平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

おんな城主直虎 第36回~「諦めてこそ得られるものがある」 再興をあきらめて、直虎が得たものとは……

2017年09月11日 | 大河ドラマ・時代劇
「諦めなければ負けることはない」
「諦めてこそ得られるものがある」

 矛盾するようだが、いずれも真実である。
 直虎は井伊家再興を諦めた。
 結果、得られたものは────

「教えてもらえますかね、名を」
「おらぁ、あんたのそばにいてぇんですから。
 いいって言ってくれりゃあ、それでいいんですよ」
「死にそびれるのは俺の得意の手なんで、俺はあんたより先に死にませんよ。
 あんたを置いてったりしませんでさね」

 龍雲丸(柳楽優弥)の告白を得た。
 直虎(柴咲コウ)はこれに答えて、
「とわじゃ。
 われはとわと言う」

 次郎法師・井伊直虎から〝とわ〟に変わった瞬間だ。
 直虎は背負っていた重い荷物をやっと下ろした。

 下ろすにあたっては、南渓和尚(小林薫)にこんなふうに泣いて叫んだ。
「役に立てず、ご期待に添えず、
 申し訳ございませんでした!」

 人間、時には重い荷物を下ろす必要があるよね。
 荷物を背負いすぎて潰れてしまったら元も子もない。
 実際、直虎は政次(高橋一生)を失い、領地などすべてを失い、潰れかかっていた。
 おのれの無力や、関わった人間が次々と死んでいく忌まわしさも痛感していただろう。
 荷を下ろして、平凡な生活や個人の幸せを求める姿は大河ドラマの主人公として似つかわしくないのかもしれないが、〝荷を下ろす〟というメッセージには共感するなぁ。

 家のために戦う。
 国のために命をかける。
 大河ドラマでは、こういう人物が多く描かれるが、どこか国家主義的でもある。
 まあ、戦国時代や幕末・明治がそういう価値観の時代だったら当然なのだが、『直虎』はそれをひっくり返した。
 諦めと悔恨の中ではあるが、家や国家に縛られず、それらを捨てて、平凡に生きる人物を初めて描いた。
 その呼び水になった南渓和尚は「すべてを捨てよ」という仏教の教えを説く者だし、龍雲丸は「やりたいようにやればいい」という自由人ですしね。

 とはいえ、時代の大きな流れはそんな個人も巻き込んで押し流してしまうのだけれど。
 土に親しみ、平凡に生きる〝おとわ〟をもう少し見ていたいんだけど、次回はどうなるんだろう?


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5 コメント

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なんで 龍雲丸? (megumi)
2017-09-11 11:28:47
コウジさん おはようございます。

悪い予感が見事に的中して 気分最悪!!!


之の字の台詞は おおかたの視聴者目線でしょう。
なつまでもが シレ~っと「女は忘れるものです」とか言って 何なんだ?と思いました。

昨夜は 視聴放棄宣言をブログに書きましたが
高瀬の伏線張りが回収されそうなので ちょっと気になっています。


返信する
驚きの展開 (TEPO)
2017-09-11 15:55:25
「井伊家最後の日」というサブタイトルでした。
おそらく「直前回避」だと思っていたら本当に井伊家を「解散」してしまったので驚いています。

史実に詳しい方のブログによれば、この時期は虎松が松下家の養子になること以外は「空白」なのだそうです。
常識的には直虎は龍潭寺の尼僧のままでいると考えるのが自然だと思いますが、「龍雲丸と夫婦」というのも驚きです。
たしかに今まで手間をかけて育ててきたキャラではありましたが。
(横レスで恐縮ですがmegumiさんはお怒りになるだろうと思っておりました。)

しかし、「史実の空白」の時期を抜けたとき、架空のキャラである龍雲丸はどうなってしまうのでしょうね。

>「死にそびれるのは俺の得意の手なんで、俺はあんたより先に死にませんよ。あんたを置いてったりしませんでさね」

この「約束」、結局果たされなくなるのではないか、とも思います。
返信する
横レス 失礼します (megumi)
2017-09-11 19:30:21
コウジさん こんばんは。

今後は 菅田将暉さん演じる直政を主役にして物語が展開する方が良さそうですよね。
おとわ的には 昨夜が最終回かと思いました。
このまま 退場して農婦として生きましたとさ。で終わっても違和感は無いです。


TEPOさん  こんばんは。

>この「約束」、結局果たされなくなるのではないか、とも思います。

『天皇の料理番』でも 兄を亡くした篤蔵に俊子が「あなたより長生きします」と言いましたが
果たされることなく・・・でしたもんね。

>お怒りになるだろうと思っておりました。

ハイ! 怒っております。
よりによって 井伊家の聖地の井戸を汚されたようで
かなり気分が悪いですよ。
不真面目に見ているようでも あの井戸には私なりの思い入れがあります。

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三代の物語にすれば (コウジ)
2017-09-11 20:38:35
megumiさん

いつもありがとうございます。

くっついてしまいましたね!
megumiさんや大河ドラマ的にはNGだと思いますが、僕はブログ本文でも書いたとおり、荷物を下ろしてゆったりする日々があってもいいのではないか、と。

恋愛に関しては、おとわにも夫婦生活の幸せを味合わせてあげたいという作家の思いですかね。

戦国時代のダイナミズムを描くのなら、後半1/4を直政の物語にするのはありですよね。
『葵三代』ではありませんが、直親→直虎→直政といった『井伊家三代』の物語にすれば、名作になった気がします。
直虎ひとりで50話の大河ドラマを引っ張るのは、やはり無理がありましたよね。

おっと、今の時点で『直虎』の総括をしてしまいましたが、最終的な評価は全話を見終わった後でしたいと思います。
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龍雲丸は…… (コウジ)
2017-09-11 20:51:09
TEPOさん

いつもありがとうございます。

直虎はなかなか覚醒しませんね。
政次の試練を経て〝たくましい領主〟になるのかと思っていたら、それとは反対の方向に。

これは脚本・森下佳子さんの周到な計算なのか? あるいは龍雲丸に思い入れが生じてしまった結果の迷走なのか?
史料が残されておらず、自由に展開できるというのも、何でもありになってしまい、考えものですね。

龍雲丸は個人的には生き残ってほしいですね。
予告で「堺」という言葉が出てきましたが、堺で船を手に入れて世界を行き来してほしい。
それが龍雲丸らしいですし。
逆に、死んでしまうと、完全にメロドラマになってしまうので、僕もさすがにそれは見たくない。
直親、政次が死に、龍雲丸も死んでしまったら、ほんと暗いドラマになりますし。

さて、森下さんの選択やいかに?
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