平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

麒麟がくる 第15回 「道三、わが父に非ず」~ますますブラック化する帰蝶様! 引退モードの道三は道を誤る!

2020年04月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 き、き、き、帰蝶様ーーーっ!!
 先々週に続き、『ブラック帰蝶様』が見られました!

 信長(染谷将太)と敵対する織田彦五郎の所に行くべきかどうか迷う織田信光(木下ほうか)に帰蝶(川口春奈)は言う。

「良いお話ではありませぬか。打ちにいけばよろしいかと、碁を」
「こちらも手詰まりでございました。
 あちらから誘いがあるのは好都合ではありませぬか。
 叔父上様が心変わりなさるとは誰も思いませぬ。
 お迷いにならず、お行きになればよい。
 碁が終わったと知らせがあれば、殿(信長)も時を移さず参られましょうぞ。
 行ってお打ちになれば、よろず片づくと言うもの」


 帰蝶が言う『打つ』とは『討つ』という意味(笑)
『手詰まり』というのは、おそらく語源は『囲碁・将棋』から?
 上手いせりふですね。
 基本は碁の話で、直接的なこと(=彦五郎を討て)は何も言っていない。
 帰蝶様、いつの間にこんなにブラックになったんだ?
 さすが道三(本木雅弘)の娘!
 …………

 一方、道三。
 完全に引退・隠居モード。
 大きな野心はなく、穏やかな生活を送り、静かに消えていくのを望んでいる様子。
 こんな人生観も光秀(長谷川博己)に披露した。

「道筋などあるか?
 わしはおのれが正しい道を歩んできたとは微塵も思わぬ。
 いくさも勝ったり負けたりじゃ。
 無我夢中で、この世を泳ぎ渡って来た。
 高政もそうする他はあるまい。
 力があれば、うまく生き残れよう。非力であれば道は閉ざされる。
 わしの力でどうこうできるものではない」


 人生は無我夢中で生きていくのみ。
 正解などない。
 勝つ時もあれば負ける時もある。
 失敗もあれば成功もある。
 力があれば生き残れるが、非力なら滅ぶ。

 達観した人生観ですね。
 結果はそんなに重視せず、流れるに任せる。
 ただ日々の行動は無我夢中でやる。

 人生は思ったとおり、計算どおりには行かない。
 今回はまさにそれだった。
・織田彦五郎を討って清須に入場して尾張の実権を握った信長。
 これは道三にとって喜ばしいこと。
 しかし、これが美濃のパワーバランスを崩してしまった。
・劣勢に置かれた高政(伊藤英明)は疑心暗鬼になって逆襲を図る。
 道三の次男・孫四郎、三男・喜平次の暗殺。

「美濃を手に入れた褒美はこれか!?」
 悲痛な叫びをあげる道三!
 道三は高政の負の気持ちは理解していたが、孫四郎・喜平次殺害までは予想していなかった。
 引退して、危機意識が鈍くなったとも言える。

 ああ、面白いな、この一連の展開。
 人生の一歩先は闇。
 特に乱世ならひとつ手を間違えば転落が待っている。
 負の感情とディスコミュニケーションがエスカレートして悲劇を生む。
 生きることは本当にままならない。
 諸行無常でもある。

 本作は基本、痛快な成功物語ですが、今回は人生の負の側面を描きましたね。
 それが作品を深いものにしている。


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6 コメント

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帰蝶と道三、光秀はどう出る? (TEPO)
2020-04-27 21:29:08
>基本は碁の話で、直接的なこと(=彦五郎を討て)は何も言っていない。帰蝶様、いつの間にこんなにブラックになったんだ?

「打ちにいけばよろしいかと、碁を」の「碁を」というところががいいですね。
最近の帰蝶を見ていると、やはり当初沢尻エリカさんの役であったことに納得するようになりました。

前回は、道三と信長との出会いに、帰蝶のはかりごとを超えた深みがありましたが、今回は「黒さ」に磨きがかかった帰蝶とは対照的に道三の転落でした。

>本作は基本、痛快な成功物語ですが、今回は人生の負の側面を描きましたね。

やはり気になるのは主人公の立場。
道三と高政との間に完全に板挟み状態に置かれた光秀。
今回は、辛うじて両者を裏切ること無く過ぎましたが、次回は両者の対立は決定的。
予告編では、甲冑姿の光秀が登場していました。
父子間の戦に出陣するのでしょうが、果たしてどちら側についたのでしょうね。
どちらにしても、辛い展開だと思います。

史実を調べれば、ある程度のことは分かるのかもしれませんが、敢えてそれはせず、ここはドラマ世界の展開についてゆくだけにすることにします。
返信する
対照的な2人の描き方 (megumi)
2020-04-27 22:39:58
コウジさん こんばんは。

私も TEPOさんと同じく
帰蝶の役は 池端俊策さんの中で
沢尻さんありき もしくは当てがきだったのだと思いました。

私の思う濃姫は マムシの娘ではあっても
政略結婚の犠牲者で 信長との間に子も成さず
その生涯もよく分かっていない気の毒な女性でした。
このドラマでは 暗躍する(出番も多い)からこそのキャスティングだったのでしょう。

勿論 川口春奈さんは頑張って演じていると思いますし
否定する気持ちは毫もありません。


よく分かっていない帰蝶と光秀をフリーハンドで描きながら
前者はバリバリ! 後者はボンヤリ!
これは如何に?

このドラマで いちばん好きなのは オープニングソングです。
録画を見ているので すっ飛ばしても構わないのですが
聴き惚れています。
そう言えば「真田丸」のテーマ曲も好きでしたね。
返信する
前半のクライマックス (コウジ)
2020-04-28 19:13:39
TEPOさん

いつもありがとうございます。

帰蝶様のせりふには、
「垂れております、団子の蜜が……」
というのもありましたね。
特にこれに副次的な意味はありませんが、こういうのを差し挟む所が面白いです。

光秀は次回どのように動くのでしょうね。
道三は兵の数において劣勢。
気力において衰えている。
そんな中、道三が見せる最期の輝きは何か?
次回、道三の最大の見せ場が見られそうです。
そして、これを目撃した光秀はどのような反応をするのか?
前半のクライマックスですよね。

返信する
あて書きですよね (コウジ)
2020-04-28 19:29:19
megumiさん

いつもありがとうございます。

おっしゃるとおり、帰蝶の人物像は沢尻エリカさんを念頭に置いた『あて書き』ですよね。
とは言え、沢尻エリカさんの帰蝶だと、完全にブラックで強いだけの女性になりそう。
まあ、それは沢尻さんの帰蝶を見ないとわからない話なのですが、登場人物はある程度、隙があった方が魅力的なんですよね。
このあたりのさじ加減を沢尻さんがどう作ってくるか、見てみたかったです。

オープニング曲をmegumiさんはお気に入りですか。
とは言え←こればっかり!(笑)
あまりキャッチーな曲ではないですよね←すみません!
『真田丸』も『西郷どん』も『いだてん』もタイトルを聞けば曲が頭に浮かびますが、『麒麟』は、あれ、どんな曲だったっけ? って感じ。
聞き慣れれば、これも同じようになるのでしょうか?
返信する
元々は熱烈な大河ファン (megumi)
2020-04-28 22:09:43
コウジさん  こんばんは。

私は ほら 「武田信玄」が好きで
再放送を含めて3回も見ているほどでしょう
あれも オープニング曲が好きなんですよ。
馬が駆け抜けていく映像と共に・・・。

大河を見るのは「直虎」以来ですが
「直虎」の曲は 全く思い出せません。
「風と雲と虹と」も曲が好きでした。
もう40年以上も前の作品ですね。
以来 全然 見ていなにのにメロディが歌えますよ。

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人に大河ドラマの歴史あり (コウジ)
2020-04-29 12:49:49
megumiさん

megumiさんは「武田信玄」なんですね。
僕は「風林火山」です!

「直虎」は確かに思い出せませんね。
作品的にも地味でした。
あの作品は、基本おとわと政次の物語でしたから、今回のようなさまざまな人間のぶつかり合いはないんですよね。
ただ、時代的には「光秀」に、おとわが出て来てもおかしくない。
光秀が今川領に行ったら、おとわに出会えるかもしれません(笑)

話が脱線してしまいましたが、
人にはそれぞれの大河ドラマがあり、オープニング曲があるんですね。
心にストックされるドラマをどんどん増やしていきたいです。
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