平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

平清盛 第15回「嵐の中の一門」~風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しきものがある。

2012年04月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 凄まじい心のドラマである。
 清盛(松山ケンイチ)は、亡き弟・家盛(大東駿介)のために曼荼羅を作り続ける。
 その行為は、命じた鳥羽法皇(三上博史)のためではない、あくまで家盛のためだ。

 それは供養であると同時に、曼荼羅を通して家盛に向き合う作業でもある。
 絵師の描く曼荼羅を見つめながら、清盛は家盛に語りかける。
 「俺がやったさまざまなことがお前を苦しめた」「死に追いやった」「やはりお前は許してくれないのか」「昔のように笑いかけてほしい」「兄上と言ってほしい」
 それは現実と向き合うつらい作業だ。
 西行(藤木直人)は「嵐の中に身をおけば、美しきものが見えてくる」「風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しきものがある」と語ったが、清盛はまさに<嵐の中に身を置いている>。表面上は静かだが、心の中は嵐が吹きまくっている。
 しかし、いくら問いかけても家盛は応えてくれない。
 それでも清盛は見つめ続ける。
 家盛が「兄上」と微笑みかけてくれる<美しいもの>が見えるまで。

 そして、父・忠盛(中井貴一)。
 彼もまた左大臣・頼長(山本耕史)の話を聞いて、家盛を死に追いやったのは自分だと知る。
 武士である自分が貴族になって権力を握り、世の中を変えようとしたことが間違いであり、結果として家盛を殺したのだと理解する。
 自暴自棄になって曼荼羅製作をやめるように言う忠盛。
 しかし、清盛はやめようとしない。
 途中でやめたら、「兄上」と語りかけてくれる家盛に会えなくなるからだ。
 ここでやめたら、家盛を犠牲にしてまでやってきたことが無に帰してしまうからだ。
 無にしてはならないこととは、<武士の手によって今までの腐りきった世の中を変えよう>とする理想。

 家盛の死と向かい合って、あくまで<理想にこだわった清盛>と<棄てようとした忠盛>。
 この瞬間、ほんの一瞬だが、清盛は忠盛を越えた。
 忠盛は心の軸がブレたが、清盛はより一層強くした。
 まさに世代交代である。

 そして宗子(和久井映見)。
 曼荼羅を見て、愛しそうに笑みを浮かべて言う。
 「家盛が兄上によろしゅうと言っておる。たったひとりのかけがいのない兄上に」
 宗子には美しいものが見えたのだ。
 それは清盛も忠盛も同じであっただろう。
 家盛の死によって、再び<理想>と<心の軸>を取り戻し、強くする平家一門。

 「風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しきものがある」
 いい言葉ですね。
 つらい時には、この言葉を思い出したい。
 それとまっすぐに現実と向き合った清盛の姿も。
 そうすれば、きっと<美しいもの>が見えて来る。

 
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カエルの王女さま~ぬるま湯でやっていれば、ぬるま湯の感動しか得られない。

2012年04月13日 | その他ドラマ
 単調で退屈な日常。
 考えるのはスーパーの安売りのことで、心がわき立つこともない。
 就職がうまくいかなかったり、工場の職場で無能者扱いされて、自分はこの世で必要とされていないじゃないかと思う者もいる。
 しかし、それでも人は<輝きたい>と思っている。<自分はここにいるんだよ>と叫びたいと思っている。

 「カエルの王女さま」はそんな人々の物語。
 そして、彼らを一瞬でもワクワクさせ、日常を忘れさせてくれるのが歌。
 歌を歌っている時だけが、自分が輝いているように思える。

 でも、倉坂澪(天海祐希)が歌に求めるものと、主婦たちが求めるものは違うんですよね。
 主婦たちは歌えて、日々のストレスを発散できればいい。楽しければいい。
 歌よりもダイコン。
 しかし、澪はプロ。
 歌に命を削るほど真っ正面から取り組んでいるし、常により高いレベルを望んでいる。
 ここに摩擦、衝突が生まれる。

 では、澪と主婦たち、どちらが正しいのだろうか?

 答えは両方、正しい!

 主婦たちは澪の求めるレベルを目指して努力すれば、きっと大きな喜びと達成感を得られるはず。
 大きく成長した自分に感動できるはず。
 ぬるま湯でやっていれば、得られるのはぬるま湯の感動でしかない。

 一方、澪。
 彼女は主婦たちから、歌は楽しいものだということを学ぶはず。
 歌は上を目指してのぼりつめるための手段ではない。
 歌って楽しいから歌うのだ。歌って自分や他人を感動させられるから歌うのだ、ということを学ぶはず。

 その他のことでは、天海祐希さんの歌を聴けたのがうれしい。
 「あの鐘を鳴らすのはあなた」
 上手い! さすが! やはりスポットライトを浴びると、抜群に輝きますね。
 女優さんでもあって、♪あなたに会えてよかった~♪ なんかは見事に語りかける感じにもなっている。

 あと、今後が楽しみなのは、野々村まひる役の大島優子さんかな。
 大島さんはAKB48の中で、歌もダンスも抜群に上手い。
 なので、まひるが澪に鍛えられて、最高のパフォーマンスをする時が来るはず。
 それを早く見たい。

 作品としては、日本版『glee』という感じですね。
 きっとクライマックスでは、合唱コンクールで<歌とダンスのパフォーマンス>をするのだろう。


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『LUPIN the Third』~峰不二子、俺の退屈を殺してくれるとびきりのいい女

2012年04月12日 | コミック・アニメ・特撮
 大人の『ルパン三世』である。
 惜しげもなく出て来る峰不二子のハダカ。
 不二子は妖艶に男たちを誘惑する。

 作画は原作のモンキー・パンチ先生の絵のまま。
 線が過剰にあって、アニメによくあるような線の省略はない。
 日本のアニメーションの技術もここまで進歩したか。

 設定は、ルパン、不二子、次元が知り合う前の物語。
 次元などはラスベガスで、カジノを経営するマフィアの用心棒をしている。
 だからルパンたちはお互いのことを<闇の世界>のウワサで知っているくらいで、会ったことがない。
 「あんたが峰不二子か。ウワサで聞いたことがあるぜ」みたいな会話が出て来る。

 さて、この作品『LUPIN the Third』の面白さは、ルパンたちの人物像を深く掘り下げていることである。

 たとえばルパンは<虚無>の人間。
 世の中のあらゆることに退屈しきっていて、心を躍らせる刺激を求めている。
 盗みの事前予告をするのも「ただの盗みなんか飽きちまった」から。
 そんなルパンが不二子に出会う。そして彼女のことをこう評する。
 「イカれた女だぜ。麻薬ごときでこんなヤバい場所に単身乗り込む。人を殺すことも辞さない無軌道さ。自らがどこまで落ちてもかまわない、その自虐。悪くないね。面白い女だね、想像以上だ」
 ルパンは不二子を退屈から抜け出させてくれる<とびきりのいい女>として認知する。
 だから、『峰不二子をいただきます ルパン』という予告上を不二子に出す。

 お茶の間用の『ルパン三世』でも不二子を追いかけていたルパンだが、この作品では「なぜルパンは不二子を追いかけるのか」という理由が上に書いたように示されている。
 ルパンは、絶対に意のままにならない<イカれた、とびきりいい女>峰不二子を追いかけることで、虚無の退屈から逃れることが出来るのだ。
 そして、おそらくそれは永遠にゴールにたどりつくことのないゲーム。
 不二子はルパンに体を許すことはあっても、決して心までは許さない。
 決して達成することのない盗みだから、ルパンは面白いと感じている。

 一方、不二子は盗みに<官能>を感じている。
 立ちはだかる困難を乗り越えて、目的のものを手にした時、不二子はエクスタシーを感じる。
 そのエクスタシーは、オープニングの言葉に拠れば、盗みをする時だけでなく、捕まって罰せられる時にも感じるらしい。
 何という頽廃だろう。
 不二子はエクスタシーを得るためだけに生きている。

 そして次元。
 彼は不二子とは対照的に<ストイック>だ。
 いくつもの死線を越えてきた次元。
 彼は生きていくために、殺されないために、誰にも心を許さない。
 感情や感傷を排除して、ただ冷酷・非情に生きる。
 ルパンとは別の形で、心が渇ききっている。

 昨日放送された第2話では、そんな次元が唯一愛した女性のエピソードが描かれた。
 マフィアのボスの妻を愛した次元。
 しかし、次元はその愛した女に裏切られ、利用されていたことを知る。
 証拠隠滅のため女は次元を殺そうとし、次元は反撃して女を撃つ。
 だが、その瞬間、ためらいの感情が起きる。
 「愛している女を撃てない……!」
 結局、次元は女の命を奪うが、その後、不二子にこんなことを語る。
 「殺し屋の仕事では一瞬の迷いが命とりになる。感情を抱いたらおしまいだ」
 感情を持ってしまった次元は、<殺し屋稼業>をやめて<泥棒稼業>に鞍替えする。ルパンとのコンビ結成だ。

 このように個々のキャラクターを深く掘り下げている『LUPIN the Third』。
 子供の時に『ルパン三世』を見ていた世代が、大人になってアダルトな『LUPIN the Third』を見る。
 実に面白い企画の切り口だ。
 『LUPIN the Third』は、水曜深夜(木曜AM1:54)、日本テレビ系にて放送中!


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37歳で医者になった僕~「医者である以上、患者に信頼されるよう努力すべきだと思うんです」

2012年04月11日 | 職業ドラマ
 理想と現実。
 組織と個人。
 このテーマは、さまざまな形で描かれてきた。
 主人公は理想を抱き、利益優先・機能重視の組織と戦う。

 紺野祐太(草なぎ剛)もそんな主人公達のうちのひとり。
 先輩医師や医学部教授に異論を唱えたり、プライドを傷つけたりすれば、自分の将来はなくなる。
 早く一人前の医者にならなければ、葛城すず(ミムラ)と結婚して、幸せにしてあげることも出来ない。
 そのため、祐太は悩むが、最後には理想を貫く。

 何だかんだ言ったって、人間、最終的には自分がかわいいのである。
 今回の患者・多田守のことだって、口から物を食べられなくなっても、自分には痛くもかゆくもない。多田の命が失われるわけじゃないし。
 それよりも大事なのは、自分の将来だ。
 今は多田に申し訳ない気持ちを抱いても、いずれは忘れて何でもなくなってしまうだろう。
 それでも祐太は自分の理想を貫き通す。

 典型的な主人公ですね。
 祐太のような人物はドラマの世界だから成り立つわけで、現実ではたちまち地方病院に飛ばされてしまうような気がしますが。
 だから、早くも最終回のことを考えてしまいますが、最終回で祐太は地方の病院で働いていてほしいですね。
 それがリアリズム。
 その時の祐太のそばには、沢村瑞希(水川あさみ)がいてもいい。

 キャラクターとして面白いのは、沢村瑞希と森下和明(田辺誠一)ですね。
 瑞希は祐太のような理想の持ち主だが、現実的に生きようとしている。
 もっと他の治療方法の可能性があるのに佐伯教授(松平健)に反論しようとしないし、「セカンドオピニオンという方法もあるのにそれもせず、医者に指示を委ねた時点で患者の負け」と自分に言い聞かせている。
 このグレーゾーンというか、白(理想主義者)でありながら黒(現実主義者)のふりをしている所が、キャラクターとして魅力的。
 それは森下も同じ。
 「佐伯教授にたてついてはいけない」と教授側の人間を演じていながら、陰で祐太を支え、助ける。
 こういうキャラクターはカッコよくて、おいしい。

 ドラマとしては、ていねいに作られていて好感が持てるが、既存の医療ドラマの枠を出ていない気がする。
 あとは草剛さんの持っている雰囲気やキャラクターが、<医療ドラマ>に遭遇して、どのような化学反応を起こすかでしょうね。


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大飯原発再稼働を考える~政府は一体どこを向いているのか?

2012年04月10日 | 事件・出来事
 福井県・大飯原発の再稼働。

 関西電力は次の形で、安全を確保すると言っている。

・防波堤を現在の5メートルから8メートルにする~2013年目安。
・事故が起きた際の対応スペース<免震事務棟>を作る~2015年目安。それが出来るまでは発電所内にある会議室で代用させる。
・水素除去装置を設置する~2013年目安。
・フィルター付きベント装置を設置する~2015年目安。

 原子力の難しいことはわからないが、これっておかしくないか。
 2013年目安? 2015年目安?
 では、もし今年(2012年)再稼働して、大地震が起こり事故が起きたらどうするのか?
 2013年~2015年までに作られるとされる耐震安全設備はないのだから、大事故につながるのではないか。

 こんなこと、素朴な疑問として誰もが抱く。
 童話『はだかの王様』の子供が「王様はハダカだ」と言ったことに似ている。
 なのに野田首相を始めとする政府は、「おおむね新安全基準を満たしている」と評価認定。
 「おおむね」? 「完全に」ではないのか?
 そして枝野経産大臣は地元の説得に向かうらしい。

 一体、この政府はどこを向いているんでしょうね。
 いったん事故が起きれば、今回の福島の事故のような事態が起こるのである。
 海や大地は汚染され、われわれは食物の放射能汚染に怯えて生活しなければならなくなる。
 生産者は<放射能の汚染チェック>という通常ならしなくてもいい作業をしなければならない。
 1000兆になろうとする赤字予算で消費税があげられようとしているのに、除染作業の費用でさらに予算を使わなくてはならない。
 今回の大口契約者の電気料金UPの理由として東電は<燃料費高騰>をあげているが、本当にそうなのか? <賠償金の支払い>や<廃炉の費用>なんかが含まれているのではないか。
 あるいは、もし福井の大飯原発で事故が起これば、汚染された大気は琵琶湖にまで及び、琵琶湖の水が飲料水として使えなくなるという識者もいる。そうすれば関西の人は水を飲めなくなり、関西経済圏は崩壊する。
 それなのに政府は大飯原発再稼働で動いている。

 政府は次のような発想で行動すべきである。
 <原発を再稼動しないで電力を確保する方法はないのか>
 そうすれば、きっと様々な知恵が出て来るはず。
 国民は屋根に太陽光パネルを設置し、企業は自家発電の設備を取りつける。
 地方自治体も地産地消で、風力、地熱、水車発電などを始めるかもしれない。
 あるいは関西電力は、中部電力や中国電力など、他の電力会社から電気を供給してもらうことは出来ないのか。

 関西電力は、この夏、一昨年並みの猛暑の場合19.6%電力が不足し、暑さが昨年並みで国民が10%の節電をした場合でも7.6%の電力不足が起きると発表している。
 だから大飯原発の再稼働が必要だとも。
 だが、この電力不足の予測は本当か? その試算の根拠は?
 あるいはなぜ今頃、このデータを出してきたのか?
 もっと前に出していれば、それこそ国民が太陽光パネルを、自治体が風力発電を設置したりする準備が出来たはずである。

 おそらく電力会社は、原子力発電所を<無用な鉄のかたまり>にしたくないのだろう。
 膨大な建設費用がかかっているから、かかった費用分、原子力発電所に稼いでもらわなくてはならない。

 というわけで、もう一度、政府に問う。

 「あなたたちは一体どこを向いているのか?」

 電力会社や経済界の方を向いているのではないか?
 あなたたちはもっと国民を信用すべきである。
 昨年を乗り切ったように、もし仮に7.6%の電力不足が起きるなら、きっと知恵を出して乗り切るはず。
 あなたたちが国民を信用していないから、国民もあなたたちを信用しなくなる。
 「国民の皆さん、この夏はこういう電力不足の状況になりますが、原子力発電所を再稼働することは出来ません。なので協力をお願いします」と語ればいい。
 もちろん国民が対応策を取るためには、それなりの時間が必要なので、情報開示はもっと早くやってほしいのですが。

※追記
 枝野経産大臣は記者会見で「もし100メートルの津波が来たら日本の原子力発電所の電源は喪失する。しかし、それを全部想定するのか」と述べた。
 答えは「想定するんです」と言うしかない。
 一度、事故が起きたらおしまいなんです。
 どんなに水が来ても喪失しない電源設備を作って下さい。

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平清盛 第14回「家盛決起」~一度だけでも当たり前の母として笑いかけて下さいませ

2012年04月09日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回のドラマポイントは3つ。

 ひとつめは時子(深田恭子)。
 「どれだけ落ちぶれようと、あなた様こそがわが光る君。それは将来変わることはございません」
 どんな逆境にあっても、変わることのない人と人の絆。
 ストレートでくさいせりふだが、人が生きるとは、こういう絆を作っていくことだと思う。
 また、時子は聡明でもある。
 源氏物語を例に引いて「平家の跡継ぎの座など捨ててしまえばいい」とアドバイスする。
 おそらく彼女自身は意識していないのだろうが、跡継ぎ争いのことで清盛(松山ケンイチ)が苦しむのなら、その苦しみのもとを捨ててしまえばいいと考えたのだろう。
 確かに。
 苦しみは求めることから生まれる。求めなければ苦しくならない。
 しかし、物語の中では可能であろうが、現実では求めることをなかなかやめられない。
 それが人が生きるということ。
 まして清盛のように既存の世の中を破壊するようなエネルギーの持ち主なら尚更のこと。
 生きることって厄介だ。

 ふたつめは家盛(大東駿介)。
 「母上の笑う顔を見たかった。母に喜んでほしかった」
 家盛決起の理由はここにあったんですね。
 ただ、母・宗子に「よかったね。よくがんばった」と言ってほしかった。
 家盛は、自己主張もせずに忍従し、<いい母>を演じてきた宗子に自分を重ね合わせていたのだろう。
 家盛もまた、一門のために好きな女性との結婚をあきらめるという<いい息子>を演じ、兄のすることを違うと思いながら<いい弟>を演じてきたのだから。
 しかし、こういう家盛は、頼長(山本耕史)が言うように「御しやすい」。
 権威には歯向かわないし、清盛のように強烈な自己主張もして来ない。
 そこを頼長につけ込まれた。
 自分が頼長に評価されたのは能力ではなく、平家の武力と財力、舞と容姿だと知ってがく然とする家盛。
 ちっぽけな自分を思い知らされて求めたのは、母親の愛情でもあったのだろう。
 だから「せめて一度だけでも、当たり前の母として笑いかけて下さいませ」と頼んだ。
 家盛のような<いい子>は、こういう欲望うずまく激動の時代には生きにくく、翻弄されてしまうんですよね。

 最後は清盛と家盛。
 ふたりはやはり兄弟だった。
 兄弟関係が壊れて失われてしまったことを悲しんでいた。
 あるのはふたりが共有していた昔の記憶。

 悲劇ですね。
 ふたりは兄弟であることを望んでいたのに、ちょっとした歯車の狂いから思いが壊れていく。
 頼長が投じた一石が波紋のように広がり、最終的には大きな波になる。


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今年ブレイク必至のアイドル! ~第1位 乃木坂46、第2位 ももいろクローバーZ……

2012年04月06日 | アイドル
 カラオケJOYSOUNNDでアンケートをとった<今年ブレイク必至>のアイドルランキング。

第1位 乃木坂46
第2位 ももいろクローバーZ
第3位 SKE48
第4位 SUPER☆GiRLS
第5位 NMB48
第6位  Fairies
第7位 アイドリング
第8位 ぱすぽ☆
第9位 スマイレージ
第10位 私立恵比寿中学

 異論反論もあるでしょうが、まずは乃木坂46が1位なのは嬉しい。
 SKE48は、CDの販売実績など、すでにブレイクしていると思うので、<今年ブレイク必至>というジャンルからは外れると思いますし。
Fairiesとかは、歌もダンスもすごいんですけど、逆に完ぺきすぎる所がアーティストで、アイドルじゃない気がする。

 さて、<今年ブレイク必至>のアイドルとして、乃木坂46と争うのは、やはり、ももクロでしょうか。
 実際、最近の彼女たちの露出はすごい!
 メンバーそれぞれのキャラも面白く、魅力的だ。

 その魅力は、このランキングに寄せられたコメントを引用すれば、こんな感じ。
・今まで見たことのないグループ。アイドルの枠を超えた全力投球のパフォーマスに魅力を感じます!(男性/16歳)
・アイドルだけどアイドルらしくないダンスが魅力的☆ 変顔も、がに股も、変顔も全力で出来ちゃうアイドルはももクロしかいない! しかもかわいいし大好き!!(女性/17歳)

 一方、乃木坂46に寄せられたコメントはこれ。
・とにかく可愛い! とにかく清楚! とにかく王道アイドル! 乃木坂46以上の清楚王道アイドルは存在しません(^o^)/(女性/17歳)
・初々しく生き生きとAKBの公式ライバルとして頑張っているし、『乃木坂ってどこ?』(テレビ東京系バラエティ番組)でみんなが一生懸命している所に感動して、同世代の僕も勇気をもらってるから!(女性/17歳)

 つまり
 乃木坂46は、王道アイドル。
 ももクロは、アイドルの枠を超えたアイドル。特異性を持った変則アイドル。アニメ的でもある。

 このどちらを選ぶかは、それぞれの好みに拠るだろうが、敢えて<乃木坂>のことを書くと、乃木坂のメンバーって深く掘り下げていくと、それぞれに個性的。
 <乃木坂七福神>の生駒里奈、白石麻衣、橋本奈々未、高山一美など、みんな違ったキャラクターを持っている。
 <ももクロ>がドーン! とインパクトがあるのに対し、<乃木坂>はじわじわとその良さがわかってくるという感じだろうか。
 そして知れば知るほど、その足りない未熟な部分も含めて、好きになる。

 あるいは、<ももクロ>が舞台裏を見せないでステージでのパフォーマンスのみで勝負するのに対し、<乃木坂>は舞台裏を見せる。
 先日の彼女たちの冠番組『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京・日曜深夜)では、セカンドシングルの選抜メンバー選抜の模様をしっかりと見せた。
 選抜に選ばれて歓喜の涙を流す者、もれて悔し涙を流す者。ここにはAKBの総選挙を思わせる感動のドラマがある。
 この点で、乃木坂46は、パフォーマンス+ドラマ型のアイドルと言える。

 現在、乃木坂46はセカンドシングル「おいでシャンプー」が、AKB48の指原莉乃さんのデビューシングルと5/2に同日発売ということで、指原さんとオリコン第1位争いを展開中。
 乃木坂46はAKB48の公式ライバルなので、AKBの方々と戦っていかなければならないのだ。

 いずれにしても、こうしたアイドルの覇権争いは面白い。
 お祭りの踊りがそうであるように、外で見ているよりも実際にファンとして中に入って応援して、実感する方がはるかに面白い。


 なお、<今年ブレイク必至>のアイドルランキングの詳細はこちら。

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名探偵コナン 銀翼の奇術師~わたしは好きだよ、新一。

2012年04月05日 | コミック・アニメ・特撮
 「名探偵コナン」の映画は何本も作られているが、ベストはこの作品「銀翼の奇術師」ではないだろうか。

 暴風雨の中での飛行機の着陸。(→矢口靖史監督の「ハッピーフライト」はこの作品から着想を得たのではないか)
 ここでは飛行機がいかに操縦され、着陸するかがリアルに描かれる。
 脚本家は飛行機の操縦というものをかなり入念に調べ上げたな、という感じを受ける。
 飛行機を無事に着陸させるために
 <コナン(新一)と怪盗キッド><コナン(新一)と蘭><蘭と園子>が協力し合う!
 このシーンは圧巻! やはりアニメでキャラクターどうしが協力し合うシーンは萌える。

 特に新一と蘭。
 操縦桿を握って飛行機を着陸しなければならない蘭はプレッシャーで、「わたしには出来ないよ!」と弱音を吐く。
 もし失敗すれば、飛行機に乗っている何百人という乗客の命が失われるからだ。
 するとコナンは新一の声になって電話して、蘭を励ます。
 「絶対に守ってやるから心配するな」
 しかし蘭のパニックは収まらない。
 不安な気持ちを誰かにぶつけたかったのだろうが、新一に今まで抱いていた不満をぶつける。
 「何よ、かっこいいこと言っちゃって! 大事な時にはいつもいなくて、電話ばかりじゃない!」
 普段は<いい子>の蘭も実は心の奥底で、こんな不平不満を持っていたのだ。心の中は新一への思いで揺れ動いていたのだ。
 この蘭の心情が泣ける。
 そして感情が高ぶった蘭は、思わず封印していた言葉を口走ってしまう。
 「わたしは好きだよ、新一」
 新一への愛の告白だ。
 しかし、事態は恋人たちに愛を語り合う時間を与えず、蘭に室蘭埠頭への着陸を強いる。
 飛行機はキッドの協力もあって無事に着陸するが、その後の新一と蘭のやりとりが面白い。

 以下、ネタバレになるのでまだ見ていない方は見てからにしていただきたいが、こんなやりとりをする。



 蘭は、先程「わたしは好きだよ、新一」と口走ってしまったことを後悔している。
 だから新一から「大丈夫か」と電話がかかってきた時、恥ずかしくていたたまれない。
 そして一方で、蘭は先程飛行機に電話をかけてきたのは新一ではなくて、キッドではないかとも思っている。
 なぜなら電話で指示を出す新一は同じ飛行に乗っていなければ出せない指示だったし、飛行機が風に煽られて揺れた時も新一は「うわっ」と声をあげたからだ。
 蘭としては「わたしは好きだよ、新一」と言ってしまった相手がキッドであってほしいと思っている。
 キッドであれば、まだ恥ずかしくない。直接の告白ではないからだ。
 そして最後には蘭は「電話でしゃべっていたのは新一に変装していたキッドだ」と思い込む。
 「セーフ! ギリギリセーフ!」
 大喜びする蘭。
 一方、新一は蘭が何に喜んでいるのかがわからない。
 やはり新一は<推理オタク>で、複雑な女心がわからないんですね。

 このふたりの恋バナ、いったいどうなるんだろう?
 これだけ、つかず離れずの恋人関係もめずらしい。
 <映画におけるつかず離れずの男女関係部門>でギネスに認定されてもいいくらいだ。


※追記
 新一と蘭の恋バナではこんなシーンも。
 宝石を盗むため、工藤新一に変装した怪盗キッド。
 ひさしぶりの再会に蘭は「何よ、突然現れて」と不満を口にする。
 すると新一に扮したキッド。
 「お前の驚いたキュートな顔を見たくってな」
 この<キュートな顔>発言に顔を赤らめる蘭。
 一方、コナン(新一)はキッドに蘭を口説かれているようで心穏やかでない。
 ふたりが展望台に行こうとしているのを見ると「僕もいっしょに連れていって」と駄々をこねる。
 それを見た歩美は「コナン君って蘭さんのことになると人格変わるよね」
 すると源太。「甘えたい年頃なんだよ」
 すると園子がすかさずツッコミ。「あんたらもでしょう」(笑)

 そして蘭。
 目の前にいる新一が違う人間ではないかと何となく不審に思っている。
 この心情描写も上手い。
 蘭の新一を思う気持ちは、キッドの完ぺきな変装をも見破っているんですね。


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明石家さんま名言集~正解が一番つまらんのや

2012年04月04日 | 名セリフ・名言集
 gooランキングで紹介していた<明石家さんま名言集>。
 それはこんな感じ。

★生きてるだけでまるもうけ
 娘のいまるさんの名前の由来にもなった、さんまさんの基本の人生観。
 「生きてるだけでまるもうけ」
 そうですよね、人はさまざまな欲を持っていて満たされないと苦しいけど、「生きてるだけでまるもうけ」と思えれば、少しは楽に生きられますよね。
 しかし、さんまさんは、欲を持ったり、がんばることを否定しない。
 むしろ叱咤激励する。

★いっぺん夢中で生きてみい。毎日が夢中や。
★やろうとすれば出来んねん、人間みたいなもんは。
 確かに。
 毎日を流されてぼんやりと生きるよりは、何かに夢中になっていた方が楽しいですからね。
 夢に向かってがんばることも毎日を活力のあるものにしてくれる。
 しかし、夢を実現することは大変。挫折や悲しみも味わう。
 だから、この言葉。

★やさしさを持った人は、それ以上の悲しみを持っている。
★人間、どんなに沈んでいても笑うんです。
 海援隊の『贈る言葉』にも同じような言葉がありましたけど、悲しみが多い人の方が他人の痛みがわかる。
 だから積極的に悲しもうとさんまさんは言っているようだ。
 そして、「人間、どんなに沈んでいても笑うんです」という言葉が示すとおり、人間はどんな時でも笑うことが出来るし、笑うことで、悲しみから救われる。
 さんまさんがお笑いをやっているのも、根本には<笑いで悲しんでいる人を元気にしたい>という思いがあるのだろう。
 そして芸能論。
 
★お笑いは争うもんちゃうねん。その人が一番面白いと思ったらそれでええねん。
★何とも思われないよりは嫌われるほうがマシ、好きに変わる可能性が残っているから。
★正解が一番つまらんのや
 いずれの言葉も深いですね。
 実社会では<競争して勝つこと><好かれること><正解>を求められる。
 しかし、さんまさんはそれらを否定する。
 誰とも交換することが出来ない<オンリーワン>でいろ、と言う。
 芸能界には<おバカ><無器用><ブサイク>がたくさんいる。
 そして、それらが個性、キャラクターになっている。
 戦場カメラマンの渡辺陽一さんなんかは、口が達者なさんまさんや上田晋也さんなどにはかなわない。しかし、渡辺さんとさんまさんたちとは共存できる。お笑いは争うものではないのだ。
 江頭2:50さんもいかがわしい嫌われキャラだったが、最近は、好き、かわいいに変わりつつある。
 これらを見ていると、<競争して勝つこと><好かれること><正解>を求められる実社会が、いかに窮屈でつまらないかがわかりますね。
 人は欠点を含めてもっと自分らしくあっていいのに、なぜか枠にはめたがる。

 そして、さんまさんには根底に<人が好き>という考えがある。
 どんなダメな人間でも徹底的に肯定する。
 それが他人に対するやさしさにもなっている。
 これらが究極に凝縮された言葉がこれ。

★人を好きなまま死にたい。

 また、さんまさんは究極の<プラス思考>。
★結婚はゴールではない! スタート! しかも途中から障害物競争に変わる。
 と、自らの失敗・離婚をもギャグにする。
★彼女の過去は彼女の歴史なんやからそれを否定すな!
 と、相手のすべてを受け入れる。
 そして、<死>をもプラス思考で受け入れる。
 
★死ぬときにわくわくしたい。

 お笑いを突き詰めていった明石家さんまさん。
 何かを極めた人の言葉は、やはり深いですね。


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クール・ジャパン! アジアで戦いを繰り広げる日本と韓国!

2012年04月03日 | その他
 4月1日の『Mr.サンデー』で<これがニッポンの生きる道>という特集をやっていた。
 コミック、アニメ、J-POP、アイドル、ファッション、ゲーム、日本食、カラオケ……、確かに日本はソフトウェアにもっと力を入れるべきだと思うんですよね。
 自動車、家電などの主要輸出産業に比べれば市場規模は小さいかもしれないが、ハードは一度購入してしまえば5年~10年はそのまま、買い換えることがない。
 しかし、ソフトはシリーズ化出来るし、関連商品ビジネスも見込める。古くなって飽きられれば新しいものを作ればいい。
 そして何より<文化大国ニッポン>ってかっこいい!
 まさにクール・ジャパン。

 日本流のサービスも海外では画期的なことらしい。
 たとえば、宅急便の時間指定配達(9時~12時などと細かく配達時刻を指定できる)やクール便。
 われわれにして見れば当たり前だったが、確かに言われてみれば、実にきめ細やかなサービス。
 居酒屋チェーン<和民>が実施している膝つき接客も好評らしい。
 和民の店員さんは膝をついて客と同じ目線で注文をとる。確かに上から見下ろされて注文をとられるよりはいいかも。

 さて、このような日本のソフトビジネスだが、アジア市場では韓国と熾烈な闘いをしているらしい。

 タイではかつては日本のドラマが人気だったが、現在では韓流が主流で大人気。
 この差が出たのには、売り込みの熱心さの違いがあるという。
 韓国では国をあげてセールスしてくる。韓流ドラマを解説したカタログのような冊子もあるらしい。
 また韓流ドラマでは作品の宣伝用に100枚以上の写真が提供されるのに、日本のドラマでは5枚。
 売り込みの意識が違う。

 フィリピンでも韓流ドラマは大人気らしい。
 『Mr.サンデー』でも話題にしていたが、かつて日本のドラマ「おしん」は世界各国で放送され、中国で視聴率75.9%、カナダ・イランで90%を獲得したりしていたんですけどね。「おしんに食べてもらってくれ」とわざわざコメを送ってきた外国人もいたらしいですし。

 一方、シンガポールではJ-POPが巻き返しをはかり、K-POPを圧倒しているらしい。
 かつては少女時代などのK-POPアイドルが人気だったのだが、現在はAKB48。
 身近でメンバーそれぞれが個性的なのがその人気の原因だとか。
 秋元康さんの世界戦略はどこまで戦っていけるか。

 というわけで本題に戻って、<これがニッポンの生きる道>。
 ソフトウェアは海外でもっと稼げる可能性がある。

 また、そんな経済的な意味ばかりでなく、ソフトウェアには大きな可能性がある。
 <ソフトウェアは世界を繋ぐ><国や民族を越える>。
 「おしん」は世界中に受け入れられて人々の心に残っている。
 初音ミクは今や世界的に人気のキャラクターだ。
 あるいは外国人がカラオケを楽しみ、寿司をおいしいと言い、アニメのコスプレなどをしているのを見ると、「人間って皆、同じなんだな」と感じる。
 国や民族どうしの争いや戦争ってバカバカしい。
 ドラマや歌やコミックやアニメやアイドルなどを共有して、みんなが楽しめば世界はきっと平和になる。

 
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