平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

37歳で医者になった僕~「医者である以上、患者に信頼されるよう努力すべきだと思うんです」

2012年04月11日 | 職業ドラマ
 理想と現実。
 組織と個人。
 このテーマは、さまざまな形で描かれてきた。
 主人公は理想を抱き、利益優先・機能重視の組織と戦う。

 紺野祐太(草なぎ剛)もそんな主人公達のうちのひとり。
 先輩医師や医学部教授に異論を唱えたり、プライドを傷つけたりすれば、自分の将来はなくなる。
 早く一人前の医者にならなければ、葛城すず(ミムラ)と結婚して、幸せにしてあげることも出来ない。
 そのため、祐太は悩むが、最後には理想を貫く。

 何だかんだ言ったって、人間、最終的には自分がかわいいのである。
 今回の患者・多田守のことだって、口から物を食べられなくなっても、自分には痛くもかゆくもない。多田の命が失われるわけじゃないし。
 それよりも大事なのは、自分の将来だ。
 今は多田に申し訳ない気持ちを抱いても、いずれは忘れて何でもなくなってしまうだろう。
 それでも祐太は自分の理想を貫き通す。

 典型的な主人公ですね。
 祐太のような人物はドラマの世界だから成り立つわけで、現実ではたちまち地方病院に飛ばされてしまうような気がしますが。
 だから、早くも最終回のことを考えてしまいますが、最終回で祐太は地方の病院で働いていてほしいですね。
 それがリアリズム。
 その時の祐太のそばには、沢村瑞希(水川あさみ)がいてもいい。

 キャラクターとして面白いのは、沢村瑞希と森下和明(田辺誠一)ですね。
 瑞希は祐太のような理想の持ち主だが、現実的に生きようとしている。
 もっと他の治療方法の可能性があるのに佐伯教授(松平健)に反論しようとしないし、「セカンドオピニオンという方法もあるのにそれもせず、医者に指示を委ねた時点で患者の負け」と自分に言い聞かせている。
 このグレーゾーンというか、白(理想主義者)でありながら黒(現実主義者)のふりをしている所が、キャラクターとして魅力的。
 それは森下も同じ。
 「佐伯教授にたてついてはいけない」と教授側の人間を演じていながら、陰で祐太を支え、助ける。
 こういうキャラクターはカッコよくて、おいしい。

 ドラマとしては、ていねいに作られていて好感が持てるが、既存の医療ドラマの枠を出ていない気がする。
 あとは草剛さんの持っている雰囲気やキャラクターが、<医療ドラマ>に遭遇して、どのような化学反応を起こすかでしょうね。


コメント (4)
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