簾のかげに伏して泣く
 あえかにわかき新妻を、
 君わするるや、思へるや、
 十月(とつき)も添はでわかれたる
 少女ごころを思ひみよ、
 この世ひとりの君ならで
 あゝまた誰をたのむべき、
 君死にたまふことなかれ。
 …………………………………………

 明治の日露戦争の真っ最中にこの詩を書いたのがすごい。
 特にこの部分。

『君死にたまふことなかれ、
 すめらみことは、戦ひに
 おほみづからは出でまさね、
 かたみに人の血を流し、
 獣の道に死ねよとは、
 死ぬるを人のほまれとは、
 大みこゝろの深ければ
 もとよりいかで思(おぼ)されむ』

 意訳すれば、
『すめらみこと(天皇)は戦場に行かずに、血を流し、修羅の中、戦って死ねと命じる。
 死ぬことは誉れだと説く。
 これが慈悲深い大御心なのだろうか?』

「国家」とは何なんでしょうね?
 昭和の戦争で負けて「大日本帝国」はなくなったが、「日本国」が生まれた。
「国家」って、そんなものじゃないの?
 要は政治体制のことじゃないの?
 戦争末期、戦争指導者が「国体護持」を唱えて国民に徹底抗戦を強いた。
 でも、その「国体護持」って、要は戦争指導者たちの命や身分を守ることじゃないの?
 こんなものにつき合わされて、死ぬのは真っ平だ。
 彼らがもっと早く終戦の決断をしていれば「沖縄戦」も「広島」「長崎」もなかった。

 本日は靖国神社に日本兵のコスプレをした連中が来るのかな?
 大雨だから中止したりして。笑
 まあ、彼らが戦争したがるのは自由だけど、こちらまで巻き込まないでほしいな。
 こっちは普通の生活をしたいだけなんだ。

 この思いは与謝野晶子さんが言いたかったことに通じる。


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6 コメント

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Unknown (象が転んだ)
2021-08-15 16:52:10
与謝野晶子と言えば
”大正の毒女”伊藤野枝を思い出すんですが
今の時代に戦争をしたがる連中は、伊藤野枝みたいに自らに毒を吐く覚悟くらいは最低でも持ってほしいですね。
返信する
薩長は戦争三昧 (半沢)
2021-08-16 02:06:38
コウジさん今晩は
記事の作成お疲れ様です

江戸幕府が終幕し戊辰戦争、そして明治維新と言われる政治改革で薩摩長州が中心
とした新政府が誕生しました。其れから先の大戦まで戦争尽くしの日本国でしたね。
何か話がずれますけど薩長連合が新政府を作ってから戦争に依って国威を発揚して
きただけだと思います。ま、戊辰戦争も会津を滅ぼした訳ですから…
まして靖国参拝に合祀されてるのは其の薩長連合軍の戦没者とA級戦犯…
悍ましい
余談でした 失礼致しました
返信する
コスプレなんかしていないで (コウジ)
2021-08-16 09:42:01
象が転んださん

いつもありがとうございます。

伊藤野枝、平塚らいてう、『青踏』のお姉様方の生き様はすさまじいですよね。

>戦争をしたがる連中は、伊藤野枝みたいに自らに毒を吐く覚悟くらいは最低でも持ってほしい
そうなんですよ。
コスプレなんかしていないで、竹島奪還で戦ったり、尖閣に住んだりしてほしいものです。
まあ、これは冗談ですが、少なくとも韓国の慰安婦象の前で演説するくらいの気概は見せてくれてもいいんですけどね。
それに彼らはなぜ自衛隊に入らないんでしょう。
返信する
安倍晋三と日本会議 (コウジ)
2021-08-16 09:55:08
半沢さん

いつもありがとうございます。

おしゃるとおり、大まかに言えば、明治から1945の敗戦までの日本社会は薩長が作ってきたんですよね。
そして、これまた大まかに言えば、それをふたたび復活させようというのが安倍晋三や日本会議。
少なくとも安倍は自衛隊を軍隊にして世界の紛争に参加させて、日本を栄誉ある気にしたいと考えている。
自分は安全な所にいるし、病気を理由にすぐ逃げるくせに。
ほんと迷惑な輩です。
返信する
コスプレ (2020-08-15 21:07:49)
2021-08-21 20:05:32
コスプレの話ですか・・・

わたしの老父ですが、日本人なら靖国に一度は参拝すべしというのが持論でした。

もう10年くらい前でしょうか、機会があり、靖国に行くことがありましたが、感想を聞いたところ、口が重くなりました。
なんとなくピンときたので
「ヘンな格好をした連中がいたか?」
と聞いたところ
「うん」
と答えて、また一言
「バカにしている。神社も何でああいう連中を取り締まらないんだ」
「神社にとっては、あの連中もお客なんだよ」
「そうか、そうかもしれん。おまえが靖国をよく言わない理由も、なんとなく分かった」

ちなみに、コテコテの自民党支持者です。それでもそう言ってしまうわけですよ。
返信する
異様な空間 (コウジ)
2021-08-22 09:16:41
2020-08-15 21:07:49さん

いつもありがとうございます。

お父様は何らかの形で戦争を経験されていると推察しますが、そういった方なら尚更、違和感をいだいてしまうでしょうね。

僕も8月15日に一度行ったことがあります。
15日の靖国神社は現代の日本ではない、異様な空間になりますね。

コスプレをしている方には、そんなに軍服を着たいのなら自衛隊に入ったらどうか、と言いたくなります。
それで初めて「英霊」の思いを理解できるのではないか、と思います。
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